表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の花  作者: しらゆり
1/6

百合子

また今日も逢えなかった――――――――

そう呟くのも、もうどのくらいになるだろうか。

《百合子》は教室の窓から校庭を見下ろす。野球部員達が強い日差しの中、汗を流して走っている。

こんな真夏に外で走り回らなくてはいけないなんて、部活動というものはなんて過酷なのだろう。どの部活にも所属したことのない百合子は思う。

今は夏休み、教室内には百合子以外誰もいない。百合子は、今では珍しくなったセーラー服の胸元を摘み扇ぐ。

それにしても今年の夏は暑い。異常気象は年々悪化し続け、日常生活に支障をきたす程だというのに、学校というものは昔と何ら変わりなく存在している。教室にエアコンは無く、家庭用より少し大きめな扇風機が心許無い風を送り出している。

窓辺の席に座り、靴下の履いていない素足を机の上に乗せると、風が来る度にふわりとスカートが捲れ、百合子の白い肌が日差しを受けて光る。

日焼けのしていない陶器のような百合子の肌を見て、羨む者はここにはいない。大きな瞳や長い睫毛、赤いふっくらとした唇、艶のある黒い髪も、全て憧れの的であるはずだった。だが周りが百合子を見る目は妬みの類いのものであった。

失敗だ、と百合子は後悔する。前回の“平凡な容姿”でも物事がうまく運びづらかったが、今回は更に動きづらかった。その証拠に、この“夏休みの呼び出し”である。面倒な事はなるべく避けたかった百合子は、ここに来てから何度目かの溜息をつくと、また校庭を眺めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ