【D. 国家権力の介入】
中央駅前の広場が、緊迫のざわめきに包まれた。
黒い装甲列車が到着し、国家鉄道警備隊が展開する。
硬質な魔導盾が列をなし、地面に魔方陣の障壁が走った。
鉄道官吏「――停止せよ! この路線は国家未承認だ!」
拡声器の声が広場に響く。
だが、その前に立つ小型列車の運転席では、青年が迷いなくハンドルを握り締めていた。
青年運転士「認可なんか、いらない!」
青年運転士「俺たちは、“心”で走るんだ!」
金属が軋む。
列車は止まらない。
それは国家が築いた“法の障壁”よりも強い、信じる意志の音だった。
警備隊が魔導砲を構える。
だが、その刹那――
民衆が列車の周囲を取り囲んだ。
老人、母親、子ども、労働者――
昨日まで“観客”だった彼らが、今は盾となって立ちはだかる。
群衆「走れ!」
群衆「希望を止めるな!」
群衆「線路は、私たちの未来だ!」
無数の手が、列車へと差し伸べられる。
その掌が、祈りではなく、意志の導線として繋がった瞬間――
雲間を割って、朝陽が射し込む。
列車の車体が黄金に輝き、
かつてアカデミーが掲げた“希望支線”の紋章が淡く浮かび上がる。
車輪が、再び――動き出した。
描写:
「それは、燃料でも魔力でもない。
人々の“想い”そのものが列車を押し出していた。」
警備隊の障壁が音を立てて砕ける。
轟音と共に、無許可列車は夜明けの都市を駆け抜けた。
誰もがその背中に、ひとつの言葉を思い描いていた。
――『希望支線、再始動』。




