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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第3章
67/233

11 やっと祭りに参加出来たと思ったのに……

急展開です!



「あ〜、暇になりたい」

「ほらほら、そんなこと言っている暇があるなら手を動かせ!」


 式典がある程度進行した後、屋台の予定がある俺や夏蓮や魔王、仕事の時間が近いらしいチトセ達は会場から離脱し、行くべき場所に向かった。


「そして俺は『どうせだーれも客なんてこねえだろ』とかなんとか言って、自分の昼飯用の焼きそばを作ってたんだが⋯⋯」

「いやーまさかこんな所で出会うとは、偶然ですね!」


 和服を着た美男子が冗談を述べる。髪色はこの世界では比較的珍しい黒色だ。


「ところで()()()さん、主様は一体どこへ?」


 そう、何を隠そうこの目の前にいる男こそが、昨日出会い、別れたばかりの影の神の眷属(けんぞく)代表、カラスさんである。ちなみに他の眷属の人達も続々とこちらに集まって来ている。もちろん人型で。


「お、ほんとだ。あの紋章は魔王様が考えたいかにも若気の至りなマークじゃねえか」


 俺のTシャツの左胸あたりに印された紋章を見た男性の声が聞こえる。⋯⋯魔王、様?


「へい大将! お好み焼きはまだかね?」


 俺が頭の上に疑問符を浮かべた時、眷属達の催促(さいそく)の声が上がった。へいへい、急いでますよ!


(シルフ、もしかして⋯⋯)

「へい大将! 焼きそばパンは? まだ?」

(そうだ。あの雰囲気はたぶん100年前に⋯⋯いや、100年前から魔王に仕えている悪魔達だ)

「へい大将!」

「ああもううるさいぞお客さん! 今脳内会話してる最中だっての!」


 各地から「そんなの知るか!」といった抗議の声が聞こえる。ごもっとも! だから、手を速めることにした。


「おいあんちゃん、さっきそのTシャツを着てた女の子が迷子センターに小さい子を届けに行ってたぜ」


 気になるが、だからなんだと言うのか。俺は構わず作業を続ける。


「そういえば聞いたか? 時空龍様には子供がいるんだってよ。それも可愛い女の子だって言う(うわさ)だ。⋯⋯ま、俺達みたいな一般人にゃあどうでもいいことかもしれねえが」


 気になる⋯⋯が、後回しだ。勘定に徹しているシルフが「あ、一般客だ⋯⋯」と口に出していたが、特に反応は見せないでおく。


「王国側近の魔導師に、70股をやらかしたやつがいる!? そんな馬鹿みたいな噂があるのか!?」


 気にならねえ⋯⋯。今度は打って変わって全く気にならない話題だ。あと、よくこのネタ拾ってきたな。多分誰も覚えてないぞ。



「やっと落ち着いてきたな」

「いやどこがだよ⋯⋯レンが戻ってきただけだろ」


 少し()って、夏蓮が戻ってきてくれたため、勘定を任せて俺とシルフは鉄板料理に専念することにした。


「にしても、まさかこれほど繁盛するなんてな」

「まあ大半が魔王とそれに関わる知り合いだが、もの好きな一般客もちらほらと見えるな」


 その間にも老若男女、様々な人種が屋台を出入りし、結果的には屋台の賑わいは先程とさほど変わっていなかった。それでも、シルフのおかげでこちらに声をかけてくる人達に簡単な返答はできる状態になった。


「お、あんたが魔王軍に入ったっていう新入りか」

「おうよ!」


 俺より背が少し高い、普通の男性が声をかけてきた。俺は元気良く返事をする。もう俺が人見知りなコミュ障だってこと、誰一人覚えてないかもしれない。俺も覚えてなかったし。


「どうでもいいかもしれないが、さっき、土の賢者の最終試練が開始されたっていう話だぜ」


 ふむ、本当にどうでもいいな。土の賢者の最終試練など⋯⋯って、


「ハハッ⋯⋯⋯⋯⋯⋯もう一度」


 リピートアフターミーならぬ、ワンモアプリーズというやつだ。


「だから、さっき、土の賢者の最終試練が開始されたって話だ―――」

「なんだってええぇえええぇぇえええええぇぇぇぇえええええええ!!!?」


 俺は、「え」がゲシュタルト崩壊するほど叫び、あまりの衝撃で、作業していた手を止めてしまった。

 鉄板の上では、ジューと音を出しながら、香ばしいソースの香りが立ち上っている。


 どうするどうするどうする!? いや、別に俺が何かしなくてはならないとかそういうわけではないんだけど。それでも何かすべきなのでは!? 正確には、何かすべきだったのでは!?


「翔太! 手を止めている場合か!」


 そう俺に一喝したのは、果たしてシルフではなく、いつの間にか屋台の後ろ側にいた魔王だった。


「な⋯⋯魔王様だと!?」

「本物か!?」

「ああ! あのパッとしない雰囲気は魔王様そのものだ!」

「みんな、とりあえず(ひざまず)け!」


 つかつかと俺の方に歩み寄り、俺とポジションチェンジをする魔王。


「ここは俺に任せてお前はこの場所に速く行け⋯⋯試練の会場の写真を入れてあるから」

「でも⋯⋯」


 急展開過ぎて当惑したい気分だが、そんなことを言っている場合ではない。俺は咄嗟(とっさ)に突き出された便箋(びんせん)を受け取る。


「『俺なんかが行っていいのか?』だって? それ、よく見てみろ」


 渡された便箋の表紙を見てみると、「果たし状」とお世辞でも綺麗(きれい)とは言えない字で書かれていた。


 これは⋯⋯


「つまり、土の大精霊サマは、お前達もご所望なんだよ」



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


こんな時間になってしまってすみません……。

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