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もっと欲しい

 エルダートレントの《偽装》は本当に分からない。《探知》でいるのは分かっているのだが、周辺の木のうちのどれがエルダートレントなのかが全く見分けがつかなかった。無闇に攻撃してもそれがエルダートレントでなく普通の木だったら傷つけてしまう。ソフィアが森を傷つけるのを嫌がったので俺やアペルは何も出来なくなった。


「私が見つける」


 ソフィアが《水魔術》の初めて見る範囲魔法《ウォータースプラッシュ》を木が傷つかないよう威力の調整をして、適当な木に向かって放ちエルダートレントを炙り出しにかかった。《ウォータースプラッシュ》は《ウォーターボール》に比べると一粒辺りの大きさが小さいが、その分数が多く水の散弾を放っているようだった。


 エルダートレントの《偽装》は攻撃を与えると解けるらしく、《ウォータースプラッシュ》の当たった木が蜃気楼のように揺らめいたと思ったらエルダートレントがそこにいた。


 炙り出されたエルダートレントを俺とアペルが対処し灰に変える。エルダートレントは《偽装》での不意打ちさえなければ弱かった。


 そして戦闘以外に俺にも出来る事が見つかった。俺にもエルダートレントの《偽装》を看破出来るスキルがあったのだ。それはというと皆さんご存知の通り《鑑定》である。《鑑定》すれば普通の木かエルダートレントかどうかなんて一発で丸分かりだ。くそう、俺は何故こんな簡単な事に気付かなかったんだ。おかげでエルダートレントを探すのも効率が上がっていたが、戦闘面では練習にもならず特に面白味もなかったのでどんどん先に進んでいった。


 ボスも探してみたのだが遭遇する事なく、階層の終わりのホワイトゲートを見つけてしまった。次の9層は前回攻略済みなので飛ばしても良いかもしれない。たが洞窟のフィールドだから《採掘》が活きる所なんだよね。ブラッドストーンもまだまだ足りないし、宝石を取得する為に9層へ行く事にした。


 9層のモンスターはフロートオクトパスだ。空中がまるで海の中のように泳いで攻撃をしてくる。よく考えたらこの洞窟ではフロートオクトパスとフロートジェリーフィッシュが似ていると言えば似ている。海月と蛸だから進化とは言えないし、たまたまそうなったのだろう。そしてここのボスはダークサイズクラブだ。これがまた切れ味の良い両手の大鎌が厄介ではあるが、前に来た時よりレベルもかなり上がっているし大丈夫だろう。スコーピオン達は大変だったが経験値的にはかなり美味しかった。それとダークサイズクラブは貰えるアイテムを装備にすると結構良い物が出来る。一番レベルの低いシェリー用に防御力の高い防具は欲しい所だ。


 空中に浮遊しているフロートオクトパスを倒して進んでいく。途中墨で煙幕を張ってくるが、それは前回受けているので《換気》を使用して視界を晴らした。エルダートレントもそうだったが、一度対処した物をまた同じやり方で使われても面白くない。結局9層の敵はソフィアとアペルに任せ、俺はシェリーを守りつつひたすら《採掘》を繰り返した。


 《採掘》の成果は少しずつだが順調にブラッドストーンが溜まっていた。他にも宝石と思われるアイテム名が《道具》内にあったりしたが、価値が良く分からないからサファイヤと一緒にタランドーさんに見てもらおう。鉱石類も手に入れていた。鉄鉱石や鋼鉄はもちろんの事、他にダマスカス鋼をちょっとだけ手に入れていた。


 そんな事をしながらホワイトゲートの近くまで来たのだが、《探知》にモンスターが単体だけでいる反応があった。どう考えてもダークサイズクラブだろう。先頭を進むソフィアとアペルににその事を伝えた。


「ショウジはまた装備を作りたいんだよね?」


「うん。盾はシェリーに、剣はソフィアが持ったら強くなると思うんだ」


「それなら倒しに行くです」


 シェリーにも相談して満場一致でダークサイズクラブと思われる反応の所へ向かう。そこに居たのはやはりダークサイズクラブで、こちらに気付いたダークサイズクラブがその右手の大鎌を振りかざし向かってきた。


 今回はアペルが1人で戦うみたいだ。ソフィアが出てくるかと思ったが、ソフィアは今回観戦側に回るらしい。珍しい事もあるものだと思っていると、アペルとダークサイズクラブの距離も詰まり、アペルの頭上に大鎌が振り下ろされた。アペルはそれを盾を頭上にかざして受け止め、続いて右側から横薙ぎに振るわれたもう片方の大鎌を剣の先を盾の上に乗せ斜に構え、盾で受け止めていた大鎌に向かうように受け流す。


 ダークサイズクラブの大鎌がアペルの盾の上で衝突する。アペルはすぐさま《スラッシュ》を放ちダークサイズクラブの左足を1本斬り落とし、バックステップで間合いを取り直した。大鎌を自爆させて破壊は出来なかったが、受け流され自分自身に攻撃してしまったダークサイズクラブは口から泡を吹き激怒していた。


 ダークサイズクラブの気持ちは分からないでもない。俺も二刀流なので自分の攻撃で自爆したらああなるかもしれない。今後俺も二の舞にならないように気を付けよう。


 次はアペルが攻めに行った。間合いを詰めてダークサイズクラブから繰り出される大鎌を避けたり受け流しながら、隙を見て一太刀ずつ浴びせていく。切れ味は先程足を斬り落とした所から見て十分過ぎるほどだろう。黒蟹の剣も結局はダークサイズクラブの鎌から作成した物なので、自分の鎌にやられるダークサイズクラブ。ちょっと可哀想に思えてきた。


 ダークサイズクラブはアペルの防御を掻い潜って攻撃する事が出来ず、またアペルの攻撃から身を守る事も出来ずにその身に傷を増やしていき、やがて灰になっていった。

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