(第二部)四十三章 色は伸びる
(第二部)四十三章 色は伸びる
色は伸びてゆくことがある。
意識をかけると伸縮する。
意識をかけるといっても色を伸ばすのは脳内で思考する程度には伸びてくれない。
意識的に伸ばそうとするのにはずいぶん鍛錬が必要のようだ。
自分の場合、色は体調や意識状態によって見えないことが多いし、普段気にせず生活しているので色を見ようと意識しないといけない。
この色の制御を上手く行えば、伝説的な情報で申し訳ないのだが色々と不思議なことが出来るらしい。
らしいというのは、早々にこの色の伸縮制御について見切りをつけて別の分野を研究していったからだ。
不思議な中でも色を綱のような使い方が出来るともものの本に書いてあったが、制御可能な綱・・・をイメージしてほしいが、いやイメージの仕方が悪いのかどうか判らないが映画や漫画などで怪物の付属品に出てくる触手のイメージを持ったがゆえの、この方法を研究したくないという感情だ。
やれば面白かったかも知れない。
ただ妖怪じみて嫌だっただけだ。
今日もきょうとて教室のモブをおとなしく実践しながら観察としゃれこむ。
観察といっても注意しなければならないのは、案外に意識が高い系の女子は視線を感じるのが敏感なのかそういう感覚レーダに抵触しないように観察しなくてはならないということだ。
不注意に色を見ることに注意力を集中し、観察だけに力点を置いておけば後の禍がやってくる。
禍といっても大半はウザいという程度で終わるが、妙な色気のある男子の正義感に抵触すればウザさは倍増するので、そこはそれ注意すべき点だ。
たまたま運が良く色がはっきりと見える。
があまりに意識を解放しすぎると、教室中の人々の固有オーラの色が重なって意味がわからなくなることもある。
そうなってしまうと頭に血が上ったような感じで、酩酊感や嘔吐感が出てくるので慎重にしなくてはならない。
観察していると自分の教室に別クラスの人気の良い女子が入ってきた。
と思うと観察対象付近の男子二人から眼の位置から色が伸びて、その女子の肩の辺りに引っ付いた。
色が伸びる一瞬前に澱んだ桃色に二人の男子の色が変わっていた。
「ああ、あの二人はあの女子が気になっているのか・・・。」
別の場所に向いて二人の男子が話していても、ずっと色の綱は伸びてひっついているままだ。
別の休憩時間でのこと。
何かの委員会か何かの話のようで、数人の男女が集まって話をしている。
とある男子がとある女子に用件を話しているようだ。
そのとある女子は表面上真剣に聞いている様だが、色がはっきり見える程度の薄い桃色にオーラがなっており、さらには尾骶骨辺りだろうかそのあたりから四十センチくらいだろうか尻尾みたいな常態の形の色が出てパタパタと也有に揺れている。
何かの拍子にその女子が、その男子に距離的に近づく機会があった、その時に振られていた尻尾のような色は制止し、それは伸びて足の間を通りその男子まで伸びていった。
が、その男子の色は青色で冷静な感じで、その女子の尻尾の色は付着することが出来ず暫くするとその女子は距離を開けていった。
色は思考にも反応するが、感情や深い欲には自然と反応するのではないかと仮説し、いまだこの日に立てた仮説は間違いではないのではないかと思う。
心のつながった仲の良い男女の色はお互いにつながって一つになって、良い状態の時にはハートマークのように色が見えることもある。
そういう物なのだろう。
未だに観察することが終了しているわけではなく、時折ぼんやりと人々を眺めているときもある。
もちろん人の迷惑にならないようにだが・・・
次話投稿は12月8日または15日の17時の予定です。
楽しみにしてくださっている方遅筆ですみません。