番外編 フランシスの苦悩
思いついた番外編です。
これで 前世からの恋愛章 は完結となります。
最後までお楽しみください!
「旦那様、旦那様」
ヨハンは目の前にいる主人に声をかけた。普段はこの様な事をしないヨハンではあるが、入室してから今まで、頭を抱えたまま微動だにしない主人を見て、心配になったからだ。
声をかけた事でのろのろと頭から手が降ろされる。そしていかにもため息を吐きたいという様な表情のフランシスにヨハンは目を丸くした。
今までの業務ではこの様な表情を全く見たことがない。フランシスにどれだけ困難な業務が来たのだろうか、と未知の業務に取り組む気合いを入れるために、ヨハンはさりげなく背筋を伸ばした。
「ああ、ヨハン。どうした?」
「どうしたじゃありませんよ。もうかれこれ15分ほど頭を抱えておられましたので、心配で声をかけたのですよ」
「ああ、そんなに経っていたのか」
肩の力を抜くためだろうか、フランシスが大きなため息をつく。ヨハンはさらに緊張を高めた。
「それだけ旦那様を悩ませる業務というのは‥‥‥微力ながらもお手伝いさせて下さい」
「‥‥業務か?それはとっくに終わっている」
今度は此方が驚く番である。業務は全て終わっているのに、何故執務室にいるのかがわからない。今までは業務が終われば、すぐに寝室に向かうのが通例だ。
目を丸くしているヨハンに向けられたのは、フランシスの手元にある紙だった。その紙を見ると真っ白で何も書かれてはいない。
「では、何に頭を悩まされていらっしゃるのですか」
ここまで来たらなんとなくヨハンにも想像がついた。そしてその想像は、当たることとなる。
「‥‥ブリジットが俺を意識してくれなくて困っている」
‥‥‥やはりそっちか、という呆れと仕事でなくて良かった、という安堵のためか、ため息が出た。
フランシスはそのため息を呆れととったのだろうか、小声で話し始める。
「折角、恋人同士になったのに、彼女はいつも『仕事ですから』と言って侍女の格好で街を歩いているんだ。王宮で着たドレスまで行かなくてもいいから、普段着で一緒に街を歩きたいのに‥‥」
「でしたら、命じてしまえば良いと思いますが‥‥」
ヨハンのその答えに今まで小さい声がさらに小さくなり、フランシスはヨハンから顔を背けた。
「俺としては自主的に普段着で来て欲しいんだけど‥‥」
あれこれ言い始めるフランシスを見て、恋愛については実は奥手だった主人の新たな姿を見たヨハンだった。
フランシスのループする話を聞いてヨハンが最後に思うのは
「ブリジットを見つける前までの、あの積極性はどこにいってしまわれたのか」だった事を、フランシスは知らない。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
中々恋愛部分が書けなかったのが、反省点ですが‥‥完結できたこと、嬉しく思います。
そして本日より新作を執筆しています。
辺境伯令嬢は冒険者としてSランクを目指す
→ https://ncode.syosetu.com/n9132fi/
タグがうまく貼れなかったので、コピペですみません‥‥
冒険×恋愛をテーマにしたファンタジー小説です。
今の所ストックがあるので、毎日投稿を予定しています。
ぜひこちらも一読んでもらえると嬉しいです!
今後もよろしくお願い致します。




