4 戦闘はあくまでも程々に(したかった)
「―――もうなんとなく察しているかもしれないが、その木刀はな、ただの木刀じゃねえんだぜ?」
洞窟に移動する前に魔王が言っていたことを思い出す。
⋯⋯あの時は適当に流していたけれど、今こそ使う時かもしれない。
「準備はいいネ? さあ行くヨ!」
土の大精霊チャイドが、自身の周囲に岩塊を出現させる。
(シルフ、アレを頼む)
(ああ⋯⋯魔王の言っていたアレか。結構体力を食うから嫌なんだが、短期決戦ならいいか)
上空から、無数の岩塊が落ちてくる。見た目は、俺がここに入る時に壊した物と同じようだ。つまり、それだけ硬いと予想できる。
「ハアアアア!!」
シルフが木刀に特大の神力を注いだ。―――その瞬間、
「おお!」
「パアンッ!」と柄以外の部分の表面が弾け、本来の、刀身が現れた。
キラリとまるで金属のように光っていて、思わず見惚れてしまいそうになる⋯⋯が、今は感動している場合じゃない。
「オラオラオラァ!!」
ものすごい勢いでこちらに落下してくる無数の岩塊を、次から次へと真っ二つにしていく。
(す、すげえ!)
もうなんかこれだけで満たされた気分になりそうだ。
「その木刀はな、御神木刀と言ってな(命名魔王)、シルフが力を一気に注いだ時、本来の刀身が現れる仕組みになってるんだ。⋯⋯ああ、ちなみに、刀身が出てきたあとは、最低限の神力を注いでくれていれば維持できるぞ」
シルフが力を完全に供給しなくなったら元に戻る⋯⋯だったっけか。
なんにせよ、これなら突破口があるかもしれない。
「なん⋯⋯か! 身体も軽いし!」
「私は翔太の中で補助に専念させてもらうぞ。今の私では現界していても足を引っ張る可能性があるからな」
こう見えて、意外とシルフは合理的な考え方をしている。
それはそうと、本当に身体が軽い。というか、力が漲っている感じだ。
「フフフ、ここからが本番ですヨ!」
チャイドが白い球体を出現させ、それを叩く。
「うおっ!? 眩しい!!」
なんだなんだ!?
(土の大精霊は、どんな鉱石でも生み出せて、自分が生み出した物は自由自在に操れるんだぞ)
な、なるほど⋯⋯。
「げげっ!」
光が弱まったと思った途端、今度は俺達の周囲に無数の岩塊が出現していた。
どこからでも出せるのか!?
「回避するぞ、コレット!」
「わかったわ!」
コレットが背中に触れているのを確認して、俺は瞬間移動を実行する。
「ワハハ!」
「だよね!!」
飛んだ先は、チャイドよりも更に上だったんだが、即行でこちらに攻撃をしてきた。
もう一度地面に飛ぶ。
「コレットは、補助を頼む。ただ、ここ一番の時には突っ込んで来てくれ」
「り、了解!」
あんまり彼女から離れたくなかったが、背に腹はかえられないか。
(行くぞシルフ!)
(ああ、任せろ!)
一足飛びで、チャイドの方へ向かう。
「むむ⋯⋯それじゃあ、無理だヨ!」
無数の、それもどこからでも、大小様々な鉱石が俺に迫る。
前方に来る物は、俺が切り、それ以外からくるのは、シルフに任せる。
「ぐ!?」
触れた瞬間、鉱石の1つが破裂した!?
「うわわ!?」
次は光った!? ⋯⋯本当に自由自在だな!
「まずは、1発!!」
それでもなんとかチャイドの目の前まで迫り、御神木刀を1振り⋯⋯しようとした。
「ここまで⋯⋯カナ?」
(?)
(翔太避け―――)
ぐしゃっと、俺は突如現れた岩どもに、避ける間もなく潰された。
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今回もボケが少なくてすみません。次回は……いや、多分次回までは無理ですね。




