一話
まだまだオープニングです。
しばしお付き合いください。
「クロメタル、いつまで寝てるの!早く起きないと遅れるわよ!今日は新兵採用の日でしょ。」
———目が覚めた。
俺はベッドに寝ていて、一人の女性が俺の顔を覗き込んでいた。
この顔には見覚えがある。確か名前はイリーナ・ラークス、BiS2の主人公の母親だった筈だ。
そして、『クロメタル』という名前は俺が設定した自キャラのものだ。もちろん名字はラークスだ。
それなら、これはゲームのオープニングか。
それにしてはやけにリアルな気が・・・
いや、これ、まず、BiS2ってVRじゃねえよな。
なぜ俺は画面越しの世界でゲームをしているのではなく、俺がクロメタル自身になってんだ?
「あれ?何がどうなってんだ?」
「まだ寝ぼけてるの?早く降りてきなさい。ご飯食べる時間無くなるわよ。」
イリーナにそう言われ取り敢えずベッドから起き上がる。見た目は普通の部屋だ。ただ、広さがアメリカンだが。また、英語でも日本語でもない文字が目につく。しかし何故か理解できた、まるで初めから知っていたかのように。
部屋のクローゼットを開けて着替えを済ませ、部屋を出て階段から一階に降りる。
何となくだが、自室が二階なのは分かった。
更に不思議なことに、過去の事を考えると、黒鐘 隼と、クロメタル・ラークスの二人分の記憶があった。
少し不気味だったが、気にしないよう努めた。
ひとまずクロメタルの記憶を基に、リビングに向かった。