4 予想通りの展開で辛い
「魔王の浮気調査⋯⋯ですか」
「まだ浮気かどうかは決まってないけどな」
⋯⋯正直、面倒くさい。面倒くさいが、やるしかないよなあ。
シルフは珍しくやる気だし、ここで魔王軍が内部分裂しても困るしな。
「その前に、フローラさんは1度落ち着いて下さい。はい、深呼吸!!」
「え、ええ」
俺の気迫に押され、フローラさんが面食らう。その一瞬の隙を見逃さない。
「情報交換を怠らず、即行で片付けましょう。フローラさんが持っている情報は何がありますか?」
「基本的なものは今ので全部だと思うわ。あの人、最初はほんとに慎重にあそこに通ってたみたいだから」
なるほど、最近になって少し油断してきていると。
「移動する時間は主に42時頃ね。それからちょくちょく怪しまれないように私とギムギスにさりげなく存在を示してくるわ」
42時⋯⋯毎度とんでもない値だと思うが、地球でいう21時のことだ。
「うーむ⋯⋯とりあえず今日から俺が魔王に直接付けばいいですかね?」
「そうね。私は盗聴器とか仕掛けて、遠回しに攻めていくわ」
「攻める」て⋯⋯。
「よし! それじゃあ今夜から作戦開始だな!」
シルフのその一声で、急遽行われた会議は幕を閉じた。
「⋯⋯まあ別に、俺はあの録音が他人に知られても気にしないけどなー」
1部の業界に、もう既に俺の悪名は出回ってそうではある。
「それなら、どうしてここまでやる気なの?」
「そりゃあ、まあ⋯⋯色々あるんだよ」
俺とシルフの2人では不安だったためついてきてもらった夏蓮に痛いところを突かれ、俺は適当にお茶を濁す。
夏蓮が招待されていない親睦会に参加するから、それまでに他のことは片付けておきたい⋯⋯なんて、口が裂けても言えない。
「はあ⋯⋯エリシャ、カンカンに怒ってたな」
「それは翔太がわざわざ理由まで答えるからだぞ」
うぅ⋯⋯。魔王の浮気調査とか正直言ってどうでもいいよな。俺も依頼じゃなきゃそこまで気にすることでもないし⋯⋯。
「それにしても、時間間隔が狂いそうだよ」
「それは、俺もだ」
「私もだ」
例の店⋯⋯「龍娘♡」は、検索をかければすぐに見つかり、どうやら魔王城と時差が24時間ある所に位置していた。
「しっ! 魔王が来たぞ!」
俺達は息を殺し、物陰でじっと店の様子をうかがう。
「おはよー皆。今日も1日頑張ろう!」
「あ、おはようございます! 店長!」
「今日もダサい服装ですね!」
魔王は、店の裏口から入り、店長と呼ばれ、挨拶をしていた。オマケになんかちょっと弄られていた。そして従業員は声を聞く限り魔王以外全員女の子っぽかった。
「ふざけんな! 予想通りの楽園じゃねえかちくしょう!!」
わかっていたさ、ホームページを見たんだから。わかっていたさ、あいつに女難の相があることぐらい。
わかっていたさ、この店は⋯⋯メイド喫茶であることぐらい!
「う⋯⋯入りたくない⋯⋯女の子に会うのとか、緊張するし⋯⋯」
「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」
後ろの2人からの「何を今更」という視線が痛かった。
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