わたしは振られたのだ
当時、わたしと貫洞が付き合っていることは、クラス全員が知っていた。だから報告する義務があった。
別れた理由には納得がいかなかった。彼は「他に好きな人ができた」と言ったわけでも「君の気持が重いんだ」と言ったわけでもなかった。
「どっちから別れを切り出したの?」
という質問には、
「相談して別れることになった」
と答えた。
貫洞と頻繁に連絡をとっていた男子がわたしに言った。
「実頼ちゃんの青春を無駄にさせちゃったって、言ってたよ」
そんなことあるわけなかった。
それからも、貫洞とはたまに連絡をとっていたけれど、わたしは「好きだから別れたくない」「やり直したい」と言うことができなかった。
プライドがあったわけでも、彼の気持ちを尊重したかったわけでもない。ただ、勇気がなかったのだ。素直になることができない自分のことが大嫌いだった。
わたしたちが別れたことを悲しんでくれる友達もいた。ふたりが交際していた一年十か月という年月は、高校生にとって短くない時間だった。
わたしがどれだけ貫洞を好きか知っている、友達のみなみが言った
「運命ならまた絶対会えるよ」
わたしはみなみの言葉を胸に、貫洞と連絡を取るのをやめた。
気が付いたのは、随分年月が経ってからだった。
別れた理由に納得のいかなかったわたしは、振られたのだ。話し合いなんて、少しもしていない。
本当の理由は彼にしかわからなくて、とにかくわたしは振られたのだ。




