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サクリファイス

暗闇が広がる空間

ペタ、ペタと

自分の足音だけが暗闇に響く

私は誰だったか…

曖昧な感覚が徐々にハッキリしていく

ラプルス…私は…ラプルス…


手を動かし感覚を取り戻す

視線を手から前に向けると

暗闇の奥に小さい明かりが見える


行く当てもない…

虫のように明かりを目指す


近づくにつれて

明かりの側にテーブルとイス

人影が見える


人影は後姿であった

黒く長い綺麗な髪

服は着ていない


ラプルスが前に周り込むと

顔が見える


女性だ


ソイツはイスに座り

一心不乱に何かしていた

ラプルスはギョッとし顔をしかめる

ソイツは一枚の写真を丁寧に丁寧に舐めていたのだ


ソイツはピタッと動きを止め

ゆっくりと振り向き

ラプルスを見上げる


見覚えのある顔

喋った事は無い

ヒナ・ウォレン…


その顔を見た瞬間思い出した



エドワードをネックレスで呼び出し

奇襲で取り込もうとした瞬間

この暗闇に飛ばされたのだ


そのエドワードの妹…ヒナ

ソイツが目の前にいる…


手に持つ写真がチラリと見える

写っているのはヒナ・ウォレンだった


ソイツは

嬉しそうに口を開いた


「いらっしゃい…

見ていたわ…見ていたの…貴方がエドを刺すのを

解っている…解っているのよ?貴方…

エドワードを取り込もうとしているんでしょ?」

ソイツの圧にラプルスの足は自然と後退する

「お前は誰だ?ここは…どこなんだ!あと…」

ラプルスが喋ろうとすると

ソイツは立ち上がり人差し指をラプルスの口へ

「私は…サクリファイス……『呪い』よ…

そして…ここはエドの中…」


「呪い……!、知っているぞ!

エドワードが親に騙されて

まだ産まれてない妹から才能を奪った…」


「そう…それが私…

ヒナちゃんを生贄にエドの才能も授ける

そしてヒナちゃんは死んでしまうはずだった…

けど…あの子は生き残った!すごいでしょ?」


「君がアイツの妹に似ているのは…」

「そうね…奪った情報に容姿も含まれていたようね

でも…足りない…足りない…」


ソイツはブツブツと喋りながら

ラプルスの左手を両手で持ち上げる


「痛」


ラプルスの左手に痛みが走る

すると左手はユラユラと崩れ、

毛糸のようにほどける


「エドが成長するとね…私も成長するの…

最初はヒナちゃんでお腹いっぱいだったんだけど…

今は、全然…足りないの…

だから…」



ラプルスは尻もちをつき倒れる

「嫌だ!嫌だ!」

崩れ始める左肩…



「全部…ちょうだい…」



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