第4章 侍ストーリー ハリケーン村
バスのターミナルから少し歩いたところにアーケード街があり、ミヤモト達3人は、ひとまずそこへ向かった。
ノリユキ「なんか、あそこに冒険者風の人達が群がってますね。」
アーケードの中にある小さなドラッグストアー風の店に、鎧や剣を装備した10数人の男女が輪になって、何かを見ていた。
ミヤモト「とりあえず、ちょっと行ってみるか。」
ミヤモト達3人もその店に行くと、どうやら冒険者達は野菜を見ているようだった。
見た目は、どこにでもある普通の野菜で、大根が20個、黄色のコンテナの中に入れてあった。
中年で小太りの男の店主が、店の奥から出て来た。
店主「おはようございます。七色の男が作った野菜がいる人は、一列になって並んで下さい。」
ミヤモト「七色の男が作った野菜?ソータは、ハリケーン村でも野菜作りをしているのか。」
ミヤモトは、ソータがポナ村の畑で、野菜を作っていたのを思い出した。
ミヤモト『それにしても、なんでソータの作った野菜が、こんなに人気があるんだ?どうみても、普通の大根じゃないか。』
ミヤモトは、店主に尋ねた。
ミヤモト「すいません。この大根は、なんでこんなに人気があるんだ?」
店主「ああ。兄さんも冒険者なら、ぜひ買っときな。この野菜は、いっけんただの大根に見えるが、これを食べると、攻撃力や防御力が1億~1兆ぐらい上がるんだ。」
ミヤモト「1億~1兆!?桁外れじゃないか!!これならドラゴンを倒せるかも。」
店主「まあ、小型のドラゴンなら倒せるが、大きいのは無理だな。」
グレーのパーカーに紺のデニムを来て、ラメ入りの透明の杖を持った魔導師風の女が、店主に声をかけた。
女「すいません、ホウレン草はまだきてない?」
店主「ホウレン草はまだだなあ。昼からまた、野菜を持って来る予定になってるんだが。」
女「昼からか。了解、また後で来るわ。」
女はそう言うと、アーケードの他の店へと向かった。
ミヤモトが何か言おうとすると、店主が先に口を開いた。
店主「ホウレン草は、魔力が1億~1兆上がるんだ。大根を食べた戦士に、攻撃力を上げる魔法:攻撃マシマシをかけて、デカいゴールドドラゴンと戦わせたところ、なかなか良い勝負ができたらしい。魔法と大根の時間切れで、ドラゴンは倒せなかったみたいだが。ちなみに効果時間は、役1分ほどだ。」
ミヤモト「連続して何回も魔法をかけて、大根を食べ続けたら、効果時間は延びないのか?」
店主「残念ながら、それは無理みたいだ。魔法も大根も、使えるのは1日1回までらしい。」
ミヤモト「デカいドラゴンは無理でも、キャサリンなら倒せるんじゃないか?攻撃マシマシと大根で。」
店主「以前、大根を食べて攻撃マシマシ付加の勇者数百人が、キャサリンに闘いを挑んだが、瞬殺されてしまった。それから考えると、キャサリンの強さは無限大。キャサリンを倒すのは無理、これからはwithキャサリン、withドラゴンの時代だ。」
ノリコ「何もしなければ、キャサリンもドラゴンも襲って来ないわけなんだけど、でも、なんか恐いのよね。」
ノリユキ「そうそう。今のところはそうだけど、それが果たして、いつまでも続くもんなんでしょうか。」
店主「さあな。でも、倒せないもんはしょうがない、おっ七色の男が野菜を持って来たぞ!!今日は少し早いな。」
青い運搬用一輪車に段ボールを乗せて、押してやって来るソータの姿が見えた。
ミヤモト「ソータ!!」




