ノヴァの住む村
エルダとキサラギを乗せたレッド・ドラゴンのヴィクトリーは、ポナ村の中央にある広い広場に着地した。広場にいた人達は、慌ててその場から離れ、多くの村人達が少し離れて、ヴィクトリーの周りを囲んで見守っていた。ヴィクトリーからエルダとキサラギが下りて、それぞれが叫んだ。
エルダ「この村にブルードラゴンがいるんでしょ!!さっさとソイツを呼んで来なさい!!」
キサラギ「この村にミヤモトという侍がいると聞いたんだが、誰かここへ連れて来てくれないか?」
村人達はざわめき、その場から誰一人動こうとしなかった。
エルダ「さっさとブルードラゴンを呼んで来なさい!!じゃないと、この村ごとレッド・ドラゴンの炎で燃やすわよ!!」
キサラギは腰元の刀を抜いて、一振りした。
キサラギ「さっさとミヤモトを連れて来てくれないか?俺はこう見えても侍だ。手荒なことはしたくない。」
村人の若い男が、怯えながら叫んだ。
村人・男「わ、分かった。今、ブルードラゴンとミヤモトさんを呼んで来るから、少し待ってくれ。お、おい、何人かで、ユナちゃんとミヤモトさんを連れて来てくれ。」
キサラギ「早く連れて来いよ、俺はあまり気が長くないからな。」
ヴィクトリーは座り込み、顎を地面につけて目をつぶった。そして、エルダにテレパシーを送った。
ヴィクトリー『エルダ、腹へった。』
エルダ『もう少しだけ、我慢して!!』
魔王、サダ、オババ様の3人は洞窟を抜けると、そこは小さな村だった。洞窟の方を振り返ると、洞窟の入口にノヴァの心世界と書かれた木の板があった。
魔王「ノヴァの心世界?」
オババ様「子供の頃に聞いたことがあるわ、ノヴァが住んでいる村があるって。」
サダ「この村とポナ村は繋がっていたのね。あの巨大な賢者の石で、この村へ来るのを防いでいたというわけね。」
魔王達3人は、村を見てまわった。
魔王「ポナ村とそんなに変わらないな。」
サダ「お金ってものが無いんですかね、ほら、あの人達、魚とか肉、野菜と交換で服を買ってますよ。」
オババ様「あ!!アイツは、以前ポナ村で見たことがある男だわ!!どうやら、この村の一部の人達は、ポナ村とこの村を行ったり来たりできるみたいだわ!!」
魔王「この村人の誰かがノヴァだというのか?どうやって見つけろと言うんだ?」
サダ「魔王様、例の魔王様しか見えないヤツで、ノヴァを検索してみては?」
魔王「いや、このスキルは武器を呼び出すだけだしなあ。でも、ちょっとやってみるか。」
魔王は空間に画面を立ち上げ、ノヴァと打って検索した。少しして、魔王の右手に三鉾のエメラルドグリーンで、長さ80㎝ほどの小槍が握られていた。
魔王「ノヴァ殺し・・・・。」
オババ様「まさか、その小槍でノヴァを殺せるの?」
サダ「でも、ノヴァがどこにいるのか分からないと意味が。」
すると、一番長い三鉾の先端から、緑色の光線が真っ直ぐに延びた。
魔王「どうやら、この線を辿っていけば、ノヴァに会えるみたいだな。」
サダ「賢者の石も、もっと早く検索すれば、すぐ見つかったかもしれませんね。」
魔王「・・・・そうだな。さあ、行くか。」
魔王達は緑の光線を辿り、村人が大勢いて、多くの店が立ち並ぶ、村の中央市場へと向かった。




