表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/208

第201話 三人の神様

 ところわって、聖都せいとオーデュ・スルスの大聖堂だいせいどう


 その地下ちかにある叡智えいちで、邪龍じゃりゅうベルガスクと対峙たいじしていたハナは、強烈きょうれつ悪寒おかんに襲われたのです。


「おいたん!! げてっ!!」


 まえふくがっていくわる予感よかん元凶げんきょうは、うまでもなくベルガスク。


 ううん。

 これはもう、ベルガスクじゃないよ。


 ゆか隆起りゅうきさせることで、おいたんが叡智えいちからせるみちつくります。


 天井てんじょう階段かいだんあとんでいくおいたん。


 すぐにあとったわたしは、背後はいごからひびいてきた怒号どごうに、おもわずみみをふさいじゃった。


 大聖堂だいせいどうが、その怒号どごうひびきで小刻こきざみにれてる。


 げなくちゃ!


 でも、大聖堂だいせいどうなかにはひと沢山たくさんいるんだよっ!


 怪我けがしてうごけないひとおおいから、わたしがなんとかしなくちゃだよねっ!!


 リッタから、まかされたんだから。


げてぇぇぇぇ!! いますぐ、大聖堂だいせいどうそとてぇぇ!」


 さけこえかぜせて、大聖堂だいせいどうなか浸透しんとうさせる。

 それと同時どうじに、わたしかべゆかいわ即席そくせきのゴーレムにつくえます。


 このたちなら、うごけないひとたちをかついでげることができるからね。

 わたし姿すがたせてるから、うごきもはやいはずだし。


 あとは、わたしにできることをするだけ。


 この大聖堂だいせいどうひろいからね。

 できるだけしやすいみちつくってあげるべきだよ。


 礼拝堂れいはいどうから地上ちじょうわたしは、そのままちかくのかべ両手りょうてく。


 地鳴じなりとともにはげしくなっていくれのせいで、大聖堂だいせいどうにいたひとたちはあわててげだしてくれてるね。


 そんなかれらがころんだりしないように、それから、かべとか天井てんじょうこわれたりしないように。

 みち確保かくほしなくちゃ!


大丈夫だいじょうぶ! わたしならできるもん!」


 おくれてるひとがいないか、周囲しゅういたましい確認かくにんしてみる。

 うん、あともうすこしだね。


 いま、2かいからの階段かいだんりてるひと正門せいもんいたら―――


 確認かくにん途中とちゅう

 わたしは、足元あしもとからひびいてきていたれが一瞬いっしゅんおさまったのをかんじた。


「っ!?」


 直後ちょくごれのわりに強烈きょうれつ気配けはい足元あしもとせまりくる。


 おもわずそのからびのいた瞬間しゅんかんゆかごと空気くうきげるような衝撃しょうげきが、視界しかいうばったのです。


「ぅぎぃ……」


 おなか背中なかいたい。

 でも、そんないたみは一瞬いっしゅんりました。

 ふところ万能薬ばんのうやくっててよかったね。


 でも、いたみがえたのはそれだけが理由りゆうじゃありません。


 わたしは、ううんちがうね。

 大聖堂だいせいどうが、建物たてものごと空高そらたかくにげられちゃったんだ。


 その証拠しょうこに、礼拝堂れいはいどうにあった模様もようゆかおくに、あおそらしろくもえるんだよ。


「どこまでばされたのっ!?」


 瓦礫がれきてた大聖堂だいせいどうかこまれたまま、わたし浮遊感ふゆうかん一緒いっしょ落下らっかつづけます。


 せめて、どっちが地面じめんなのか確認かくにんしたほうがいいよね。


 シルフィードをまとったままでよかったよ。

 水平感覚すいへいかんかくもどしたわたしは、落下らっかしてくる瓦礫がれきをよけつつ状況じょうきょう整理せいりします。


 そこでようやく、わたし大聖堂だいせいどう空高そらたかくにげた張本人ちょうほんにん存在そんざい認識にんしきしたのです。


 オーデュスルスを1しゅうグルッとかこえそうなほどにながからだった、3つくびりゅう


 合計ごうけい6つのがこちらを見上みあげてきてるその様子ようすは、かなりこわいんだよ。


「もしかして、邪龍じゃりゅうベルガスクがもっとつよくなっちゃったの!?」


 くびが3つもあるんだもんね。

 つばさはなくなっちゃったけど、からだまえよりおおきいし。

 かおまえよりこわくなったがするっ。


 そんなことをかんがえてたら、いや光景こうけいおもしちゃうよ。


 とうさんとかあさんにげなさいとわれて、もりなかからむらほうかえったときのこと。


 さかむらなかそびってた、邪龍じゃりゅうベルガスクのかげ


 いまだに、あのときのことをおもしたらむねけられるんだ。


 こわい。


 こわいけど、わたしはもう、沢山たくさんのことをリッタにおそわってきたよね。


 だから、この恐怖きょうふかう方法ほうほうってるんだよ!


 きをもどすために、おおきくいきんで。

 ありったけのこえを、します。


「ちょっと!! いきなりこんなことするなんてひどいよ!!」


 きっと、リッタならそううから。

 彼女かのじょはいつだって、恐怖きょうふけないんだよ。


綺麗きれい建物たてものだったのに、こわしちゃったらダメでしょ! それに、げられた瓦礫がれきちたら、まちにいるひとたちがあぶないじゃん!」

「なるほど、おな解放者リリーサー同士どうし似通にかよった部分ぶぶんがあるのだな」

てるっ!? えへへぇ、そうかなぁ」

「……」

「そ、そんなことより、あなたはだれ!? どうしてこんなことするの!!」

はレヴィアタン。おろかな人間にんげんさばかみである」


 レヴィアタン?

 らない名前なまえだね。


 ベルガスクが叡智えいち水盆すいぼんはいってたたましいんだとき、なにかへんだっておもったけど。

 まさか、名前なまえすらわってるとはおもわなかったよ。


 ところで、おろかな人間にんげんってわたしたちのことだよね?


わたしたち、なにかした? わるいところがあるならなおせるように頑張がんばるよ!」

人間にんげんおろかだ。かさねたつみ清算せいさんするためにたましいきよめねばならない。さもなくば、おろかな人々(ひとびと)けがれたたましいによって―――」


 だめだぁ。

 なにってるかよくわかんないよ。


「えっと、もっと簡単かんたんおしえてよ!」

「……やはりている。そのようなあまかんがえのものおしえることなどなにもない。おとなしく、そこですべてがほうむられるのをるがよい」


 なんか、あきらめられちゃったよ!?

 わたしのことは無視むしして、そのままオーデュ・スルスに視線しせんとしちゃった。


 もうすこ追求ついきゅうしたいけど、まずはちてる瓦礫がれきをなんとかしたほうがいいよね。


 そうおもって、瓦礫がれきうみほうばそうとしたんだけど、邪魔じゃまはいったんだよ。


「ちょっと!! なにするの!!」

「おとなしくていろとったはずだ」

「うわぁっ!! あぶない!!」


 真下ましたからんでくる水弾すいだんを、わたし間一髪かんいっぱつのところでけます。


 みずってっても、空気くうきくようなおとててんでくるのは、絶対ぜったいあぶないよね。


 そのおとのおかげでづけたけど、たってたらいたかったはずだよ。


 まぁ、安心あんしんしてる場合ばあいじゃないんだけど。


 つぎからつぎんでくる水弾すいだんは、わたしねらつづけてきます。


 どうにかして、やめさせなくちゃ。


 そうおもってたわたしは、あたりがジワジワとくらくなりはじめたことで、ようやく状況じょうきょう悪化あっかしてることにづいたのです。


くも? もしかして、あらしつくってるの!?」


 頭上ずじょうまれはじめているくろくもが、ゴロゴロとおとはじめてるよ。


 わたしねらってたようにえた無数むすう水弾すいだんは、あらしつくるためでもあったみたい。


 おまけに、レヴィアタンの3つくびのうちの1ぽんが、ものすごくあつそうなほのおはじめちゃった!!


 でも、されたほのおはネリネを背負せおってるサラマンダーが吸収きゅうしゅうしにってくれたみたい。


 あっ!

 今度こんどなが尻尾しっぽ地面じめんたたきつけようとしてる!


「もうっ!! どれか1つずつにしてよ!!」


 そんな文句もんくっても、いてくれるはずないのはわかってる。


 レヴィアタンだけじゃなくて、しんれとか魔物まものれもせまってるんだから。

 ここでわたし選択せんたく間違まちがっちゃダメなんだ。


「まずはあらしめよう。まえみたいに、全員ぜんいんねむらされるのが一番いちばんダメだよね」


 シルフィードをまとってるわたしさきにやるべきこと。

 そうおもって、頭上ずじょうのどすぐろくもかってぼうとしたわたしは、視界しかいはしげられたレヴィアタンのが、いきおいよく地面じめんろされたのをたのです。


 直後ちょくご、オーデュ・スルスをむほどの巨大きょだい大波おおなみ地震じしんが、そらさぶりました。


「ダメッ!!」


 せめて大波おおなみだけでもめなくちゃ!!


 そうおもい、進行方向しんこうほうこうえたわたしたのです。


 地震じしんくずはじめてたオーデュ・スルスの建物たてものが、突如とつじょあらわれた無数むすう植物しょくぶつささえられはじめたのを。


 そして、まちせまっていた大波おおなみが、またたこおいてしまったのを。


 もしかして。


 そうおもってすぐにさがしたわたしは、彼女かのじょたましい大聖堂だいせいどうがあった付近ふきんつけたのです。


「リッタ!!」


 おもわずさけんじゃったわたし

 でも、そんなこえはきっととどいてないんだよ。


 だって、ほぼ同時どうじこおいた大波おおなみがひびれて、なかからおおきなこおり巨人きょじんあらわれたんだもん!


 そしてその巨人きょじんはこうったんだよ。


かみかた不届ふとどものよ。みず主神しゅしんプルウェアのにおいて、さばきをくださん!!」


 神様かみさま二人ふたりてきちゃった。

 あ、ちがうね。

 リッタも神様かみさまだから、三人さんにんかな?


 なんて、リッタにったらおこっちゃうかも?


 でも私的わたしてきにはリッタが一番いちばんきな神様かみさまかなぁ。

 だって、ずっと一緒いっしょにいてくれるもんね。


 きっと、一緒いっしょなやんで、一緒いっしょ挑戦ちょうせんしてくれるから。

 さばくとか、わないとおもうのです。

面白いと思ったらいいねとブックマークをお願いします。

更新の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ