第2章 メタボ鳥・ヒカリ登場
一 震災から3か月後 一
世界中の街や村は、少しずつ修復し、ドラゴンと呼ばれていた生物達は、小動物に似た姿となって、生息するようになっていた。
ルーファス団長が新たな魔王となり、魔物達に修復途中の街や村を襲わせて、支配下に治め始めていた・・・・。
一 ポナ村 ソータ達の住む寺 一
いつものように、民さんが晩御飯を作って帰り、ソータ、ユナ、ミーナ、ミヤモトの4人は鍋を囲んで座り、食べながら話していた。
今日の晩御飯は、ホワイトシチューとサラダだ。
ユナ「ギズモ、お代わり?」
ギズモ「もちろん。人間て、こんな美味しい物を毎日食べてたのね。」
ギズモは、空になったお猪口にシチューを貰うと、可愛らしくペロペロと舐め始めた。
ソータの側で、テーブル上でギズモと同じく、お猪口でシチューを嘴で飲んでいる、黄色のセキセイインコ・ヒカリが、ミヤモトに話しかけた。
ヒカリ「ミヤモト、水を持って来い!!」
ミヤモト「はあ?お前、なんで俺に。それになんだ、その頼み方は。ソータに頼め、お前の飼い主のソータに。」
ヒカリ「ミーナが言うには、ソータはこの家の主だ。お前がこの家では一番のしたっぱで、雑用係だそうだ。」
ミヤモト「そうか、貴重な情報をありがとよ。じゃあ、お礼にお前に教えてやろう。ミーナの得意技は枕営業だ。ミーナは世界一、服を脱ぐのが速い女だ。」
ミーナ「ブフッゴホッゴホッ。」
ミーナは思わず、食べているシチューを喉につまらし、吹き出してしまった。
その様子を見て、ヒカリは言った。
ヒカリ「なるほどな。確かにミーナは、汚くて下品な女みたいだな。」
ミーナの怒りは頂点に達し、笑顔でソータに言った。
ミーナ「ソータ君、その小鳥、焼鳥にしていいかな。それからミヤモト、後で殺すから。」
ミーナの目は怒り狂い、マナコに赤い血管が浮き出ていた。
ユナ「ミーナさん、恐い。」
ソータは慌てて、炊事場に行き、別のお猪口に水を汲んで来た。
ソータ「ヒカリ、とりあえずミーナさんに謝って。それから、はい、水だ。」
ギズモ「もう、あなた達。いい大人なんだから、子供の前で喧嘩しないの。」
ミーナ「まさか、ギズモと一緒にご飯を食べることになるなんてねえ。それから、ヒカリもドラゴンらしいけど、本当なの?」
ヒカリ「たぶん。」
ミヤモト「たぶん?お前は絶対セキセイインコだろ。」
ヒカリ「それを言うなら、ギズモだって絶対トカゲだろ。」
ミヤモト「ソータ、お前はもう、七色の男にはなれないんだなあ。今までは、お前に頼ってたから、なんとかなったんだが。しかも、今度はルーファスって奴が魔王となって、あちこちで暴れているそうじゃないか。」
ソータ「たぶん、俺が力を失ったように、ルーファスも力を失っていると思います。」
ヒカリ「心配するな。ソータは俺がいれば無敵だ。だからミヤモト、シチューをここへつげ。」
ヒカリは、自分のお猪口を嘴でコンコンとつついた。
ミヤモト「お前なあ・・・・ハア。」
ミヤモトは深いため息を一つつき、ヒカリのお猪口にシチューを注いだ。
ヒカリ「おいおい、ミヤモト、こぼれてるぞ。ちゃんと注げよ。」
ミヤモト「意外と難しいんだよ!!気に入らないなら、もうシチューを食べるな!!鳥のくせになんだその腹は!!メタボじゃないか!!」
ヒカリ「思い出した。俺はデブチョコボだ。」
ソータ「チョコボって・・・・ヒカリは乗れないじゃん。」




