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握った手の相手
振り返った瞬間に、カイは絶叫した。
「お、おま、ヨハネス!?なんで、手ェ握ってんねん!アスティどこや!!!」
黒い髪、
長い睫毛、
カイそっくりのエメラルドグリーンの瞳……
そこには、燕尾姿の兄ヨハネスが、カイの手を握って見下ろしている。
カイは猛然と手を離そうとしたが、ヨハネスの鋼鉄のような手はビクともしない。
「ハァ……いい年をした我が弟の手を繋がなくてはならないとは、
痛恨の極み。」
「なら、離せ!!!アスティどこや!また連れ去ったんか!?」
「人聞きの悪い。北東30度を見ろ。」
ヨハネスはそのままカイを吊り上げる。
カイが目を向けると、燕尾服の美麗隊の間にチョンと収まっている髭親父の姿があった。
「――ナルコーゼ」
カイは鋭い目つきで詠唱すると、同時にヨハネスの手首の一点を指先で突く。
「!!」
ヨハネスの手の力が一瞬で緩む。
カイは、アスティに向かって走り出した。
人を押しのけ押しのけ、美麗隊に囲まれているアスティの元に駆け寄ると、
目の前でスライディングしてずっこける。
「アスティ、大丈夫!?」
人々は、陶器市の一角に登場した美麗隊を、
ある者はこそこそ指差し、
ある者はうっとりと眺めながら、遠巻きに見ている。




