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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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192/231

第192話 第二聖女5

 数日後のサクラカルミア神殿。

 白い光が、静かに満ちている。

 高い天井。

 長い列。

 神官、貴族、王国の関係者。

 全員が、前を見ている。

 中央。

 階段の上。

 ザスキア様が立っていた。

 白い衣。

 装飾は少ない。

 でも、視線が集まる。


(変わった)


 第二聖女の時とは、違う。

 立っているだけで、空気が締まる。

 ボクとアデリナ様は、その一段下。

 第二聖女として、並ぶ。

 胸元の徽章。

 重さは、前よりもはっきりしている。


「これより、聖女就任の儀を執り行います」


 神官の声。

 広間に、静かに広がる。

 誰も動かない。

 音が消える。

 ザスキア様が、一歩前に出る。


「ザスキア・ヴィルブルク」


 名乗り。

 短い。


「聖女の任を、受けます」


 それだけ。

 神官が頷く。

 手を上げる。

 祈り。

 言葉は続く。

 でも、内容は頭に入らない。


(始まる)


 それだけが、残る。

 白い布が運ばれる。

 ゆっくりと、ザスキア様の肩へ。

 象徴。

 聖女の印。

 誰かが息を呑む。

 でも、ザスキア様は動かない。

 そのまま、受ける。


「ここに、新たな聖女の誕生を宣言します」


 神官の声。

 静かに。

 でも、確実に。

 空気が変わる。

 拍手。

 控えめ。

 揃っている。

 ボクは、見ている。


(聖女)


 ザスキア様。

 前とは違う。

 目が合う。

 一瞬。

 逸らさない。

 そのまま。


(見てる)


 試されている。

 でも。


(同じ)


 あの時と。

 ザスキア様が、視線を外す。

 次。


「第二聖女」


 名前は呼ばれない。

 でも。

 分かっている。


「前へ」


 短く。

 ボクとアデリナ様が、一歩出る。

 揃う。


「聖女を支え、流れを維持すること」


「それが役目です」


 神官の言葉。

 短い。

 でも、重い。


「承知しております」


 アデリナ様。


「……やる」


 ボク。

 それだけ。

 神官が頷く。

 儀式は終わる。

 でも。


(終わってない)


 人が動き始める。

 ざわめき。

 視線。

 全部、変わる。

 ボク達に向く。

 前とは違う。


(見られてる)


 役割として。

 評価として。

 ザスキア様が、歩き出す。

 その後ろ。

 道が開く。

 誰も邪魔しない。

 そのまま。

 進む。


(流れ)


 できてる。

 でも。


(止まる場所もある)


 ボクは、少しだけ目を細めた。

 聖女。

 第二聖女。

 立場は決まった。

 でも。


(まだ)


 中身は、これから。

 外へ出る。

 光。

 王都。

 動いてる。

 全部。

 でも。


(回す)


 それだけ。

 ボクは歩き出した。

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