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小学校への道 その2

≪珠子≫


 市役所はちゃんとやってくれているみたいだね。今日は陽子さんとちびたちの所へ、児童福祉なんとかの人が2人来たよ。ちびたちの面談だそうだが、あたしたちの暮らしぶりも見たかったんじゃないかな。部屋も散らかってなかったし、あたしも陽子さんもフツウの格好してたし。ちびたちもおとなしく部屋で本を読んでいたし。


 おそらく、見たかったのはちびたちの心と体。ちゃんと世話してもらっているか、虐待されていないか。事情抱えてる家庭の子にはそういう状態だったり、その傷跡を抱えてるのがいるらしいからね。まあ、ちびたちは明朗快活健康すぎるぐらいだからね。体の傷といえば、ナツちゃんが転んで膝をすりむいているぐらいだね。

 陽子さんとあたしは、ここへ暮らすようになったいきさつ、ちびたちとの暮らしぶり、仕事のことなど、あれこれ訊かれてたよ。その間、ちびたちは絵を見て答えたり、絵や字を書いたり、積み木を並べて数えたりしてたみたいだ。心理テストと知力の確認なんだろうが、あいつら、完全に遊びのつもりみたいだったね。


―――――――――――――――――――――――

【福祉課へのメモ】



 篠田ハル、篠田ナツ、篠田アキ


 女子。3つ子。両親は離婚。父親は離婚後連絡が取れず。母親は交際関係?で失踪して所在不明。2年前から母親の妹「篠田陽子」が保護者。3人は「おばさん」「おば様」と呼んでいる。

 母親の失踪は自分たちにを守るためだと思っている。父親は死亡しているかもしれないと思っている。


【篠田陽子(叔母)】

 今年の6月に東京から転居。新谷村の農家だった建物を借りて居住。元々田舎暮らしをしたいと思っていて、この市に来た。駅前の洋菓子店で働いている。28才。20過ぎで結婚しすぐ離婚。その後は元夫との接触は無し。実子なし。

 知人の女性「太田珠子」が同居。東京にいた頃から同居(シェアハウス)していた。高校中退。未成年。3人は「おねえちゃん」と呼ぶ。現在は街の総菜屋でアルバイトをしている。


【子どもの状況】

 栄養状態は良好。清潔で健康。発育状態も標準的。運動機能に異常は無い。どの子も身体能力は高い。3人とも逆立ちができる。聴覚・視覚に異常は無さそう。顔に傷は無し。手足に目立つ傷なし。普通のスリキズ程度。顔は日焼けしている。肉と卵が好き、野菜も食べる、納豆は苦手、嫌いで食べられない物は無いと言う。

 3人とも普通に会話できる。はっきりしたしゃべり方。表現は豊富で語彙も多い。大人の話を適切に聞き取れる。エンピツで字を書ける。ひらがなカタカナの読み書きができ、加減の計算もできる。数・量の大小比較ができる。つみ木をバランス良く積むことができる。年齢相応かそれ以上。知識欲が強く物事を良く観察している。3人とも、家の手伝いをしている。アキはリンゴの皮を剥いて見せてくれた。ナツは洗濯機が使えると言う。ハルは服を畳むのが得意と言う。

 3人で1部屋で寝ている。朝は6時頃に起きる。ひとりで着替えられる。午前中は学習(書き方と算数)。午後は戸外で遊ぶことが多い。幼稚園、保育所には通った事がない。


 保護者はしっかり養育している様子です。子どもたちは明朗快活で、家庭事情を伺わせるような点はありません。ただ、年齢不相応なほど冷静で論理的な考え方をします。行動もあまり子どもらしく無いです。近い年齢の子どもとほとんど遊んだことが無い様子で、以前の住まいでは年上の子と遊んでいたのかもしれません。子どもの遊びはほとんど知らないです。TVはほとんど見ていないようです。村には遊ぶような子どもがいないので、小学校で同じ歳の子どもと一緒になれることを期待している様子です。

 保護者の送迎は無しで、国道まで歩いてバスで通学する予定です。朝の便を村へ回るようにすべきでしょう。


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