二話
リビングでは、イリーナが朝食を食卓に並べていた。
「やっと起きたわね。さあ、朝ごはん食べて準備しなさい。」
「はーい・・・」
食パンにバターを塗って囓る。
牛乳を飲んで食器を片付けた。
「行ってきます。」
「気をつけてね。死ぬんじゃ無いわよ。」
イリーナに見送られ、家を出発する。
俺はジーパンにTシャツを着て、その上に黒いライダースジャケットという格好だった。
履き慣れたブーツでペダルを踏み、壊れかけのアメリカンバイクをキックスタートさせた。
道中、俺は状況を改めて頭で整理していた。
「まず、俺はBiS2を起動した。それで気絶かなんかして、目が覚めたら自分が主人公になった・・・?」
自問するように呟く。これ以上の情報はまだ無い。だが、ゲーム世界に転生とか転移とかするようなラノベをよく読んでいたからか、割とすんなり状況が飲み込めた。多分それで間違いない。
家で見た鏡の向こうには、俺がキャラメイクしたものと寸分違わぬちょっと目つきの悪いイケメンがいたのも理由か。
ハーフヘルメットに後付けされたシールド越しに、目的地が見えた。
高いフェンスから、もっと高いウォッチタワーが飛び出している。
BiS2主人公の祖国、『ウーサー』の軍の駐屯地だ。
これから俺はここで、新兵採用試験を受ける。
取り敢えず門の前にある警備兵の詰所に行き、中に入ることにした。




