デート
魔法学校入学から3ヶ月半
筆記テストが終わり
勉強から解放される
「よし!後は夏休みまで数日!」
クラスの同級生達が浮足立つ
シエルの所にクリアが足を進める
「シエルさん…ちょっといいかしら?」
「どうしたの?
ダンジョンの事なら忘れてた無いよ!」
「それは良かったですが……私まだ準備が出来て無くて…明日の休み、買い物一緒に行きませんか?」
「テストあったもんね!俺も品定めしただけで買物して無いんだ!一緒に行こう!」
その光景ををカインは見ながらポカンとしていた
寮に戻った後、カインから呼び出される
「おい!シエル!ちょっと…」
「どうしたの?カイン」
「シエル、明日クリアとデートすんの?」
「は?デート?」
「は?女の子と買物って言ったらデートだろ!
買物して、ご飯食べて歩いたらソレはデートだ!」
「た、確かに…いや、でも…」
「クリアがお前に気があったら、どーすんだよ!
デートじゃないって思ってたら…
失礼じゃ無いかね!」
「いやー気は無いんじゃない?」
「だったら他の女子と買物行くだろ!な!」
少し興奮したカインがシエルを詰め寄る
「なんかカイン…怖い…」
「ちゃんと男らしくビシッとすんだぞ!
解ったか?お?」
「解りました…」
次の日の朝
カインに言われ少し緊張しながら
待ち合わせした学校の門でクリアを待つ
クリアも遠い北国の生徒だったので
女子寮で暮らしていいる、
学校の門は男子寮と女子寮の間にあり
待ち合わせにちょうど良い
数分後にクリアが現れる
「お待たせ致しましたわ…」
いつもの制服のクリアでは無く
白のワンピース姿、クリアの白い素肌が
洋服と合わさり眩しく見えた
「いえ、今、来た、ところ、です」
「緊張してますの?」
片言になったシエルを見て笑うクリア
シエル深呼吸して気持ちを切り替える
「もう大丈夫!行こうかクリア」
高い位置にある学校から街に降り進む
「カインがさー…」
「テストどうだった?…」
他愛の無い話をしながら街にたどり着く
「シエルさん、ワタクシこの街は始めてなの案内してくださらない?」
「いいよ!前にカインと周ったんだ!
何を買いたいの?」
「そうですね、まだ何も準備していなので…
カバンから見てみたいですわね…」
ダンジョンで使う、カバン、ロープ、水筒
回復アイテム、寝具、皿…
街を周りながら揃えて行く
「この魔法のカバン素晴らしいですわ…
全て収納出来てしまいます!」
「結構な必需品だよね」
周っていると出店のいい匂いにお腹がすく
「いい匂いですわね…
あのお肉の串美味しそうですわ」
「お腹減ったね、ちょっと休憩しようか?」
出店の串焼きを買い
公園の噴水前のベンチに座り休憩する
「貴方と買物出来て良かったですわ」
「そういえば、何で俺と買物を?」
クリア少し固まって、口を開く
「そうですね…ワタクシこういう見た目と喋り方だからか余り人が寄ってこないんですの…貴方は新入生戦闘魔法大会前からお手合わせしてお話しているから声が掛けやすくて…」
「確かにクリアが俺に始めて声を掛けた時って
宣戦布告だったもんね…」
「まぁ恥ずかし事を覚えているのね…
後はテスト前に貴方とカインさんが
街に行ったのを見ましたのでお願いしましたの」
「あ〜あの時か!あ!次は防具見に行かない?
前に街に出た時、注文してたんだった!」
「えぇ(その悪意の無い無邪気な笑顔…
落ち着きますわ…)」
クリアは笑顔で答える
「いらっしゃい!お!坊主!
取りに来たか!待ってろ!」
防具屋の店主がシエルに声を掛け
店の裏に行き注文していた防具を持ち出す
「待たせたな!注文通り、動きやすくて丈夫な
防具一式だ!体に合わせてるぜ!
値段は全部で35500セリナだ」
「ありがとう!おじちゃん!今払うね!」
シエルはバックからお金を取り出し払う
「へー!一括払いかい?良い所の坊ちゃんだな!」
「え?普通は一括払いじゃないんですの?」
クリアとシエルがキョトンとする
「あんたら、金持ちの子なのか…
普通は駆け出し冒険者が分割で買うのが一般的だぞ」
汗をかく店主
「ところで坊主!今日は彼女連れかい?」
「彼女…」「いや、違うんだ!この子もダンジョンに行くから防具買いに来たんだよ!」
「慌てることねーよ!」
大笑いする店主はクリアの防具を見繕う
「なるほど、君は遠距離で戦うのか…まぁそれが普通の魔法使いだよなー」
「後、サバイバルナイフを一つ…
コレで大丈夫ですわ!」
防具一式とナイフを買い、店を後にする
「シエルさん、ありがとうございます
コレで全部揃いましたわ!」
「やったね!じゃあ帰ろうか?」
少し間を置き…クリアが口を開く
「そうですわね…お礼をさせて下さる?」
「お礼?別に良いって!」
「まぁ…そんな事言わずに!ほら行きますわよ!」
クリアがシエルの手を取り走り出す
「ちょっクリア!」
いきなり手を取られてクリアに意識してしまう
街の出店が並ぶ所に着く
「さぁ着きましたわ!先程通り抜けてしまって
じっくり見ることができませんでしたの!」
「あ!解った!まだ買物したいだけだ!」
シエルは手を叩く
「いーじゃないですの!街に降りる事が少ないから楽しみましょう!ね!あ、このブローチとか似合いますわよ!」
シエルの胸にブローチを合わせる
「ソレは火属性の耐性をあげる
魔法が付与されているよ」
出店のオバサンが声を掛ける
「ほら!貴方は「ファイアボール」使うんですからちょうど良いですわ!」
「買ってけー!今なら2つで安くしとくよぉ」
「ですって!ワタクシにも選んで下さらない?」
「え?うーんとコレとか?」
シエルは黒猫のブローチを手に取る
「ソレは小さいけど幸運が付与されているよぉ」
ブローチを買うも、さらにクリアはシエルを連れ歩く
夕方、
学校へ続く道を歩く
「良い休みになりましたわ!」
「良かった!(すっごい振り回されたけどクリアが楽しめたなら…)」
「……また、ワタクシと
買物に付き合って下さいね!」
振り向き夕焼けを背に笑う




