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第44話 花火

2022年7月13日 中央ヨーロッパ標準時

午後3時4分

ドイツ ヴュルテンベルク州

____________________

「アナリス、これで全員なんだよな?」


「そうだよヒカル。異世界人はこれで終わり。あとは魔王達だけ」


後ろではまだキルアとカノンが何かを言い合っている。


「おーいうるさいぞー」


「でもヒカル!この人ったらあの場所で魔力の流れを感じたとか言うんですよ」


「あの場所?」


「病院のことです」


するとキルアが


「ほんとなんだって!あたしがベットで寝てたら変な感じがしたんだよ!」


「はぁ…」


ヒカルはなんかどうでもよさそうだ。


「でも何もなかったろ?それよりこの先どうするか決めようぜ」


「そうですわね」

「ムギー!話変えやがったな!」

「うるさいよ」


1人増えるとこうも騒がしくなるものなのか。それより俺としては


「ずっと移動してる気がするんだが…家とかないのか?」


「家…家…。あてはあるっちゃあるが」


「なら早く行こうぜ。俺はもうゴロゴロしたい」


「ガイム。悪いんだがそのあてって日本なんだわ」


「日本?それがどうしたの?」


「また飛行機に乗りましょうってことだ」


飛行機…日本→アメリカ アメリカ→ドイツ

この間までに飛行機に乗っていた時間は1日を超える。そして何も娯楽道具を持っていない俺は暇で仕方なく早く着けとばかりに祈っていた、あの飛行機だと…


「え?吐きそう」


アナリスは早くも気分を悪くしたようだ。

そしてキルアは


「いぎゃあああ!なんだあれ!鉄が!動いてる!」


多分話聞いてねぇな。


「てことで現地人の俺からの提案だ。前々から思ってたことなんだが、俺達はニューヨークに行っても何もしなかったよな?」


「にゅーよーくってなんだ?飛行機もあたし知らないぞ」


「それでだ。せっかくドイツに来たんならベルリンくらいは行かないとな」


「べるりん?おいそれもあたし知らないぞ」


「てな訳で観光しよう」


「おいい!あたしを無視するな!」


キルアが話に割り込んできてよくわからなかったが要はこの国の観光をしようという訳らしい。


「飛行機にまだ乗らないのか…良かった。けどもう日が暮れない?」

「観光ですか…この国のことを知るのも良いかもしれませんね」

「だからにゅーよーくとかべるりんとか何だよ!」

「俺もそれでいいと思いまーす」


「よし多数決で決まりだな。さてまずどこ行く?」


「…私この国知らないよ?」

「何か有名なところに行きましょう」

「だからまじ何なんだ!?」

「どこでも良しだぞ。俺は」


「じゃあ俺が決めるね〜」


こうして俺達は急遽観光を行うことにしたのだ。



ヒカルが選んだ観光地はずばり川。ただ人混みが激しい川。バス(結局乗り物乗るんかい)に揺られて1時間30分の地点。


「すげぇな。やっぱり人が多いや。目立つ行動するなよ、あとはぐれるな」


「おえ、あたし人が多い場所嫌いなんだよ」


「やっぱおこちゃまだね(笑)」


「なんだと!ダサいローブ着やがって」


「いや、君こそ…」


キルアが着ている服はなんというか盗賊っぽい。ベージュのオフショルダートップスに青の短パン。病院の保管室にあった彼女が着ていた服(許可なく取りました。これを盗みという)と腰の革ベルト(サバイバルナイフ入り、てかよく没収されなかったな)を着ている。それはまぁキルアのショートヘアーと相性が良い気がした。


「ヒカル、ここに何があるんだ?俺もあんまり人混みは好きじゃないぞ」


「今は5時くらいか…もうすぐ始まるから待っとけよ」


ヒカルがそう言って1時間(全然もうすぐじゃねぇ)やった何かが起きだした。


まず人々がスマホを手にし、一斉に川の方にカメラを向ける。

そして次の瞬間、ピューっと音共に何かが打ち上がる。そしてそれはある程度高いところまで行くと花形になって弾ける。


人々が一斉に声を上げる。俺達も同じように驚愕していた。いや見惚れていた。驚きよりその美しさに心を奪われていたのだ。


「花火。マイン川では夏に花火が2回行われる。今日がその1回目。きれいだな」


「ああ」


俺はその一言に尽きた。正直この世界に来てここまで心の安らぎがあったことはそうそうない。アナリスとカノンも夢中になって見ている。彼女達も何も言わずただただ事が終わるのを見ている。

ただ1人キルアは腰を抜かしてヘタっていたが。


花火はその後しばらく続いた。辺り一面に星しかなくなる時には人々は既にこの場を立ち去ろうとしていた。





ちなまに実際にマイン川での花火の日時は知りません。ごめんなさい。

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