57日目 相続手続きと遺言書
8月27日(木)
午前6時半頃
今日は気持ち足が攣っていたが無視して起きず5時間以上眠った。
起きたら案の定今度は両足共攣っていたが被害はそれ程でもない様だ。
1階の雨戸を開けると雨が降っている。
久しぶりの雨か、ちょっと気が滅入る。
むつみに朝の挨拶をする。
ムッチおはよう!
今日はムッチの相続について司法書士さんの所で話をするよ
せっかくムッチが頑張って運用してくれたお金がどうなるかとても心配だよ
お金を取る取らない相談に行くって凄い気が重いし正直一番嫌だ
どうか見守ってください
今日も一日よろしくね
午前8時
今日のゴミは瓶と缶ゴミだ。
前日既に袋詰めしていたのでゴミ置き場へ持って行くだけだ。
ゴミを持って行くと安物ワインのビンがいっぱい袋からはみ出しぶち撒かれていた。
袋を結んでもいないので当然こうなる。
毎回こんなのばっか…
自分のゴミを網の中に入れぶち撒かれたワインビンを丁寧に袋に戻し網の中に入れる。
他にも網から出ていた袋を網の中に入れた。
前の自分なら絶対にやらない事だが妻なら絶対そうすると思い体が勝手に動く。
午後0時
そろそろ支度の準備をする。
本来昼食だがお腹は空かない。
司法書士さんの所に持って行く物は既にまとめてバックに入れた。
後は行くだけだ。
午後1時
約束は3時だけど早めに行くことにする。
なるべく駐車代を浮かす為ちょっと司法書士事務所から遠いがスーパーの駐車場を利用する。
あと少々遠出なので早めに対処したかった。
スーパーなら買い物をすれば何時間かは無料になるだろうし久しぶりに美味い物でも買うつもりだ。
結構道が混んでいてそれ程離れた都市でもないのに40分以上掛かった。
それでも約束より相当時間があるので先に買い物を済ませる。
美味しそうな食材が並ぶ店内を隅々まで回る。
大手のスーパーなのでウチの近くで買う物とよく似ていた。
あぁこれこれムッチと二人で分食べたっけ
これもそうだムッチと一緒に食べたな
おっムッチの好きな○○だ!
独り言をブツブツ言う怪し人間になっている。
気が付けばスーパー全体が妻の思い出で充満し鼻がぐずりだす。
うわぁ堪らないな胸が締め付けられて辛い。
最近大分妻の思い出の場所を克服していると思っていたがまだ無理だった様だ。
スーパーの買い物は歳をとった我々の日課になっていた。
まさに日常のデートスポットだった。
辛くなるからとスーパーでの買い物は素早く短時間で済ませていたのに時間があるからとゆっくり見渡してしまった。
まだ全然免疫出来て無かった。
大体2千円ちょっとは買えたかな
レジに並ぶと2,250円でほぼ計算通りだ。
精算後レジの人に駐車券を渡す。
レジ「お客様ここの駐車場は2時間半無料でございます」
レジ「帰りに駐車券を出入り口の機械にお入れください」
私「あ、そうなんですか…」
えぇぇぇっ!マジか一杯買ったのに(心の中)
一旦買い物袋を車に置き司法書士事務所へ向かう。
30分も前に着きそうだ。
午後2時半
司法書士事務所に到着する。
事務員らしき人に奥の応接室に通される。
暫くすると2人の司法書士さんが応接室にやって来た。
「初めてお会いします。わたくし司法書士の〇〇と申します。」
こちらは…と定例の挨拶の後にこの度は…と今回の妻と義母についてお悔やみを聞く。
私はまた啜り泣いてしまう。
本題
司「まずメールでのやり取りで〇〇様(自分)の状況は把握出来たのですが相続にあたって関係性をここでハッキリさせたいと思います。」
司「貴方様は配偶者として相続されますが次に睦様のお父様とお母様が相続に加わります。」
司「ここまでは先月までの話しです」
司「今月に入りお母様が亡くなった事で後続人?(後継人?)を立てる必要が出て来ました。」
私「義父だけになる訳じゃ無いんですか?」
司「ハイ、そう言う決まりです。」
司「お母様の代わりとしてお兄様が入ります。」
私「そう言うものなんですか?」
司「ハイ」
私「そうなると義父、義母、義兄の戸籍謄本が必要になるんですか?」
司「ハイ、それからお父様に関しては印鑑証明はあるので問題ありませんがお兄様は住民票と印鑑証明が必要になります。」
私「あのー今姉に義父と義母の戸籍謄本の取り直しを依頼しているので電話してもいいですか?」
司「あ、ハイどうぞ」
姉がこの事で動いていたら二度手間になるので急いで修正の電話を入れた。
結果的に私が相続するのは変わらないので新たに義兄夫婦に動いてもらうのはとても心苦しい状況になってしまった。
取り敢えず後で姉さんに報告を入れておこう。
次に現状の妻の財産の内訳に入った。
あくまで概算だがウチの土地と妻の預金に保険、共済年金等までなら3,600万円未満なのでスムーズに事が進められ非課税となる。
但し義父が今住んでいる土地が妻名義になっておりココだけで3,600万円越えと言う事でこの先は税理士を挟まないといけないらしい。
つまりこの先は配偶者特別控除と言う枠組みの中を想定して動かなくてはいけないと言うことで色々ややこしくなる。
そもそも配偶者特別控除が無かったら義父の土地を手放さないと私は生活出来なくなる。
義父はまだ元気に生活しているし今直ぐ土地売却は考てはいないし出来ないだろう。
うぅぅぅ何だか面倒くさいし気が重たくなってきた。
この辺り相続人同士で争うと逆にマイナスになる恐れも出てくるのか…
配偶者だから許される特権なんだろうけど争う事になったら悲惨だな
妻の家系はそんな事は無いけど
争う事を考えるだけで虫唾が走る。
正直に言うと私が先に死んでいれば何の問題も無かったが妻が他界した事で義父の土地がネックになっている。
現状、売るに売れないのだから私にとってはただのお荷物でしかない。
とは言え今私が生活出来ているのも妻のおかげ大切に妻が育てた資産を守っていかないけない。
このあとは私が持って来た資料一式を精査し直して正確な数字で計算し後日報告してもらう事になった。
その際に必要な物があれば揃えて送ってほしいとの事。
ほんとこう言うお金の話しは苦手だ。
もう私に贅沢は必要無い。
妻が亡くなってから慎ましく生きているのに必要以上の物に興味は無い。
終活してる人間がこれ以上物を増やす予定もないからだ。
だって早く死んで妻に会いに行きたいのだから
金なんてあの世で必要無い
最後に私の全財産を姪と甥に渡す話しを司法書士さんにした。
私としては弁護士さんを紹介してもらおうと思ったのだが弁護士も対応出来るが相続に関しては”公証人”と言う何ともドラマに出て来そうなネーミングの方に頼むのが一番良いらしい。
公証人を挟む事で姪、甥の負担(手続き等)が随分減るらしく是非お願いしたい。
遺言書は妻が亡くなった際、私から義兄にお願いして姪、甥に渡せないか相談をした。
前にも述べたが私ら夫婦には子が無く、私家系に至っては生前父が50年も連絡を絶っている。
結果、妻家系としか身近な付き合いはない。
生前、妻と私で話していたのは「俺らが死んだら微々たる物しか無いが姪っ子と甥っ子に財産を引き取ってもらうしかないのかな?」と言うと妻が「うん、そうなるのかなぁ…?」などとその当時は気軽に話していた。
私にしてみればそれが妻の唯一の遺言になる。
あくまで雑談でしかなく不確定要素も絡むが財産はあの世には持ってはいけない。
生きている間は少なからず財産は必要になるが、死んだら真っ先にどうでもよくなる物だ。
これで良いと思う
これは妻の相続案件が片付いてから公証人を紹介してもらおう。
妻の話しが出る度に涙ぐむ場面が多々あったけど何とか話しは進められたと思う。
司法書士さん達に挨拶をして帰路に着く。




