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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
4章
40/233

7 体の節々が痛い



 俺は、彼の思想を否定する気はない。だが、これだけは言っておかないと流石に気がすまない。


「だ⋯⋯れが、『正論』なんて言った⋯⋯?」


 俺は、コルトの後ろへと瞬間移動していた。正直次から次へと瓦礫(がれき)が叩き込まれる中、よく落ち着いてイメージできたなと思う。⋯⋯まあ、左手の感覚はもうないんだが。


(シルフ、次が最後の一撃にする。あいつの槍を吹き飛ばす程の力加減で頼む)

(わかった)

(あと⋯⋯⋯⋯ってことで、()()は任せたぞ)

(ふむ⋯⋯任せろ! 必ずなんとかしてやる!)


 「本当に心強いな」と思いながらも、俺はコルトに向き直る。


 俺は、正論を言えるほどできた人間じゃないし、もっと言うと、正論なんて大嫌いだ。少し、虫唾(むしず)が走るかもしれないが、どうか最後まで聞いてほしい。


「最近考えたんだよね。『復讐(ふくしゅう)は何も生まない』なんてのは幻想だって⋯⋯もちろん、『復讐した本人の気が済めばそれでいい』なんてのもな」

「⋯⋯?」


 突如始まった自分語りにコルトは困惑している様子だ。それでいい、戯言(ざれごと)として聞き流してくれていいから⋯⋯頼むから俺の呼吸を整えさせてくれ。


「復讐は復讐を生む⋯⋯これが、俺の考えた結論だ」


 もちろん、ある程度状況が限られている場合においてだし、例外だってどうせある。今朝考えた結論だからな。


「異論は認める。ただし、結局、俺が1番言いたいことはというと⋯⋯お前は真の勇者と成りえるのか否かということだ」

「⋯⋯何が言いたい?」


 いいぞいいぞ。このまま続けよう。


「だから、つまりはだな。お前は、復讐のためにその()()()を使うのか?」

「当然です。今だって⋯⋯」

「その、魔王を倒したらどうする?」

「⋯⋯⋯⋯」


 しまった。少し急ぎすぎたな。⋯⋯まあ、良しとしよう。


「思い出せ。コルト・エルドラド! 天涯孤独(てんがいこどく)の身になった時、お前を支えてくれたのは復讐心だけか?」

「それは⋯⋯」


 ダメ押しのカードをここで切ろう。


「それに、どうして地龍が仮とはいえ契約に応じたと思う?」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


 地龍は、世界の維持を任せられている神の1柱だ。性格とかはわからないが、同じ役割を持つ風の大精霊(シルフ)と、時空龍は、自分の認めた者に力を貸している。


 そして、地龍は100年前の大戦では魔王側だった。なら、復讐だけに手を貸す悪いやつではないだろう。


「僕の⋯⋯思想を全て見ていたということです、か?」

「そういうことだ。お前は、勇者に成れるほどの心意気を持ったやつなんだろ?」


 コレットに聞いていた話じゃあ、困っている人を放っておけない性分(しょうぶん)なんだそうだ。俺なんかよりよっぽど優れてるな。


 きっと、世界の残酷さを体験した後に、世界の優しさもその身で味わったんだろう⋯⋯というのは、コレットの見解だ。


「⋯⋯そうですか。でも、それでも僕はここを押し通りますよ。たとえ、あなたに敵意がなくとも」

「わかってる。でも、俺はここで大人しく引く人間じゃないんでね」


 残念ながら、魔王城にあるほとんどの便利な魔道具は企業秘密の代物(しろもの)ばかり⋯⋯こちらの手で商品化する前に、うっかり見られてしまっても困るのだ。



「行くぞ!」


 と宣誓した後、俺はコルトの(ふところ)に瞬間移動する。当然、コルトには予測出来ていたはずの動きだったんだが。


「⋯⋯!」


 コルトの動きが、突然(にぶ)くなった。⋯⋯どうやら、魔王の方は片づいたらしい。

 俺はそのまま、突き出された槍を右手の渾身(こんしん)の一撃で吹き飛ばす。そして、頬に1発、ビンタを食らわせようと⋯⋯思ったのだが⋯⋯。


間一髪(かんいっぱつ)でしたよ⋯⋯」


 いや、まじかよ。


(俺の腕にナイフが刺さってるんですけど! しかも感覚ないんですけど!?)

(神経を麻痺させる毒が塗られているな。流石地の勇者候補、抜かりのない立ち回りだ)

(それじゃあ⋯⋯任せるわ)

(ああ)


 俺は殺傷部を見続ける。⋯⋯後ろに現界した、シルフを気づかせないために。


「ほいっと」

「!? ⋯⋯な!?」


 シルフにスタンプを押され、コルトの動きは完全に止まった。


「いやー危なかった危なかった⋯⋯」


 懐に()()()時、スタンプを落としておいて正解だったな。


「まあ、色々と思うところはあるだろうけど⋯⋯」


 そう言いながら、俺はコルトの足の上に、足を乗せる。⋯⋯別に、踏んで(あお)っているわけじゃなくて、手がろくに機能してないから、足で触れているだけだからね?


「とりあえず、エピローグと行こうや」


 俺は、シルフが汚れに汚れた服の端を(つま)んだのを確認してから、魔王城内に瞬間移動をした。



遂にやり遂げました!

うおーやったぜー!!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

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