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サンドマン

 サンドマンが再生して再び元の人の形の姿に戻った。アペルの《エクスプロージョン》でダメージを与えても新しい砂が集まってサンドマンの身体を生成していくだけだった。


 こういった類の敵はよくある話だと核を所持していて、そこにダメージを与えないと意味がないというのがある。ただその核があったとしても、それがどの位置にあるのかを見極めるのが難しい。核が出てくるまで《エクスプロージョン》でサンドマンの砂を吹き飛ばしていくのが良さそうかな。とりあえずそれを試す事にした。


「アペル、多分サンドマンには核みたいなものがあって、それが周囲の砂を身体の一部にしてるんだと思う。核を探すためにエクスプロージョンで砂を蹴散らすの手伝って」


「分かりましたです。エクスプロージョン!!」


 アペルの《エクスプロージョン》に合わせて俺も《エクスプロージョン》を打ち込んでいく。轟音と共に爆発が起こりサンドマンの砂を飛散させ、周辺に砂の山を作っていく。しかしながら最初の時と同じく、砂が集まっていきサンドマンの身体が再生されるだけだった。


 それでも諦めずに《エクスプロージョン》を打ち込む。だが今回は砂が飛び散る事はなく、サンドマンがサイドステップをして爆発を回避した。明らかに動きが素早くなってきている。最初のゆっくりとした足取りも今は見られず、サンドマンは次第に加速しアペルに向かって駆け寄っていた。


 サンドマンが拳を握り振りかざし、足元にいるアペルに向かってその拳を振り下ろした。アペルは横へ跳んで直撃を避けるが、直後に砂の地面に穴が出来る程の衝撃が響き渡る。横に跳んで避けたアペルが衝撃波によって吹き飛ばされていく。あれだけの威力だとアペルでも盾で受け流すには厳しく、回避するしかなさそうだが、回避したとしてもその後の衝撃波がどうにもならない。


「ウィンドストーム!!」


 ソフィアが《ウィンドストーム》を放ち暴風がサンドマンの砂を剥ぎ取っていく。その間にソフィアが駆け寄ってきて質問してきた。


「ショウジ、どうすればいい?」


「どこかにある核を暴きだして攻撃できれば倒せると思うんだけど、このまま闇雲に攻撃しててもきりがないね。とりあえず避けても衝撃波が厄介だからサンドマンの攻撃は俺が受け持つよ」


 衝撃波くらいなら《結界》で防御できそうだったので、サンドマンの相手は俺が受け持つ事にした。アペルには下がってもらい《エクスプロージョン》で援護してもらう予定だが、相手の意識をこちらに向ける為に《フレイムブレス》を放った。サンドマンの表面が炎によって焼かれ、砂が剥がれるようにボロボロと落ちていくがそれだけだった。


 サンドマンの誘導は成功し俺を狙ってきた。今度は拳ではなく足で踏みつけて攻撃してくる。拳を振り上げるより挙動が少なく危うく避け損ねる所だったが、なんとか回避し《結界》張った。サンドマンの足が地面を踏みしめた時に衝撃波が発生するが、やはり俺の読み通り吹き飛ばされることなく《結界》で無効化出来たみたいだ。正直結界で相手の攻撃自体防げたら楽なのだが、振り下ろされる拳や足をわざと喰らうなんて試す気にはなれないな。


 何回か《エクスプロージョン》でサンドマンの砂を吹き飛ばし、なんとか核が出てこないか試したが見つからなかった。シェリーの放った《アースクエイク》の援護はサンドマンを転倒させ砂をいくらか飲み込んでいったが、それだけでダメージが入った感じもなく、再び周辺の砂がサンドマンに向かって集まっていった。


 本当にどうやって倒したらいいんだろうと考えているとソフィアが動いた。


「ウォータープリズン!!」


 初見の魔法だ。サンドマンの片足の膝辺りを水が包み込んでいる。きっと名前からして水で敵を拘束する魔法なのだろうが、流石にサンドマン全体を包み込むのは難しいのだろう。


「ホワイトブリザード!!」


 続いてサンドマンの周辺が白くなって猛吹雪が襲い始めた。猛吹雪が終わるとサンドマンの膝にあった水は凍っていて、それがソフィアの目的だったのだと悟る。


「ウィンドトルネード!!」


 凍りついた膝に向かって猛威を振るう竜巻がまっすぐと進んでいく。《ウィンドトルネード》が氷に命中すると氷は粉々に砕け、足の無くなったサンドマンが再び地に倒れていく。


「アクアウェーブ!!」


 地に倒れ付したサンドマンに覆いかぶさるようにして津波が飲み込んでいった。そしてサンドマンは波の勢いに形を保てず、身体の砂がバラバラになっていく。


「アブソリュートゼロ!!」


 その魔法の発動と同時に《アクアウェーブ》もろとも一塊の氷となっていた。そして氷の中にはもちろんバラバラになったサンドマンがいる。氷の中を確認すると核だと思われる魔法陣が描かれたこぶし大くらいの岩を見つけた。ソフィアに最後のとどめを刺させてあげようとそちらを見るとシェリーが倒れそうなソフィアの肩を支えているのが見えた。一気に魔法の使い過ぎで魔力切れを起こしたのだろう。《アブソリュートゼロ》なんて《氷魔術》の高レベル魔法ではないだろうか。


 俺はサンドマンの核の近くまで《フレイムブレス》で氷を溶かしていき、ツインエッジを核に突き立ててとどめを刺した。するとホワイトゲートの結界が解かれ、ようやく守護者を倒したのだと実感するのであった。

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