表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/30

最終話

 それから数日後。

 晴れ渡った空に、教会の鐘の音が鳴り響く。ジョージとリリィの結婚式は華やかに盛大に執り行われた。純白のウェディングドレスを着たリリィは美しく、誰よりも幸せに輝いてみえた。

 式の後、エリーとダリルとサムは幸せそうな二人を出迎えた。既に旅の支度は整っていて、カラスと子猫も一緒だった。

「おめでとうリリィ、すごく綺麗よ」

 エリーは、ドレス姿のリリィを抱きしめた。

「ありがとう。…でも、しばらく会えなくなるのは寂しいわ。必ず戻ってきてね」

「ええ、その時は本物の魔法使いになっているから」

 エリーはリリィから体を離して微笑んだ。

「そうね、エリーならきっとなれるわ」

「リリィはどこかの姫君のように美しい。僕は今リリィにプロポーズしたい気分だな」

 横からダリルが口を挟む。

「ちょっと、何言ってるのよ…」エリーはダリルを一瞥する。

「だが、リリィには素晴らしいナイトがついているから、諦めるしかないな」

「そうだね。リリィがダリルと会う前に僕と会っていて良かったよ」

 ジョージは笑って答えた。

「ジョージ、おめでとう」

 エリーはジョージに視線を移し、軽く抱擁した。

「ありがとう。気をつけて行っておいで」

「ええ」

 エリーは微笑んだ。もうジョージと普通に話が出きる。エリーはジョージとリリィの幸せを心から祝福することが出来た。

「さて、そろそろ出発しようか。日暮れまでには次の国に着いていたいんでね」

 ダリルはジョージとエリーのやりとりを見ながら口を開いた。


「一つの恋が終わった時、人は一つ成長出来る」

 教会を離れ、国境近くの道を歩きながら、ダリルは呟く。

「こいってどんなもの?」

 ダリルの横を歩きながら、サムは質問する。

「説明するのは難しいな。サムもいずれ経験するだろう」

「ダリルはけいけんしたことあるの?」

「あぁ、星の数ほどね」

 ダリルはフフッと笑う。

「サムに変なこと教えないでね」

「エリーはこいをけいけんしたことある?」

「……」

 無邪気な顔で見上げるサムに、エリーは口ごもる。

「一つの恋が終わった後、新しい恋が始まる、こともあるな」

「……」

 ダリルはエリーを見つめると、いきなり頬に軽くキスした。

「!何よ?…」

「魔法より大切なものがあることに気がついた」

 戸惑うエリーに、ダリルはウィンクして笑った。

「え?…」

「あ、ネコ、まって」

 と、サムが抱いていた子猫が、腕から飛び降りて急に走り出した。追いかけるサムの後から、カラスもダリルの肩を離れてついていく。

「ネコって…あの子猫の名前なの?」

 気を取り直して、エリーは聞く。

「あぁ、まだ名前がなかったからね。僕がつけたんだ」

「ネコだなんて、そのまんまじゃない。カラスにネコなんて…もう少し考えてあげてよ」

「なら、…ミシェル・マリー・エリザベート二世にしようか。第二候補だ、それとも」

「ネ、コ、でいいわ…」

 ピシャリとダリルの言葉を遮る。これからずっとダリルと一緒に旅を続けることに、少々不安を抱くエリーだった。少し先でサムがネコを捕まえ、エリー達に向かって手を振った。カラスはその上空を円を描いて舞ってる。様々な不安はたくさんあるが、エリーの心は期待で膨らんでいる。エリーは笑顔で手を振ると、サムの元まで駆けていった。

「フッ、鈍感なお嬢さんだな…」

 ダリルはゆっくりと二人の方に歩いて行った。


 国境の立て札が見えてきた。今、木の立て札には何も書かれていない。

 ダリルはそれを見て、人差し指を軽く振る。と、そこには見る見る文字が浮かび上がってきた。


「ここよりノースウィンドウ国

 どなたでも侵入を許可する

 特に、魔法使いは大歓迎」


 ダリルは微笑むと、エリーとサムと共に国境を越えて行った。三人の旅は今始まったばかり… 完

       


  

最後まで読んで下さった皆さん、ありがとうございました!どうにか完結することが出来ました。途中、話の展開を変更したり行き詰まったこともありましたが、最後まで書き上げることが出来て良かったです。約三カ月間、ず〜と頭の中にはこの物語があったので、終わってしまうとなんとなく寂しいです。いずれ、旅の話など書けたらいいなと思ってます。まずは、少しお休みして新しい物語を考えたいです。次回作もどうぞ宜しく〜!(^-^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ