第2章 耳栓
一 キャバクラ 魔王の伝説 スタッフルーム 一
魔王・ルーファスは、グラスのウイスキーの水割りを飲み干すと、立ち上がった。
魔王・ルーファス「さてと、行くか。」
キャサリン「どこに?」
魔王・ルーファス「まずは隣町のトューベだ。この町に魔法が効かない男・オカモトという奴が調子に乗って、俺が魔王だと言っているようなので、締めに行く。」
キャサリン「面白そうね、七色の男は後回しってことね。」
魔王・ルーファス「メインディッシュは最後に食べないとな。」
キャサリン「ルーファス、美味しいものを最後に食べる人って、小心者なのよ。知ってた?」
魔王・ルーファス「なに!!じゃあ、七色の男はブロッコリーだ。アイツはメインディッシュでも何でもない、ただ皿の右隅にひっそりと置かれているブロッコリーだ。」
キャサリン「フフフッ。確かに今のあなたの力からすれば、七色の男はザコキャラも同然。ブロッコリーがいいところね。」
魔王・ルーファス「では行くとするか、サダは怒って出て行ったから、馬車で行こう。」
キャサリン「着いたら夜中になっちゃうわよ。」
魔王・ルーファス「いいじゃないか、魔王らしくて。」
ルーファスとキャサリンは、魔王の伝説を出ると、店の入口でルーファスは、踊りながら指パッチンを両手でし始めた。
パッチンパチパチパチパチパチパチパッチン・・・・。
魔王・ルーファス「ああ、指が痛い。ハアッハアッハアッハアッけっこう疲れるんだよな、これ。」
キャサリン「ハハハッ。あなたの指パッチンをしてる姿、うけるんですけど。」
ルーファスが1000回目の指パッチンをしたとき、ゆっくりと馬車を牽いたドラゴン・ゾンビが、魔王の伝説の入口に現れた。
ドラゴンゾンビは、トリケラトプスが骸骨化したような姿で、それを見た夜の街を歩く人々は恐れて、道の端に避けた。
ドラゴンゾンビ「魔王様、お待たせしました。どうぞ、お乗り下さい。」
魔王・ルーファス「お前、指パッチン1000回はきつい、せめて100回にしてくれ。」
ドラゴンゾンビ「行き先はどちらへ?」
魔王・ルーファス「おい、無視かよ!!じゃあ、隣町のトューベまで行ってくれ。」
ドラゴンゾンビ「了解しました。因みにキャサリン様だと、指パッチン500回で私を呼べます。」
魔王・ルーファス「知ってる、でもキャサリンは指パッチンをしたがらないんだ。」
キャサリン「無理!!ていうか、そんな恥ずかしいことしたくない、女子ですもの。」
魔王・ルーファス「ったく、俺のことを愛してるんだったら、指パッチンぐらいしてくれよ。」
キャサリン「ルーファス、私はあなたのことを愛してる。だけど、指パッチンだけはできないの、ごめんなさい。」
魔王・ルーファス「なんだそりゃ?ったく、お前といいサダといい、都合のいいときだけ愛してる、愛してるって言いやがって。」
そう言いながら、ルーファスとキャサリンは、ドラゴンゾンビの牽く馬車の中へ乗り込んだ。
馬車の中は、ピンクの長広いソファが向かい合わせにテーブルを挟んで、2つ並んでいた。最初、ルーファスとキャサリンは仲良く並んで座っていたが、10分ほど経つと、お互いに別々のソファに横になって寝始めた。
ゴーゴーゴーゴー!!
キャサリンの物凄いイビキで、ルーファスは目を醒ました。
魔王・ルーファス「なんてイビキのうるさい女だ、綺麗な顔してるのに。街に着いたら、まずは耳栓を買わないとな。」
そう言いながらルーファスは横になって寝始めた。
ゴーゴーゴーゴー!!
ルーファスの物凄いイビキで、キャサリンは目を醒ました。
キャサリン「ルーファスのイビキがうるさくて寝れないわ。街に着いたら、まずは耳栓を買うことにするわ。」
そう言いながら、キャサリンは横になって寝始めた。
ゴーゴーゴーゴー!!
ルーファス「キャサリンのイビキがうるさくて寝れん。」
ゴーゴーゴーゴー!!
キャサリン「ルーファスのイビキがうるさくて、寝れないわ。」
ドラゴンゾンビが牽く馬車の中で、隣町のトューベへ着くまで、お互いが寝たり起きたりを繰り返す攻防が行われた。




