言い訳なんか聞きたくない!!
散らつき始めた雪は猛吹雪になり、キサラギの姿が見えなくなった。
村人達「サブッ寒い~。もう、どっちが勝ってもいいから、この吹雪を止めてくれ。」
「ったく、技とかいらないから。普通にチャンバラでいいから。」
キサラギ「村人達よ、心配するな。すぐ終らせてやる!!」
ミヤモト「それはこっちの台詞だ!!」
猛吹雪の中から、ミヤモトに向かって無数の三日月の形状をした斬撃が飛んで来た。
ミヤモトは、両手の刀でカキンカキンと弾いた。
キサラギは、猛吹雪の中、ミヤモトの背後から忍より、胴体めがけて剣を振った。これは、乱れ雪月花の花の部分にあたる。しかし、ミヤモトは大きくバク転をして、ヒラリとキサラギの胴斬りをかわし、キサラギの背後に立った。
キサラギは、素早く後ろを向いて、お互い向かい合った。
キサラギ「クッ俺の乱れ雪月花をかわすとは。」
ミヤモト「キサラギ、お前はまだまだだな。お前は背中を斬られたことに気づいていない。」
キサラギ「なに!!」
吹雪は止み、キサラギは背中を斬られ、着物が破れていた。背中から風が入り、キサラギは、自分の背中が斬られていることに気づいた。
キサラギ「さっき、バク転でかわした時に斬ったというのか!!でも、お前は着物を斬っただけ。俺自身は斬られていない。いや、斬れなかった。お前は、俺の着物を斬るので精一杯だったんだ!!」
ミヤモト「わざとだ。わざとお前を斬らなかった。お前に、この大技を見せるためにな!!」
キサラギ「大技だと?」
ミヤモト「俺の技はオリジナルだ、お前のように相伝型ではない。この技が使えるのは世界で俺だけ。俺のオリジナルだからな。受けてみろ!!必殺!!雪蛍!!」
ミヤモトの両手の刀から、無数の小さな光が飛び始めた。
村人達「眩しい。雪の次は蛍かよ!!」
「だから、普通のチャンバラでいいって。技とかいらないから。」
「さっきから俺達まで、巻き添えにするな!!」
キサラギの視界から、ミヤモトの姿が見えなくなった。
キサラギ「原理は違えど、この技は乱れ雪月花と同じだ!!同じ技だ!!」
キサラギは目をつぶり、菊一文字を中断に構えた。
キサラギ「お前が斬りに来た瞬間、逆に斬り返してやる!!一刀流・カウンター!!」
キサラギは、ミヤモトがいつ斬りに来ても対応できるように、カウンターの構えをとったが、ミヤモトは、なかなか現れなかった。
恐る恐る目を開けて見ると、ミヤモトはそこにはおらず、村人達がキサラギを遠くから囲んで見守っていた。
キサラギ「あの野郎!!とこへ行きやがった!!まさか、逃げた?おい、ミヤモトはどこへ行った!!」
キサラギは、村人達を睨んで叫んだが、誰一人何も答えなかった。カウンターの構えをとき、剣を右手だけで持って少し立たずさんでいたが、やはり、ミヤモトは現れなかった。
キサラギ「まさか、本当に逃げたとは。ミヤモト、お前には失望した。」
キサラギは菊一文字を鞘にしまい、その場から立ち去ろうとしたとき、一人の村人がキサラギの背後から走り寄り、頭を鞘で叩いた。
キサラギ「アイタッ。」
ミヤモト「キサラギ、これでお前は2回斬られたことになる。油断したお前の負けだ。」
その村人はミヤモトだった。ミヤモトは、村人に変装していた。
キサラギ「お前は卑怯者だ!!そんなの勝ちとは言えない!!」
ミヤモト「キサラギよ、言い訳なんか聞きたくない!!俺はお前を斬ろうと思えば2回斬れた。キサラギ、お前の負けだ!!」




