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別れ

 冒険者ギルドで報酬を受け取り、建物を出ようとした所で呼び止められた。


「あれ、ソフィアさん達じゃないですか」


 振り向くとそこにはクレア達、新世代の風のメンバーが居た。話を聞くとダンジョンから帰ってきた所で、モンスターから手に入れたアイテムを売りに来たらしい。それを毎日しないと金銭的に厳しいらしく、食事もまともに取れなくなるとの事だ。昨日晩御飯を奢ったのでその分のお金が浮いている筈なのだが、既にアイテムを売りに来る事が日課となっているようだ。


「それなら今日もこれから食事にでも行く?こっちは臨時収入で懐が暖かいから奢るよ」


「え、いいんですか?」


 セインが奢りという言葉に食いついてきたが、隣に居たカトリーナがセインの頭を叩いて大人しくさせた。


「昨日奢って頂いたのに今日もなんて流石に申し訳ないですよ。自分達の分は自分で出しますので大丈夫です」


「えー、良いじゃん奢ってくれるって言ってるんだし」


「だからそれが駄目なんですってば」


「それなら昨日はショウジの奢りだったから、今日は私の奢り。というのは駄目?」


 ソフィアがカトリーナに告げるが、カトリーナはそれでも悩んでいる様子だった。


「ソフィアもこう言っているし奢らせてあげてよ。それに俺達ラグゼニア王国に帰るから、明日の朝には街を発つ事になったんだ」


「ええ!それじゃあもうソフィアさんと会えなくなっちゃうのかあ……」


 クレアが寂しそうに嘆きつつ、離れたくないと言うようにソフィアの腕に抱き付いて頬をすり寄せていて、カトリーナはソフィアさんが望むのならばと、反対を取りやめ奢られるのを快諾してくれた。


 冒険者ギルドを出て妖精の宴に向かった。頼んだメニューは昨日も食べた蒸し鶏だが、明日にはこの街から居なくなるのでもう一度食べようと思ったのだ。


「それにしても臨時収入って何かレアアイテムでも手に入れたんですか?」


 冒険者ギルドで俺が言った言葉が気になっていたらしく、セインがエールを飲みながら訪ねてきた。


「ああ、それね。毎日冒険者ギルドに行っていたのなら知っていると思うんだけど、最近あったモンスターの大群騒動って言ったらわかるかな?ギルドからクエストが出てたらしくてそれの報酬を貰っちゃってね」


「それ俺達も参加しましたよ。報酬っていっても結局街まで来なかったから、参加者1人辺り大銀貨5枚ずつ貰いましたけど」


 俺はそれを聞いて、飲んでいた蜂蜜酒を噴き出しそうになったが堪える。俺達は金貨が大量に入った袋を受け取ったのだが、金額は気持ち多めに貰ったくらいにして濁しておこう。


「うん、俺達は丁度アペルの実家がその交戦地帯の最前線で、そこで戦ってたから知らなかったんだけど、それを今さっきクエストがあったのを知って報酬を貰ったんだよ。戦ってた分多少多かったけどね」


「そうだったんですね。モンスターの大群って何だったんですか?」


 セインは俺の説明に納得してくれたようで、それ以上報酬の事については聞いてこなかったが、どんなモンスターだったのか気になったらしく、スコーピオンという蠍のモンスターだったと教えてあげた。


 食事も終わり妖精の宴を出た後の別れ際、クレアとカトリーナに挟まる形でソフィアが抱擁されていた。随分と仲良くなれたようで嬉しい限りだ。寂しくはあるけど新世代の風とも今日でお別れだ。でもまた会えるだろう。何故かというと彼等も冒険者で、強くなったらティーリアの街の南にある、世界最大級のダンジョンに行くと言っていたのだから。


「たった数日でしたけど、大変お世話になりました。とても楽しかったです」


カトリーナが代表して俺達に礼を言ってきた。俺としても楽しかったので、今後とも仲良くしていきたい連中だった。


「俺達は一足先にダンジョンに行って待ってるよ」


「はい兄貴!きっと追いついてみせます」


 う、うん。いつの間にかセインに兄貴と呼ばれているが、クレア達がソフィアを慕うようにセインも俺を慕ってくれているみたいだし、まあ良いか。


 ソフィア達も話が終わったのか、クレアとカトリーナがソフィアから離れていった。セイン達に見送られる形で、俺達はその場を去り宿へと帰った。明日はいつもより早く起きなければいけない為、宿に帰るとすぐに寝台の上に寝転がり眠りに就いたのだった。


 翌日まだ日も昇っていない早朝、シェリーの声によって意識が覚醒し起きることが出来た。比較的寝覚めは良い方なのだが、やはり時間が朝早いせいか自分で起きるのは難しかった。本当にシェリーや他の人は目覚ましもなしにどうやって起きているのだろうか不思議に思えてならない。


 旅の支度をして宿を出る時間になっても、やはりソフィアは起きれなかったみたいで前回同様に背負って待ち合わせ場所まで向かった。


「タランドーさん、おはようございます」


「おう、やっぱり今回もエルフのお嬢さんは寝ているのか」


「すいません。また中に寝かせてきますね」


 俺は馬車の中に入りソフィアを横にさせてから再びタランドーさんの所へ向かった。そこには馬車の荷台みたいな物がもう1台あって、どうするのか尋ねると馬車の後ろに連結させるという事だった。その中には奴隷が何人か居るそうでそれも一緒にティーリアへと連れて行くらしい。


 無事に馬車の連結も終わり街を出発した。帰路は荷台を追加して乗車している人数も増えた為か、余り速度が出せずにゆっくりとしたペースで進んでいったのだった。

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