08話 ギルド加入
「はい、ではこちらにお掛けください」
「それじゃあ、わしは外で待っとるぞ」
「えーと、それじゃあ文字は書けますか?」
「多分…」
もちろん書ける気がしないが、あの悪魔の言葉を信じるとしよう。
「そうですか。じゃあこちらにお名前をよろしいですか?」
「ああ。ここか」
紙とペンを渡され、そこに名前を書く。おお、スラスラと書ける、これがあの悪魔の力か。
「はい、アルヴィ・アーセナルさんですね。えーと、それでは能力を見るとしましょう」
「よいしょ。ではこの水晶に手をかざしてください」
その透明な水晶に手をかざす、しかし能力を見るってなんだ?…
「緊張しないで大丈夫ですよ。えーと、ふむふむ。もしかして従軍経験がありますか?全体的に高い能力ですね!」
「ああ。よくわかるな」
「やっぱり!」
手を握られ、水晶から手を離す。距離感が近いな…
「それじゃあ、得意な事とかを教えてください」
「狙撃と偵察、特殊作戦部隊の訓練は受けたな」
「そうですか、それじゃあスカウトとレンジャーで登録しましょう!」
「一つじゃなくていいのか?」
「はい!習得したスキルと能力をまとめて職業として登録するので、あなたは最初から上級職から始めれますよ!初めての方は望む基本職で登録してスキルを習得して行くんですけどね。あなたなら大丈夫。あとは実績を重ねればどんどん階級もあげていけますよ」
「それじゃあ、そのままお待ちくださいね。あ!読み書きできるみたいなので、これに目を通しておいてくださいね!」
『ギルドの階級について』『季節の変わりごとにギルドで査定を行って、階級の審査をいたします。階級は銅→青銅→鉄→鋼鉄→銀→金→白金→金剛石と上がっていきます。また、特例としてミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネという階級がありますが、通常の査定で到達する事はありません。昇級するには、依頼の達成数、討伐数、普段の素行で審査されます。素行が悪いなどの場合は昇格が止められ、犯罪などに関わった場合は組合から除名ということになりますので常に正しく、高潔であることを心がけてください。』
完全にカンペだな…これ。ほかのページには職業のことや、能力審査のことが書かれていた。まあ、ちゃんと管理された組合で信頼できそうだな。
「はーい、読み終わりました?」
「ああ。これは返した方が良さそうだな」
「あははは。本当は口で説明しないといけないんです。でも、そっちのほうが効率いいですよね?」
「そうだな、内容は理解できた」
「はい!じゃあ、このプレートをどうぞ。これはあなたのギルドでの身分証ですので、無くさないでくださいね!」
手渡された銅のプレートには、表に職業、裏に氏名が彫り込まれている。
「それじゃあ、登録完了です!がんばってくださいね!こちらも全力でサポートいたしますので!」
「よろしく頼む」
「はい!」
「おっ、終わったか!で?職業はなんだった?」
「スカウトとレンジャーらしい」
「おお!いきなり上級職か!感心じゃ!」
「あなたはどんな職業なんだ?」
「わしはアダマンタイト級のアークウィザードじゃ!!」
「さすが勇者の仲間ってことか、凄い強いんだな」
「わしは魔術以外は何もできんがな。お主は色々やれるんじゃな、複合職から始めるなんてのぉ」
「さて、これからどうすればいい?」
「ふむ、まあそう急くな、今日はわしがこの世界のことを教えてやろう。お主も気になるだろ?」
「そうだな。さっきの人も見たことない見た目だった。朝戦った、グールとかいうやつも初めて見たしな、知らないことが多すぎる」
「さっきのお嬢さんはエルフじゃ、エルフは耳が長く、長く生きる種族じゃな。それ優秀な魔術師はエルフが多いんじゃ、魔術の発展はエルフがおらんと始まらんとわしは思っとる」
でも見た目はほとんど同じだったな。
「俺は人間でいいんだよな?」
「ん?そうじゃぞ、わしもお主も人間じゃ。人間は数が多いからのぉ、色々おるがまあそれが特徴じゃな。そのせいで争うのも人間じゃが… じゃが今の王はよくできた奴でな、種族やら人種の壁を取り除くのに尽力しとる。わしの子どもの頃はエルフが人間の居住区で普通に働いとるところなんてなかったからのぉ」
「差別のようなものはどこでもあるんだな…」
「お主のところもか?」
「ああ、あった。でも俺も人の事は言えない、国の命令とはいえ自分の国の人を殺したこともあるから」
「どうしてそんなことになったんじゃ?」
「国は国民の持ち物全部取り上げて、食い物もろくに与えなかった。そのせいで犯罪者が多くなった、しかもそいつらを先導した奴がいたんだ、それが気に食わない国は制圧するために兵士を戦わせたんだ、治安維持って命令でな」
「お主も苦労しとるのぉ…」
「まあ、やり直せば良いんじゃ。お主はまだ若いしな!それにせっかく良いものもらったんじゃ。あの蜘蛛を倒せば、お主の名も少しは広まるじゃろうよ」
「そうだな」
「ところでお主、宿はきまっとらんだろ。わしの家に来るとよいぞ」
「良いのか?」
「まあ、酒でも飲みながら授業してやろう。知りたいことも多いじゃろ?」
「そうだな。世話になるよ。ありがとう」
「ここじゃな」
街の東側は居住区らしく、家が立ち並んでいる。レームの家は3階建ての建物、一回は奥さんがスクロールを売ってるらしい。
「あんた、この人は誰だい?」
「面白いぞ!こやつあの勇者と同じ転生者じゃ!」
「まあ、本当に!」
「私はクレア。あなたは?」
「アルヴィ・アーセナルです」
「そう、アルヴィちゃんね。本当に転生を?ならすごい力を持ってるのね?」
「それがこやつ、わしらが倒した魔王に転生させられたらしいんじゃ!面白いこともあるのぉ」
「え?魔王に?」
「最近、龍の使徒が現れとるじゃろ。それを倒せと頼まれたそうなんじゃ」
「そう!あの悪魔がねぇ…まあいいわ!ほら喉乾いたでしょ!アルヴィちゃん!待っててね!」
夫婦そろって元気みたいだ。
「せわしないやつじゃろ。じゃがああ見えて有名な巻物描きでの」
「スクロール?」
「魔術の才能がない者でも使える、使い切りの魔術書じゃよ」
「誰でも?」
「そうじゃぞ。これを手にもってこの陣に指をかざせば良いんじゃ」
「だめですよ!それは商品なんですから。ほら、この蜂蜜酒をお飲み。ほらこっちに座りなさいな」
ヘルメットを外して、椅子に座る。
その後、何があったかを聞かれ、夕飯をもらった後、レームが大量の本を持ってきてこの世の中の生き物や魔術、国、気をつける事なんかを教えてくれた。その本はカメラでスキャンしていつでも読み返せるようにしておいた。
明日は学校で授業があるらしく、依頼でも受けてこいと言われたのでそうすることにしよう。いろいろと教えてもらえたし、少し不安も解消された。これから始まるんだな、こっちの生活が…




