25.おじさんは決める
サヤ君との話が終わったあと。レスト君が息を切らしてやってきた。
「お、おい。お前の髪飾り、探したんだけどよ…見つかんなかった…わるい。」
そう言えばレスト君はサヤ君の髪飾りを探しに行っていたのだった。まぁ、髪飾りを落としたというのは僕と話す口実だったのだろうが。
「髪飾り…あぁ。探したらポケットにあったわ。」
「な、なんじゃそりゃ…まぁいいや…見つかってよかったな。」
「……………………そうね。…まぁお礼に串焼きでもまた奢ってあげるわ。」
その返答はどうしょうもないほどお人好しだった。
だが、僕も、そしてサヤ君もそんな彼のあり方に慣れてきた。ような気がする。
「あ。それでよ。次の目的地とか決まってんのか?それ聞こうと思って。」
「あぁ。次の目的地かい。」
僕は顎に指を這わせて考える。
次の目的地。候補はいくつかあるがどれもパットしない。行ったところで、レスト君たちに実りのある成果をもたらすかと言われれば甚だ疑問だ。
「うーん。僕はないね。」
「な、ならよ。俺が出してもいいか?」
「へぇ。聞くだけ聞くわ。どこ行きたいのよ?」
興味があった。彼は物を知らない。つまりは、未知な場所ばかり。未知というのは時に選択を鈍らせる。だというのに、レスト君は選択をした。
「どこってわけじゃねえんだけど…その…修行を出来るようなとこに、行きてぇんだ。」
「「修行…?」」
「あぁ。………俺はまだまだだから。もっと強くなりてぇ。」
その瞳は既に十二分過ぎるほど強かった。だが、きっと彼は満足しないのだろう。
「よし。そういうことなら、僕に案がある。銀華山という場所があってね。そこは修行にうってつけなんだ。」
銀華山。大地から湯が湧き出る名地であり、観光にもそしてリラクゼーションに最適。ここならば、修行で疲れ果てた身体をすぐに回復できる。
「ぎんかやま…よく分かんねぇけど、そこに行けば修行に集中できるんだな…。」
「まぁ確かに。あそこなら温泉もあるものね。良いと思うわ。」
「温泉…?温泉があんのか!ここに!」
「あら。物は知らないのに温泉は知ってるのね。」
「そ、そりゃあ、まぁな。」
意外だった。温泉なんて、そうポピュラーなものではない。物好きがいて、あるいは旅先で目にして、程度だ。
もしかするとレスト君の故郷は温泉に親しみのある文化圏だったのかもしれない。
「よぅし。そうと決まれば温泉に行こうか!」
「ち、ちげぇよ!行くのは修行のため!」
「一緒だよ。一緒一緒。」
「全然違うわよ…」
「全然ちげぇよ…」
次の目的地は決まった。
温泉の名所、銀華山。いざ、ゆかん。




