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「そういえば、魔王達はどこにいるんだ?」
道中、俺はそんな素朴な疑問を口に出す。
主役のコルトはともかく、他の者はどこにいるのだろうか。
「魔王達は別室だな。⋯⋯というか翔太、気がつかなかったのか?」
「?」
いつの間にか現界していたシルフが答えてくれた。⋯⋯が、何の事かはさっぱりだ。
「今ここにいるこいつらは魔王達よりもお前に興味があるもの達だぞ」
「つまり⋯⋯?」
「皆まで言うな、というやつだが⋯⋯とりあえず、こいつらは相当なもの好きだとだけ言っておこう」
「なんだよ、そんなにみんな俺のことが好きなのかよ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
⋯⋯え? 否定しないのか、冗談だったのに。これじゃあ俺が自意識過剰なやつみたいじゃないか⋯⋯。
「そんなことより、翔太君は着替えないと」
「あ、うん」
そういえば俺だけ正装に着替えてない。コレットもついさっき着替えた所だと言うのに。
「はい出来ました! うんうん、似合ってますよ」
チトセがパチッと指を軽快に鳴らすと、その次の瞬間には俺の服装が変わっていた。
「お、おぉ⋯⋯」
「これが翔太君に覚えてもらう次の段階です。まあ指を鳴らす必要はないんですけどね」
「単に見栄えの問題ですよ」とチトセが補足する。
「はぁ⋯⋯まるで緊張感のないやつらめ。まあふたりとも役割は既に終わっておるしな」
そんなため息混じりのエリシャの呟きが聞こえた。
「着いたぞ。この扉の向こうが式典の会場じゃ。もう時間がないからな」
着いてしまったか。この大きな扉の向こうにはなにが待ち受けているのやら⋯⋯不安だ。
扉の前にいた兵士のような人達にエリシャが何やら話し、扉が仰々しく開く。
「うお!? まぶしっ!?」
果たして扉の先には豪華な正装を着込んだ沢山のひとたちが綺麗に参列しており、その向こうには数えきれない程の人々がこちらの様子を見守っていた。
「向こうの人達は⋯⋯一般参加の人か?」
(そうだな、それだけコルト達が愛されているということだろうな)
それにしたって多いな。俺がどれだけ頑張ってもこれだけの人々に好かれるようなことは出来ないと思う。⋯⋯というより、
(結婚式か!)
(あながち間違いでもないぞ。というより、速く持ち場につけ。確かチトセの隣だぞ)
(お、おう)
シルフの指摘を受けて、俺は早足でチトセの隣に移動する。その俺の隣にはコレットが来た。
「⋯⋯緊張しますね」
「そうだな」
「吊り橋効果とかあるのでしょうか?」
「いやーそれはないんじゃないかな」
ははは⋯⋯と笑って誤魔化す。なにせチトセが身体の向きを変えずにぐいぐい寄って来ているから。
「お前達、もう式典が始まるんだぞ。もう少し落ち着いてくれ」
「はーい」
「へいへい」
(⋯⋯敬いが足りんぞ!!)
シルフが俺とチトセの間に割って入るように現界し、注意する。⋯⋯まさか俺だけに聞こえるように叫ばれるとは。
「ねえ、翔太の隣の人って、時空龍様よね?」
「え? あ、うん⋯⋯多分」
それまで俺と話をするどころかこちらを見てもくれなかったコレットが突然口を開いた。
「綺麗な、神様ね」
「そ、そう? 綺麗つってもなにかと世話のかかるやつだよ。すぐ拗ねるし、すぐ怒るし⋯⋯痛い!」
「おっと、足が滑りました」
俺の足をチトセが勢いよく踏んだ。⋯⋯足が滑ったってなんだよ!
「へぇ⋯⋯」
そう呟くコレットからは、未だに陰りが消えなかった。
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