11日目 思い出達がゴミになる
7月12日(日)
午前3時頃
無意識に体全体の伸びをする。
全ての人間が無意識にする睡眠中の伸び行為。
両足に強烈な激痛が走る!
「痛い!」
「がぁぁぐぅぅっあぁぁいだぁぁい」
超が付くほど物凄く痛い…と同時に尿意に襲われる。
「やばい早く行かないと漏れる」
布団の上でゴロンバタンとのたうちまわるも立てない。
薄暗い中、膝下を見ると足に針金でも入れてるのかってぐらい足が突っ張っている。
しかも片足に2本ぐらい針金入りだ。
「助けて!助け…て」
この時の為に壁に手すりを設けている。
手すりに手が届き激痛の中何とか立ち上がる事が出来た。
痛みで涙を流しながら階段を降りる。
一段一段が地獄だ。
一段降りるごとに激痛が倍化する。
歯を食いしばりながら変な声で「いだいぃぃいだいぃよぉぉ」と階段で泣き喚く
何とかトイレまで来たがパンツを下ろせない。
片手で壁に手をつきもう1つの手で無理矢理パンツを降ろしドカッと便器に座った。
激痛の中尿が勢いよく出る。
足が突っ張ったまま尿が終わりパンツを履けぬままトイレを出る。
対処法は分かっている。
我慢して垂直に立つ。
血行を上から下に保つ事、治るのに時間は掛かるがジッと耐えれば攣りは収束する。
キッチンにあるバーカウンターの手すりを両手で掴み何とか立ち姿勢を維持する。
痛みを堪えながら5分ぐらい経過したか?
徐々に攣りが治ってきた。
妻が居れば心強いが生前居たとしても何の役にも立たなかった。
そもそも攣った足に触れないので側で見守るしか無いのだ。
前に妻がにわか療法でつりを治そうとしてくれて逆に悪化した事があった。
でも立つのに手を貸してくれたのは助かった。
あの時は見守ってくれるだけでもそこに妻が居る安心感があった。
だが今は一人、もう誰も居ない。
そう言えばある時痛みで目が覚め物凄い大声で「痛い、痛い、痛い!」と飛び起きた際、妻は横でぐーぐー寝ていた事があった。
結構大きい地震でも起きない人だったからね
寝入った妻は敵なしだったな
とは言え妻が居ると居ないでは心の持ち様が全然違う。
歳をとる度に身体も普通に動かなくなるし、冬になると攣りも酷く頻発するしで今後がとても心配だ。
今回の酷い足攣りの原因は昨日の片付けで長くしゃがみ込んで足が鬱血したからだ。
油断するとすぐ鬱血する。
そう言う日は決まって酷くなる。
家庭菜園の時もよく鬱血して次の日の早朝は決まって酷い攣りだった。
ストレッチを念入りにしておけば良かった。
騒動後ソファーに座る。
まだ眠い
でも1度ここまで酷いつりになると2度寝してもまた酷い攣りが起きるので寝れないのである。
ほんと何とかしないとそのうち家がオシッコまみれになりそうだ。
70歳以降の自分を想像したくない。
午前8時
今日は2階のタンスに入りきらない服を捨てようと思う。
若い頃の物ばかりだ。
妻はブランド物もあるので売る気になっていた様だけどこんな埃まみれの物誰も買わないと思う。
なので最初はサクサク捨てていた。
そのうち手が止まる。
あぁコレか…
昔むつみが羽織っていた物だ。
それ程の思い入れは無いがむつみは捨てたら怒るかな?
自分のも一杯捨てるから一緒に捨てよう!
そう言って袋に詰め込む
90リッターの袋2つ分ぐらいで1つの部屋の服が片付いた。
それ以外は服以外の物なので後に回す事にした。
隣の部屋も片付ける。
段ボールに山積みだった。
はみ出た物は埃が被っていた。
そう思い袋に入れようとするがまた手が止まった。
あ、普段着ていた身近な服だ。
安物なのは分かる。
こんなの売れないよ…
この服を着てよく戯れ合ったよな
見つめていたらぽたぽたと涙が溢れだす。
だから嫌なんだ
服は絶対思い出が付き纏う。
服を掴んだまま暫く泣いていた。
こんなのばっかりだ
無造作に袋に入れ始める。
急いで見ない様にどんどん詰め込む
90リッターの袋が4つ分も出た。
これ明日クリーンセンター(焼却施設)へ捨てに行こう。
ゴミ捨て場でも良かったのだが近所の誰かが拾ってその人が着ていたら発狂しそうなのでやはりクリーンセンターですぐ焼却してもらうことにする。
これは天界行きだ!
そう自分に言い聞かせる。
この部屋も服以外が多くあるようだ。
後日片付けだな
ネットでクリーンセンターの予約を入れた。
午後5時頃
気がつけば既に夕方だった。
掃除機を使いながらの作業だったので結構時間が掛かった。
電気代を節約するのにクーラーも点けない暑い部屋だったのもその要因だ。
さすがに埃だらけだったのでシャワーを浴びる。
そう言えばむつみが居た頃は夏でも必ず毎日風呂釜に入っていたな
でも私は夏と言う事もあるがシャワーしか使わない。
それにガス代も節約しないとだ。
男やもめはウジがわくとも言うしこんなものか




