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世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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13/15

侵入者と少女

第13話です。この話少し短いですが、宜しくお願いします。

ピ――――――――――――!!


 突然、部屋中に甲高い警報音が鳴り響いた。


「な、なんだ!?」


 陸斗が反射的に声を上げる。


 ついさっきまで穏やかだった空間が、一瞬で緊張に包まれる。




《監視システム:侵入検知》

《対象:未登録存在》

《位置:玄関付近》




「侵入者……?」


 美咲が不安そうに悠真の服を掴む。


 だが、悠真はすでに表情を切り替えていた。


「……落ち着け」


 低く、冷静な声。


「まだ“侵入された”わけじゃない。“検知した”だけだ」


 そう言いながら、ゆっくりと玄関へ向かう。


「陸斗、いつでもバリア張れるようにしとけ」


「お、おう!」


「美咲は後ろにいろ」


「う、うん……!」


チャン爺も静かに美咲の前に立ち、守る姿勢を取る。


 そして——


 悠真は玄関のドアノブに手をかけた。


「……開けるぞ」


 ゆっくりと、扉を開く。


 外の空気が流れ込む。


 そこにいたのは——


「……ヤモリ?」


 電柱に張り付いた、一匹のヤモリ。


「なんだよ……ヤモリかよぉ〜」


 陸斗が一気に力を抜く。


「びびらせやがって……」


 だが。


「いや」


 悠真は一歩も動かない。


 視線は鋭く、周囲を見渡している。


「……どこかに隠れてる可能性がある」


「え?」


「警戒は解くな」


 短く、はっきりと言い切る。


 その言葉に、陸斗も再び気を引き締めた。


 数秒。


 沈黙。


 風の音だけが流れる。


 ——何も、起こらない。


 その時だった。


「あの……」


「!?」


 全員の視線が、一斉に電柱へ向く。


 ヤモリが——


 喋っていた。


「侵入者というのは……私の事だと思う……」


「はぁ!?」


 陸斗が素っ頓狂な声を上げる。


 美咲も目を丸くする。


「ヤモリが……喋ってる……?」


 ありえない光景。


 だが、それは確かに現実だった。


 悠真はゆっくりと一歩前に出る。


 手にはバール。


 いつでも振るえる距離。


 陸斗も即座に構え、バリア展開の準備に入る。


「……お前、何者だ」


 低く、鋭い問い。


 ヤモリはわずかに体を揺らした。


「……私の名前は、黒川未来」


 はっきりとした声。


「ヤモリじゃない……人間……」


 一拍置いて——


「……貴方達と同じ、超人族」


「……!」


 空気が一気に張り詰める。


 陸斗が思わず悠真を見る。


 美咲も息を呑む。


 ——超人族。


 それは、悠真たち自身と同じ存在。


 だが——


 悠真の目は、まだ冷静だった。


「……なんで俺達が超人族だと分かる」


 鋭く切り込む。


 ヤモリは少しだけ間を置いてから答えた。


「……それは……全部、話さないといけない」


 そして——


 未来は語り始めた。


 自分の過去。


 施設のこと。


 ゲートが開いた日。


 モンスターに襲われたこと。


 能力が目覚めたこと。


 ヤモリで見ていたこと。


 悠真たちの戦い。


 生活。


 全部。


 何一つ隠さず、全てを。


 声は震えていた。


 でも、止まらなかった。


 それは——


 本気で助けてほしいから。


 それだけだった。


 そして。


「……お願い」


 最後に、絞り出すように言った。


「……あの人達は、私の全てなの」


 沈黙。


「……何でもする」


 その言葉に、嘘はなかった。


「……だから、助けて……!」


 空気が、止まる。


 陸斗が、先に口を開いた。


「……悠真さん」


 ちらりと視線を送る。


 言葉にはしない。


 でも、目が言っていた。


 ——助けよう。


 そして。


「大丈夫だよ!!」


 美咲が元気よく言った。


「うちのお兄ちゃんと、もう一人のお兄ちゃんはすごいから!」


「ちょっ、おい!」


 悠真が慌てる。


「勝手に決めるなっての……!」


 少しだけ頭をかく。


 そして——


 ため息をひとつ。


「……まぁ」


 未来の方を見て言う。


「俺も同じ意見だ」


 陸斗と美咲がぱっと顔を明るくする。


「ただし」


 その一言で、空気が締まる。


「嘘だった場合……お前のことは許さない」


 静かに、だが重く。


「……それでもいいなら」


 一歩、前へ出る。


「助けてやる」


 一瞬の静寂。


「……本当に……?」


 震える声。


「……あぁ」


「……私、何でもするから……!」


 その言葉に、悠真は軽く肩をすくめた。


「だったら——」


 少しだけ口元を緩める。


「本体、近くにいるんだろ」


「……うん」


「出てこい」


 少しの間。


「……ちょっと待ってて」


 そう言って、ヤモリは動かなくなった。


 ——五分後。


 遠くから、小さな足音が聞こえてくる。


 全員がそちらを見る。


 現れたのは——


 一人の少女だった。


 少し汚れた服。


 疲れた表情。


 でも、まっすぐにこちらへ歩いてくる。


 黒川未来。


 その本人だった。


 悠真は軽く手を上げる。


「……来たか」


 そして、何事もないように言った。


「とりあえず——家に入れ」


「え……?」


「まずは風呂だ」


「……え?」


「入ってこい」


「……お風呂……?」


 信じられない、といった顔。


「入れるの……?」


「入れる」


 あっさりと答える。


 未来は目を見開いたまま固まる。


「……マジで……?」


 そして——


 こくりと、小さく頷いた。


 数十分後。


 風呂から上がった未来は、別人のようだった。


 髪は濡れて整い、顔の汚れも落ちている。


 それでも、まだどこか信じられないような表情のまま。


「……こっち座れ」


 悠真が声をかける。


 テーブルの上には——


 料理が並んでいた。


「え……」


 思わず立ち止まる。


「すごいでしょー!!」


 美咲が得意げに言う。


「これ全部チャン爺が作ったんだよ!」


「ありがとうございます、美咲様」


 チャン爺が丁寧に頭を下げる。


 未来は、言葉を失った。


 この世界で。


 こんな光景があるなんて。


「ほら、座れ」


 悠真が軽く促す。


 未来はゆっくりと椅子に座った。


「「いただきます」」


 全員の声が重なる。


 未来は震える手で、料理を口に運ぶ。


 一口。


「……っ」


 その瞬間。


 涙が、溢れた。


「……おいしい……!」


 止まらなかった。


「おいしい……!」


 泣きながら、食べる。


 次々と。


 まるで、失っていたものを取り戻すように。


 陸斗が笑う。


「すげぇ食うじゃん」


「いいことだ」


 悠真も小さく笑う。


 美咲も嬉しそうに頷く。


 温かい空気。


 笑い声。


 食事の匂い。


 未来は思った。


 ——もう、ないと思っていた。


 こんな時間は。


 でも。


 ここにあった。


 確かに、あった。


「……ありがとう……」


 小さく、呟く。


 その声は、誰にも届かなかったかもしれない。


 それでも——


 彼女にとっては、確かな一歩だった。



実は悠真達も含めて初のちゃんとしたご飯になります。

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