「望まぬ再会」
某オープンワールドRPGにどハマりし、完全に更新が疎かになっておりました
33話「望まぬ再会」
「ソフィー、お前は一体どこに居るんだ…」
ジークフリートは、王宮の自室の窓の外から月を眺めながら、そう呟いた。
その声がソフィーに届く事が無いのを分かっていたが、その言葉が口から溢れるのを止めることは出来なかった。
あの日の出来事…ジーク自身が意識を失った後に、何があったのか、その真実を知って以降、ずっと心の中には後悔の気持ちが常に存在していた。
更にそこに加えて、1週間前に王都を出発していたアイシャとアリアの事も気がかりだった。
レイモンドに聞いたが、魔法研究の素材集めとしか教えて貰えず、詳しい事は知れなかった。
もしかしたらソフィーに関係しているんじゃないかと予想はしたが、自分が教えて貰えて無いのを踏まえると違う気がした。
(ソフィー、もし、また会えたら、俺の謝罪を受け入れてくれるだろうか…君の隣に居ることを許してくれるだろうか…)
「済まない…ソフィー」
懺悔の言葉を口にして、無意識に拳を力強く握っていた。
そんな曇っていた心の中とは対称的に、ジークの目の前には、魔王ギルガゼイヤとの戦いの前に2人で見た星空とも負けず劣らずの優美な夜空が広がっていた。
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転生して初めての飲酒の翌日…
その日は、珍しく何故か痛覚を感じる拷問される悪夢を見ることも無く、目を覚ました。
だが…
「いっ…た…」
起き上がろうとした瞬間、頭を割るかの様な頭痛が彼女を襲った。
思わず、右手で頭を抑える…若干の胸焼けもした。
「この痛み…なんで…」
前世の記憶に、何となく残っている覚えのある痛みだった。
「あらぁ、やっとお目覚めですか〜?酔っ払い、お・じょ・う・さ・ま??」
いつの間にか部屋の入口に立っていたレイが笑顔で寝起きのソフィーに話しかけてきた。
屋敷で毎日着ていたメイド服ではなく、動きやすそうな普段着に近かった。以前ソフィー自身も着用していたのにも少し似ていた。
そんな彼女の顔は笑っていたが、彼女の心の内側から冷気に近いオーラが漏れだし、全身に纏っていた。
その様子に後ろにいるアズラエルが、呆れた顔で居た。
そして、酔っ払いと言われた瞬間、昨日の出来事を思い出した。
「あっ…やば…」
酒を口に運んだ所までは覚えているが、その先の記憶が、綺麗さっぱり欠落していた。
だが、レイの表情を見る感じだと、何も起きなかったとは思えない。
(とりあえず謝るのが先決か…)
そう思い、ソフィーは、ベッドのヘりに座り、レイに向き合った。
そして…
「昨日の事はごめんなさい…」
と言って素直に深々と頭を下げた。
「はい、よく言えました。でも、それを直接言わないといけないのは、私じゃないですよね?」
本当に謝罪すべきなのは、当事者の2人に対してだ。
「うん…後でちゃんと…村に行くよ…」
若干眠気を含んだ言葉で返事をした。
「はい、そうしてください。」
表情は普段と変わらなかったが、言葉の節々に怒りに近い感情が篭っているように感じた。
実際、ソフィーがした事は思いっきり叱られても仕方の無い事であった。
“主は、本当に退屈させないな。実に面白い。”
(それどういうことよ!)
“そのまんまの意味だが?”
(あっそ。)
からかってきたアガレスに対し、素っ気なく返事をした。
「それで、私、何かやばい事しちゃった?吐いたりとか…」
レイに飲酒した際の、被害状況を尋ねた。
「えっと、トレイス様曰く、酔って眼帯を取ろうとしたって…」
「あっ…それは…」
“危なかったぞ…見られるのもそうだが…”
(周りへの被害もね…)
眼を移植されてから、それなりに時間は経っていた。だが、アガレスは未だに眼を使う事を賛成しない。
第一の理由は、ソフィーの体そのものが耐えられない。
第二の理由は、周囲に一切の害を与えない様に、制御が出来ない。
ソフィー自身も、それなりに時間が経過したにも関わらず、アガレスの力を使いこなせない現状に不甲斐ない気持ちでいっぱいだった。
(せっかくアガレスがくれた力なのにね…)
“仕方あるまい。そもそも闇属性自体が、悪魔以外には耐えられない代物だからな。我達の魂そのものが闇属性の魔力によって造られているに近いからこそ、扱えているとも言える。”
(じゃあ、なんでギルガゼイヤは出来たのよ。)
“彼も最初から使いこなせた訳では無い。両眼を移植されたわけだから、今の主以上に辛かっただろう。だが、長い時間の中で、その魔力を元からあった自身の魔力と完全に混ぜ合わせ、自らのものにしたからこそ、強大な力となったと言える。”
(なるほどねぇ…じゃあ、私もいつか出来るってこと?)
“そのいつかは非常に不透明だがな。前にも言ったように、我が使っていた依り代の体は蛇髪族だった。人間よりも眼に関して特別だから、尚更制御は容易ではないだろう。何かがきっかけに突然扱えるようになる可能性もあれば、段々と変わっていく可能性もある。”
(そっかぁ…)
ソフィーの中では、よくある日常の脳内会話を繰り広げていると…
「ちょっと!お嬢様!また無視ですか?このやり取り一体何回目ですか?」
「あっ…」
目の前にいるレイを完全に放置して、アガレスとの会話に熱中してしまった。
最近彼女自身も気付きつつある悪い癖になっていた。
ソフィー自身は、内側で真面目に話しているが、傍から見るとボーッとしているようにしか見えなかった。
「ちゃんと聞いてください!この後、村に行くならおつかいをお願いします。」
「分かった。お易い御用よ。」
ソフィーは自信があることをアピールするかのように快諾しながら立ち上がった。
「種類は任せるので、肉を4人分お願いします。購入と狩猟はお嬢様にお任せします。ただし無茶はしないで下さい。後、服をダメにするのも禁止です。」
「はぁーい」
(やっぱり完全に保護者よね、言ってくることが。)
“主よ…原因の種を撒いているのが主自身だと言うことは分かっているのか?”
(うっさい!)
“はぁ…”
呼吸なんて必要のないはずのアガレスから非常にわざとらしい溜め息が聞こえた所で、また無視をして怒られる前にアガレスとの脳内会話を無理矢理気味に終わらせた。
他にすることが無いとしても、こんな雑な扱いを何度もされながらもソフィーのために尽力するアガレスの忍耐力は凄まじいものだ。
その後、素早く服を着替えて村に行く支度を済ませ…
「それじゃあ、レイ、アズラエル、行ってきまーす!」
と言って、子守り兼監視者のトレイスを肩に乗せて、目の前で村へと転移した。
その姿を、留守番の2人はソフィーの背中を見送ったのだった。
そして、レイは、ゆっくりと一回溜め息をついたのだった。
そして、ぽつりと一言
「この生活が…いつか壊れる日が来てしまうのでしょうか…」
不安げにそう呟いた。
「分かりません。ただ、1つ言えるのは…私も、トレイスも、きっとソフィー様も仮にその様な運命が訪れたとしても、簡単に受け入れず、抗い、戦いに身を投じるでしょう。」
「そうですよね…」
(だとしても…傷つくお嬢様を見るのは…)
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「とりあえず、店を見ていい感じのが無かったら狩りに行こ。」
「御意。」
いつものルートで、村にある唯一の肉屋に向かいながら、レイに頼まれたおつかいの事を話す。
「ソフィー様。狩りに行くとなったとしても無茶はしないように頼みます。主に何かあってアズラエルに怒られるのは我なので…」
「はいはい。気をつけます。」
肩にいるトレイスに更に釘を刺されながら村の中を進む。
傍から見ると1人でブツブツつぶやく非常に怪しい光景である。
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毎日様々な事で釘を刺され、何かやらかす度にレイとアガレスに叱られるが、いつの間にかソフィーにとってはこの環境がどこか愉快で、心地いいものになっていた。
少なくとも、家での4人の不思議な生活と、クトル村でのマナとルナと遊ぶ間だけは、自分の体が背負っている重荷の事をほんの少しでも忘れる事が出来ているような気がしたのだ。
身勝手かもしれないが、少なくとも今だけはここで楽しんで良い気がしていた。
今だけは、楽しんで良いんだと自身の心に言い聞かせることで、まだそんなに時間の経っていないアガレスに出会う前の生活と心の傷を誤魔化し、忘れようとした。
アガレスもその事を何となく察し、ソフィーの自由にさせていた。
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(うーん…アガレスどう思う…?)
ソフィーは、肉屋の前で何を買うか悩んで居た。
“微妙なのしかないな…お世辞にも良いとは言えんな”
肉の品質等は、アガレスの眼である程度は鑑定することが出来る。だが、それでもレイが納得しそうな物は無かった。新鮮でない物、量が少ない物ばかりだった。
「アラースさん、今はこれしかない感じ?」
ソフィーは店番をしている男に尋ねた。
「あぁ、すまんなソフィリアちゃん、なかなか良いのが捕れなくてな。うちの狩人にも、冒険者にも頼んでいるんだがな。」
ソフィーにアラースと呼ばれた男は若干申し訳なさそうに説明してくれた。
「ううん、別にアラースさんは悪くないよ。また来るよ、じゃあね。」
そう言ってソフィーとトレイスはその場を後にした。
「さてと…トレイス、今日は何が食べたい?」
村の周りの森に向かいながら肩に居る鷹に注文を取っていた。
「そうですね…猪か熊辺りはどうでしょう?」
「決まり!」
(アガレス、探して。)
“承知した、主よ。”
本来であれば、鳥になれるトレイスに上空から探して貰うのがセオリーだが、今のソフィーの魔力探知はアガレスの制御によって、その時にもよるが、最低でも、クトル村周辺の森林を円形に1キロ近くをカバーしていた。
(どこかに良い感じの居ないかなぁ〜レイにも褒められたいし…)
“なっ、主、それが目的だったのか…”
(それは2番目!食材を手に入れたいのが1番目!)
“そういう事にしておこう。”
数分後…
「やっぱりさ、トレイス、このまま闇雲に探すのもあれだし、上空からお願い出来ない?」
アガレスには森を散策するのがめんどくさがっている様にしか見えなかったが、空からの情報の有用性は分かりきってたので指摘はしなかった。
「御意。」
一言そう言ってトレイスは肩から離れて飛び立って行った。
気づけば豆粒程の大きさになっていた。
そして、探すのを面倒くさがったソフィーは村の中のベンチに腰掛けて、アガレスとの会話を再開した。
(そういえばさ、アガレスって、私の事主って呼ぶくせに時々立場逆転してるよね。)
“そうか?かなり協力していると思っているが…”
(なんか、時々保護者にしか見えない時あるし、都合悪い事教えてくれないじゃん。)
“保護者に見えるのは、主の生活習慣が原因だと思うが…”
(後者は?前に聞いたダンタリオンってやつの事、未だに教えてくれないじゃん。)
“そう…だったな…”
(ほら、また露骨に嫌そうじゃん!レイの事を襲った奴らはそいつの命令だって言ってた。それに夢でアガレスの記憶を覗いた。)
“それで、何を見たんだ?”
(アガレスが捕まってあの部屋に連れていかれた時、そいつが居た。)
“なるほどな…”
(アガレスがあそこに捕まった時と、さほど容姿が変わっていなかった事、亜人の見た目でも無かった。)
“つまり…?もう主の中で正解は出ているんじゃないか?”
(そいつも悪…魔?)
“71番目だ。”
(下から2番目…って事はそんな強くなさそうだけど…)
“一応伝えておくが、主よ、まずその概念を取り払ってくれ。素直に上から順に力量が定まっている訳では無い。確かに、1桁はギルガゼイヤから武器を与えられているから出鱈目の強さを手にしている。だが、その強さも綺麗に番号順とは言えない。我が使っていた体のように、それぞれ依り代にしている体も異なる。それに、全員が戦闘職という訳でも無いからな。”
(そっ…か…ていうかそれより…)
“王都内に悪魔が入れている事が疑問か?”
(うん。こんなの知られたら大騒ぎよ。悪魔に同僚を殺された人もいる訳だし。)
“おそらく…この事を知っているのはほんのひと握りなのかもしれない。”
(どういう事?)
“我ら魔王ギルガゼイヤの眷属達は、人との争いに飽きた事もあり、好きに過ごす事を許された。その言葉を告げられても彼を慕って離れなかった者も居た。しかし、人間達の国の中に溶け込んで行った者も居た。。我の住処が辺境とはいえ人間の生活圏内に存在しているのが証拠と言えよう。”
(つまり、人間の国の裏で悪魔達が暗躍してるってこと?)
“端的に言えばそういう事だな。”
(でも、そんな公になるような出来事起こってないよね?)
“人間の姿で居るんだろう。年齢が変わらない所は依り代の肉体を変えればある程度誤魔化せる。
それにだ、表沙汰になってはいなくても、過去にも、悪魔が裏で暗躍した事が原因で、勃発した人の国同士の戦争は実際に存在している。
悪魔なら精神支配も容易い、それに噂の段階だが…悪魔の手先とも言える連中も居たらしい。まぁ、我の情報は大分前の物だから当てにはするな。
決して破壊だけが悪魔のやり方では無いんだ。配下が72柱入れば、その数だけ戦闘スタイルも得意な事もあるわけだ。”
(ふーん…まぁ、機会があればそのダンタリオンも前に言ってたバエル?ってやつもアガレスの分も引っぱたいて上げるよ。)
“随分と余裕な発言だな…”
(別に簡単に倒せるとは思わないけどね。でもいつかは覚悟を決めて対峙しないといけないでしょ。)
“あぁ、そればかりは同感だ。ダンタリオンは、我らの間でもバエルを崇拝レベルに慕っていることでも有名だった。当時と変わっていなければ、ダンタリオンの先には…”
(私たちの人生を180°変えたあいつ(バエル)に行き着く…?)
“そういうことだ…”
「まっ、魔王とやりあった時に悪魔の手強さ知っちゃったし、出来れば戦いたくないなっ!」
心の底の本音をぶちまけながらベンチに座ったまま顔を大空に向けた。
すると…
(ソフィー様、北西の森林において大型の熊を発見しました。先程、冒険者らしき人が交戦していましたが、負傷し、この村の方向に逃げたので、そろそろ来るはずです。」
従魔契約によって可能となった念話を用いた通信によってトレイスが獲物を見つけたと連絡してくれた。
(分かった、行こう。トレイスは逃げられる可能性もあるからそのまま追ってて。)
そう言って立ち上がって言われた方に小走りで向かった。
路地を曲がると、そこには10人前後の人だかりが出来ていた。
「回復魔法だけじゃ怪しい、ポーションと包帯持ってこい!」
「おいしっかりしろ!」
「あなたっ!気をしっかり!」
人だかりの隙間から横になっている獣人の男性の姿と、血で汚れた服が視認出来た。
男性の妻らしき白い毛の獣人が服が血で汚れるのも気にせずに男性に必死に声をかけている。
“誰か襲われたか…気の毒だが…”
今のソフィーならなんの問題も無く助けられる。だが、それはソフィーだから出来ることであって、堂々と強力な回復魔法を行使すれば目立つ事は避けられない。
仮に命を救えたとしても、その先に今の生活の崩壊が待っているのは容易に想像できた。
「でも…」
救える命を見捨てるのはやはり心苦しさを覚えた。
その時だった。
「パパァ!!」
「待って!姉さん、転ぶから!」
視界に、慌てて走るマナとルナが入ってきた。
(パパって呼んでたって事は…)
“あの二人の父親か…”
(アガレス、ここから、回復魔法って飛ばせる?)
“可能だが…ってまさかっ?”
(『完全回復』)
ソフィーは、そう心で念じて、人差し指をクイッと人だかりの方へ向けた。
すると、緑色の小さな光が人差し指の先から、横になっている男性に一直線に飛んでいき、無事に命中した。
(おっけー大丈夫かな。)
初めてやった魔法のやり方だったが、安堵の声や、喜んでいる声がしたので上手く行ったようだった。
(さてと…じゃあ狩りに行きますか!)
“...あぁ…(この反応…やはり…主の…)”
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冒険者に傷を負わせた熊が現れたなんて本来なら大騒ぎだ。大きめの都市ならば、腕っぷしに自信のある連中頼みで何とかなるかもしれないが、今回は国境付近の辺鄙な村だ。熊一匹に滅ぼされてもおかしくない。
だが、そんな熊もソフィーの相手では無かった。
森に入って数分後、気付けば彼女の足元には、自身の身長の3倍近くの大きさの熊が横になっていた。
身体強化で素早く接近し、そのまま熊に反応されて対応される前に頭部に氷の棘を突き刺した。
心臓だと刺された後もしばらく動ける。だが、脳ならば、直ぐに即死に至る。実際にやった訳では無いが、前世、医学関連の文献、或いはテレビ等のうろ覚えの記憶だった。
ちゃんと処理して保存すれば数ヶ月は肉に困らなそうだ。途中で飽きそうだが、そこは信頼出来るシェフことレイ頼みだ。
頭部に突き刺さった痛々しい氷の棘を雑に引き抜き、すぐ様『収納』した。亜空間ならば、肉の状態を保つことが出来るからだ。
“…全て手際が良かったな。流石だ主。”
(やろうと思えばちゃんと出来るのよ。)
“そう…だな…主…”
(どうしたの?)
突然アガレスが元気が無さげな声になってしまった。
“主には先に謝っておかなければならない。この判断が正解だったのかは我にも分からない。だが、これが主のために、主のことをちゃんと考えた上での決断なのは分かって欲しい…”
(えっ…?どういうこと?突然どうした…)
突然のアガレスの言葉に頭の中でソフィーが戸惑っていると…
「ソフィー?」
背後で自分を呼ぶ女性の声がして、ソフィーの体は自身が得意な氷魔法で固められたかのようにピタリと止まってしまった。
知っている声だった。何度も自分を甘えさせ、可愛がってくれたのと同じ声だった。
(2人…さっきのはそういうことか…わざとね…)
先程のアガレスの言葉の意味が分かってしまった。
(アガレス、分かっているだろうけど後で話があるから。だけど、家に帰るまでは話しかけないで。)
“分かった。”
(トレイス、先に家に帰ってて。それと、この事は絶対に言わないこと。)
近くの木の枝に止まっていたトレイスに帰宅するように念話で連絡した。
(ですが…)
(命令、従いなさい。)
従魔契約をしているとはいえ、こんな明確な命令を下したのはこの時が初めてだった。
(御意…)
納得しきれていない様子だったが、渋々ソフィーの言われた通りにし、家方向に飛んで行った。
そして…
ひとまず深呼吸をした。
これをしなければ感情が溢れ出しそうだった。
ほんのひと握りなのかもしれないが、再会出来た事に対する喜びに近い感情も心の中ある事に気づいた。
だが、その感情が必要ないと判断し、すぐ様握りつぶそうとした。
(こんなのは…もう必要無い…)
もし仮にこの先の起きる事…未来が見えていたとしたら、無駄だと知りながらも後ろを振り返らずに去っただろう。
いつかはこんな日が来ることも、2人と話さないといけない時が来ることも理解していた。
でも、本音は振り返りたくなかった。今の自分を見せたくなかった。
もう既に自分が化け物の分類に振り分けられる事を分かりきっていたからだ。
だが、もう一度話したいという欲が上回ってしまった。
ソフィーは覚悟を決めて、ゆっくりと振り返り、声をかけてきた相手に向き合った。
目の前には自身が姉のように慕っていた黒髪ショートの女の子、そして、彼女の斜め後ろには、有り余っていた魔力の制御を自身に教えてくれたセミロングの赤髪の女性が立っていた。
「お久しぶりです、師匠、ね…アイシャ。」
そう言って久しぶりに会う2人のことを晒されている左眼でじっと見つめていた。
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(対象の接触を確認。半魔の存在も目視。)
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3人の再会の上空に、誰にも魔力探知でバレることなくホバリングしていた金色の小鳥の報告がきっかけとなり、ソフィー自身がわざと止めていた、運命という名の時計の歯車が再び動き始めた。
To Be Continued




