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大金

 夕方の時間帯の冒険者ギルドは混雑しているかと思ったが、確かに人は多いもののそこまで混み合ってはなく、それ程待たずして受付の順番が回ってきた。


「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件で?」


「ギルドが俺達を探していたと聞いて来たのですが、確認してもらって良いですか?」


 受付のお姉さんにギルドカードを渡し確認してもらう。お姉さんはギルドカードを専用の端末に通して登録者名を確認していた。


「えーと、ショウジ・カグラザカ様ですね。ん?ショウジ・カグラザカ……。しょ、少々お待ちください」


 お姉さんは俺の名前を確認すると、慌てた様子で奥へ下がっていった。暫くしてお姉さんがカウンターに戻ってきた。


「ショウジ様、お待たせ致しました。ギルドマスターがお呼びですので奥の部屋までよろしいでしょうか?」


 ギルドマスター直々に話とは本当に何をやってしまったのだろう。ホルグレンさんが良い事とは言っていたが、ギルドマスターに呼び出しとか緊張する。とりあえず了承の返事をして奥の部屋まで同行する。中に入るとそこにはブラームスさんがいた。いや、違った。よく似ているがブラームスさんにはないはずの古傷が額にあり、その傷でしか見分けがつかないくらいに本当に似ていた。


「儂がギルドマスターのブルータスじゃ。お前さん達の事は弟のブラームスから聞いていたわい、物凄く優秀な逸材を見つけたとな」


「似ていると思ったらブラームスさんのお兄さんでしたか」


 やっぱり兄弟だったみたいだ。しかし優秀な逸材って、ブラームスさんにそんな高く評価されているなんて光栄だ。そして受付のお姉さんがごゆっくりと言って部屋を出ていき、俺達はブルータスさんに促されテーブルの周りに置いてある椅子に座った。


「お前さん達がヘルグミルの街に行くから何かあったらよろしくって連絡が来てのう。儂もブラームスの認めた冒険者が来るのを楽しみにしていたんじゃが、待てど暮らせど来ないじゃないか。そしたらモンスターの大群騒動じゃろ。しかも大群を殲滅した話をホルグレンから聞いた時には驚いたわい。殲滅したのはお前さん達と言うじゃないか。」


 ブルータスさんが興奮してまくしたてていた。なんとか落ち着いてもらって話を続ける。


「ふう、すまんな。それで呼び出した理由じゃが、モンスターの大群騒動の時に緊急クエストを出してのう。あいにくモンスターは街まで来なかったんじゃが、それはお前さん達の貢献が多大じゃったと報告を受けておる」


「俺達はただ仲間の村の手助けをしただけですよ。俺達だけじゃなくて村の人達の頑張りのおかげです」


「それでも、じゃ。クエストを出した以上、貢献者には報酬を支払わねばならん。クエストを受注していなかったみたいじゃが、事実関係は既に確認済みじゃ。お前さん達は冒険者登録をしている以上、報酬を受け取らねばならん」


 なるほど。ギルドがクエストを出した手前、報酬が支払われなかったとなるとギルドの沽券に関わる訳で、それが問題なのか。それならば報酬はありがたく頂かせてもらいましょう。


「分かりました。そういう事でしたらありがたく頂戴します」


「それとお前さんの冒険者ランクを下級から昇格して中級とするのじゃ。他にエルフの娘さんも初級から昇格して中級とするのじゃ」


 冒険者ランクも昇格させてくれた。冒険者ランクは基本的に自分より上の階級の冒険者が実力を認めた場合、ギルドに申請をしてそれをギルドマスターに認められれば階級が上がる。試験もありその内容は様々だが、今回は試験は特例で必要ないとの事だった。更には冒険者ギルドに登録していないアペルとシェリーもギルドに登録するかと聞かれたので、相談した結果この際2人とも冒険者ギルドに登録することになった。冒険者ランクも流石に中級は飛び級過ぎて駄目らしいが、初級は飛ばして下級からとなった。


 そして退室していた受付のお姉さんが再び部屋に戻ってきた。台車みたいなものに膨らみきった大きめの袋が4つあった。ブルータスさんは袋を1つずつ手に取り、それぞれを俺達の目の前のテーブルの上に置いていく。


「報酬のお金じゃ。4等分してそれぞれの袋に入れてあるから受け取るがよい」


「い、頂きます」


 袋をテーブルの上に置いた時にドンと重たそうな音が鳴っていた。一体どれだけのお金が袋の中に入っているのだろうか。袋を開けて中を覗いてみると、大量の金貨に加え少量の大金貨と大銀貨が入っていた。スコーピオンの大群を倒した時にも結構なお金が手に入っていたが、ここで更に思いがけない大金が手に入ってしまった。


「……こんなに頂いてもいいんですか?」


「これでも僅かじゃが緊急クエストに参加した他の冒険者達に出した報酬の分を引いているんじゃ。いいから受け取っておきなさい」


「ありがとうございます」


「それはこっちの台詞じゃわい」


 豪快に笑うブルータスさんにお礼を述べ、俺達はお金の詰まった袋を受け取り《道具》に収納するのだった。

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