4. 光の列車 ― 未来への発車
――笛の音が、夜空の底に吸い込まれていく。
次の瞬間、校庭に敷かれたレールがほのかに光を帯びた。
金属の冷たい反射ではない。
それは、生徒たちの笑顔や、教室のざわめき、誰かの“願い”が混ざったような――柔らかな灯だった。
リリアナが息を呑む。
悠真も、言葉を失ったまま空を見上げた。
線路の光はゆっくりと形を成し、やがて――透明な列車となって浮かび上がる。
車体は夜気に溶けるほど淡く、しかし確かに“走るための意志”を宿していた。
その窓のひとつひとつに、生徒たちの姿が映る。
笑いながらトロッコを押す者、図面を掲げて走る者、笛を吹く少女、そして弁当を抱えて走る仲間たち。
それは、彼ら自身の“夢”を乗せた列車だった。
悠真「……見ろよ。あれが、“未来列車”か。」
リリアナ「ええ。彼らが描いた、まだ見ぬ明日への路線です。」
列車は音もなく滑り出し、校庭を一周したのち、ふわりと浮かび上がる。
レールの先が消えるはずの空の中――そこに、星の道が続いていた。
やがて列車は夜空を駆け抜ける。
星々の間を走り、まるで“天のレール”そのものになっていく。
悠真は帽子を取り、静かに一礼した。
その姿に、リリアナがそっと笛を胸に当てる。
――この音が続く限り、鉄道は止まらない。
想いがある限り、未来は走り続けるのだから。




