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09話 初仕事

「おはよう」

「あら、おはよう。よく寝れたかしら?」

「疲れてたみたいでよく寝れた」

「ほら、朝ごはん食べなさいな。今日はギルドに行くんでしょう?」

「ああ、いただきます」

「ほら!爺さんも!早く降りてきなさいな!!」


 朝飯を食べた後、ギルドに向かう支度をする。

「お主、気をつけるんじゃぞ!わしはもう行くからの!」


 ギルドの外は荷車を引いた馬車が集まり、武器を持った人が多い。門を開けて、中に入るとテーブルに酒を飲んだ男がこちらを見ている。


「さて…」

 中に入り掲示板を見てみる。

「護衛の依頼ばかりだな…階級も決まってる…」

「おいお前!新人だろ?ちょっとプレートを見せてみろよ!」

 酒臭い男に絡まれ、プレートを見せてみる。


「チッ。雑魚だと思ったが…イビリ甲斐もねぇな。もう行けよ、気色悪い野郎が!」

 そう声を荒げる。明らかに酔っ払っている。めんどくさい。

「早く家に帰るんだな」

「舐めた口きくなよ?」

「水でも飲んだらどうだ?」

「おい!舐めてんな、俺のことをよぉ!!」


「喧嘩しないでくださいね?それに実際ここに居座って、お酒を飲んでるだけじゃないですか」

「クソが!」

「あの人いつもあんな感じなんです、いつものお仲間がいないだけマシですけどね。さて!昨日の方ですよね。依頼をお探しですか?」

「ああ。受けれないのが多くてな」

「大丈夫ですよ!ちょっと見繕ってきますね」



「このスノーウルフの討伐なんてどうですか?これはギルドから直接の依頼で討伐数に応じて報酬が支払われます。ですので、失敗しても大丈夫ですし安心ですよ!」

「ああ、狼狩りならやったことあるな」

「なら安心ですね!それでは受注完了です。気を付けてくださいね!あ!荷馬車は外にまってますので、適当に捕まえてくださいね!」

 さて、行くか


 裏に回ると聞き覚えのある声がする。

「よお!あんた!ギルドに入ったんだな!」

「ケビンだったな。乗せて行ってくれるか?」

「おお!いいぜ!」



「スノーウルフねえ。奴らこの時期は餌が少ないから見境なく襲ってくるんだぜ!馬も狙われるから途中までだな。この笛を渡しとくよ。終わったら吹いてくれ、迎えに行くぜ」

「ああ、ありがとう。」

 L42A1を取り出しスリングにかけ、レミントンM870を背中に背負う。爺さんのライフルはボロボロだが、綺麗に整備してるから、いつでも万全の状態だ。


「川の辺りで降ろしてくれ、鳥が見えた。あれを撃って餌にしたい」


「あいよ」

 川から少し離れた道で降りて、鳥をバードショット弾で撃ち落として、肉を手に入れる。そのままスノーウルフが出る雪山に入り、罠の準備をする。といっても毒を塗りつけた餌を撒いて、周りにとらばさみを何個か仕掛けるだけの簡易的な罠だ。今日中に一匹でもかかればいいところか。


 かかったらすぐに攻撃できるように岩陰に光学迷彩を起動して隠れる。見えなくなったところで鼻がいいから意味があるとは思えないが…



「ウオーーーーン!!」

 四時間以上待ってやっと今、一匹がとらばさみにかかって吠えている。声につられて仲間が集まってくるな、銃を構えて撃てる準備をしよう。


 山上から真っ白の狼の群れが降りてくる。しかし驚きの行動をはじめる。

「何やってるんだ?…」


 なんと罠にかかった狼に噛みつきそれを食べ始めている。

 近くの毒餌に気づいた狼がそれを食べ、苦しみだすと噛み付いてそれを食べ始める。

 仲間じゃないのか?それともよほど腹が減ってたのか?

 食事に夢中な一匹を狙い頭に弾丸を撃つ。


「ウォーン!」

 異変に気付いた一匹が吠える。ボルトハンドルを引き、そいつに狙いをつける。

 距離は200mほど。気付かれる前にできるだけ数を減らしていこう。

 音に気づいて近づいてくる奴を優先的に狙い、仕留めて行く。

 6匹目を撃ったところで、他の奴らは逃げてしまった。まあまあかな…


 毒の餌を食べて呻いてる奴に近づき、頭を踏みつけ心臓にナイフを刺す。少し暴れたがそのまま血を流して息絶えた。

「食い散らかされた奴を含めて9匹か」

 山に逃げた奴を追うか?…いや、腹が減ってる獣を追うのは危険だな、もう帰ろう。

 笛を吹いた後、馬車に死体を載せ山を後にする。



 ギルドに戻り、買取屋に話しかけて値段をつけてもらう。

「毛皮と牙を買い取ろう、一匹、銅貨8枚だ。それとボロボロの奴は牙だけだな。2銅貨だ」

「それでいい」

 金を受け取り、窓口まで報告に戻る。

「一応、終わった」

「はい!確認できました。一匹1銀貨ですので。銀貨9枚ですね。こちらをどうぞ!」

 無事に初仕事を終え、家路につく。

「ギルドの周りがやけに騒がしいな…」

 騒ぎの場所に行ってみると、どうやらけが人が出たらしくそれで大声を出しているらしい、駆けつけていた神官はもう助からないと言っていた。

 今回の仕事は簡単だったが、命のやり取りをしたことに変わりはない、いつかこんな風に怪我をしてそのまま死ぬなんてことは普通に起こるんだろう。

 でも、こんなことしかしてこなかった俺が普通に生きて普通に死ぬなんて出来ないんだろう。実際くだらない失敗で死んだわけで…

 それに最初ここにきた時は街の景観に感動したが、その路地に目をやるとそこで横たわる人や、子供が苦しんでいるし、街の人はコソ泥やら空き巣やらと物騒な話をする人が多い、それに衛兵がみすぼらしい姿の子供を甚振っていたり、物乞いの老人に唾をはきかけたりとろくでもない部分が目につく。

 だがレームやクレアのような優しい人もいる。普通見ず知らずの怪しい奴を家に住ませるなんてな、あまり迷惑をかけるのも申し訳ないな。使徒を倒した後はそこらで野宿でもしよう。


 レームの家に戻ると、クレアが出迎えてくれる。

「あら!おかえりね!怪我はない?」

「大丈夫だ」

「そう!無事ならいいのよ!でどうだったの?ちゃんとできた?」

「スノーウルフを9匹倒した」

「そう!それは上出来じゃない!ほらエールを飲みな!」

 その後レームが帰って来て、今日あった事の話をする。



「わしは明日は用事もないから、いけるぞ!」

「なら行こう」

「よし!きまりじゃ、わしも準備をしておく。お主も早く寝るんじゃぞ!」

 さあ、さっさと銃の整備をして寝よう。明日どうなるかはわからないが、うまくやれることを祈っておこう。


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