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【C. リリアナの立ち位置】
蒸気の白がまだ漂う中、リリアナは一歩、二人の間へと踏み出した。
胸に手を当て、震える心臓の鼓動を確かめるように――。
彼女はグランベルの教本で「鉄道の神託」を学び、悠真の講義で「鉄道の心」を知った。
信仰と自由。祈りと意志。
そのどちらも、彼女にとって“真実”だった。
「……私は、どちらの教えも信じています。」
静かだが、揺るぎない声だった。
「でも、もう“選ばれた者だけが走れる線路”なんて、時代じゃない。」
グランベルの瞳が細く光る。
その眼差しは、かつて彼女が慕った教師のものではなかった。
「貴様も、堕ちたか。」
リリアナは首を横に振る。
風が長い髪を揺らし、彼女の瞳に映る光が鋭く変わる。
「いいえ。――私は、目を覚ましたんです。」
その瞬間。
夜空を裂くように、稲妻が轟いた。
古びたホームの奥――錆びついた信号灯が一瞬、青に変わる。
赤から、青へ。
それはまるで、停車していた“時代”そのものが再び動き出す合図だった。
誰もが見上げるその光の中で、リリアナの瞳だけが確かに輝いていた。




