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流産にあこがれて  作者: 実鈴
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「こんなもんかって感じだった」

貫洞と別れてから、空前のモテ期がやってきた。中学の同級生やバイト先の先輩、友人の友人なんかから付き合いたいと言ってもらった。勧められてデートをした人もいたけれど、貫洞のように好きになれる人はいなくて、結局全て断った。


 彼氏ができたのは、貫洞と別れてから一年ほどたってからだった。結果から言うと、わたしはこの人と初めてのセックスをすることになる。


五歳年上だった彼は、セックスにいいイメージを持てないまま、拒むわたしのことを大切にしてくれた。それでも三ヵ月ほど交際すると、半ば勢いで行為に及ぶこととなる。

はじめてのセックスの感想は


「こんなもんか」

 だった。少し痛みはあったけれど、恐怖も嫌悪もないかわりに、初めてキスをしたときのような、幸福感や感動もなかった。


「こんなもんかって感じだった」


 未熟なわたしはそのまま伝えてしまい、彼はえらく落ち込んでしまった。

 

 そして思うのだった。相手が貫洞くんだったら、どう感じたんだろう。


 わたしは貫洞のことを忘れられなかった。夜中に貫洞からの手紙をこっそりと読み返すことが日課になって、時々彼氏に罪悪感を抱いたりしたものだ。

 もちろん、口にはしなかったし、貫洞と連絡を取るようなこともなかった。


 それでも交際が長くなると、いつかこの人と結婚するのかな?という気持ちも出てきた。

 具体的なプロポーズの言葉はなく、


「妊娠したらそれをきっかけに結婚するのはいいと思う」

 と、よく口にした。


 彼はあまりコンドームを使わなかった。年上の彼は『責任をとる』つもりはあったのだろう。わたしもセックスをするからには『この人の子どもを産む』つもりがあった。


 だけどわたしが妊娠することはなかった。

 順番は守るべきだ、と考えていたわたしにとっては好都合だったけれど。

 

交際も三年以上になり、平和な日々の中に物足りなさを感じていた。わたしはもう、貫洞に感じていたような、強い恋愛感情をこの人に感じることはないだろう。


このまま結婚することになったら、楽しいだろうし、彼の仕事は安定しているから生活も安心して送れるけれど…



わたしはいつか恋をしたい衝動を抑えられなくなるのではないだろうか。



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