3 対面
ズシンッ⋯⋯と、洞窟全体が揺れた⋯⋯ような気がした。が、
「い⋯⋯てええええええ!!!!」
眼前の岩には僅かに罅ができただけで、他に大した変化は見られなかった。揺れたのは洞窟ではなく、自分の身体だったのかもしれない。
「うああ、あぁ⋯⋯ああああ⋯⋯ぁ」
俺はあまりの激痛に右腕を左手で摩りながら、地面に倒れ伏す。もう動きたくない。帰りたくなってきた⋯⋯。
「く、そが⋯⋯!」
それでもなんとか立ち上がり、背負っていた木刀を左手に握り、構える。右腕は持ってきたエリシャのお守りでそのうち回復することを祈ろう。
岩にできた罅に木刀を無理矢理差し込む。涙と汗で目の前がぼやけているが、そんなことは気にしてられない。
(シルフ、頼む)
(まかせろ!)
小さな罅から、どんどん亀裂が広がっていく。⋯⋯。
(⋯⋯ていうか、コルトの時みたいに木刀を投げれば良かったのでは?)
(⋯⋯⋯⋯。よし、一気にいくぞ!)
「無視された!?」
などと言っているうちに、右腕の感覚が本来のものに戻ってきた。恐らくこれでお守りが1つ破損しただろう。⋯⋯残りはあと1つか。
ついに岩が砕け散り、先の光景があらわになった。
(まあでも、翔太が片腕を捧げた意味はあったと思うぞ)
(?)
それはどういう⋯⋯?
〈なんてったって、いつもより神性を2割増しにしといたからね!〉
「おお⋯⋯すげぇ」
よくわかんないけど。
「その身に余る神性なら、あいつにも手が届くかもな」
現界したシルフが指をさした先を見ると⋯⋯
「むむ、早かったネ。もうちょっと遅れるものかと思ってたヨ」
土の大精霊チャイドが宙に浮いて、言葉とは裏腹に悠然とこちらを見下ろしている。
「し、翔太⋯⋯?」
チャイドの下にはコレットがいて、既にボロボロだった。
「な、なんでここに?」
「いやー、あいつから果たし状を貰っちゃって⋯⋯」
はははっと、あえて余裕ぶっておく。
「あと、それがなくてもコレットのために何かしたかったんだよ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
彼女が複雑な表情を浮かべている。
「やっぱり⋯⋯翔太は強いわね。私とは大違いで⋯⋯」
「⋯⋯いや、そんなことはないよ」
それ以上かける言葉が見つからず、俺はコレットのすぐ隣に瞬間移動する。
「お話は終わっタ?」
そう言いつつ、頭上のチャイドは既に臨戦態勢だ。⋯⋯なら、最後に一言。
「こ、コレット!」
俺は彼女の目をしっかりと見据えて話す。⋯⋯コミュ障で緊張するけど。
「俺は別に物語の主人公みたいな境遇に酔ってるだけで、強くはないんだ⋯⋯だから、背中を押してほしい」
言い終わると同時に、俺はチャイドの方に向き直る。⋯⋯頭上からくるオーラに足がすくみそうになる。まあ、なんとかするしかないんだけど。
「多分終わりました! さあ来いや!!」
木刀を両手で握りしめる。「こんな棒きれでなにができる?」なんて考えはとっくの昔に捨ててある。
「はぁ⋯⋯仕方ないわね」
ぴとっと背中に温かな感触が宿る。後ろの彼女は「これじゃあどっちが助けに来たのかわからないじゃない」と呟いたのち、
「私がサポートするから、翔太はどんどん突っ込んで行ってね。⋯⋯さあ、行くわよ!!」
俺を背中から激励した。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
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あと2回ぐらいで決着を着ける予定です。




