異世界は物価高
俺の記憶は、交差点でスマホを見ながら猛スピードで突っ込んできた無免許の「電動キックボード」にはねられたところで途切れている。
気がつくと、俺は温かい布に包まれ、短い手足をバタバタさせていた。
「あー、うー(なるほど、これが噂の異世界転生で赤ちゃんスタートってやつか)」
目の前には、ファンタジー世界特有の麻の服を着た若い男女。どうやら俺の新しい両親らしい。
剣と魔法の世界。スローライフ。チート能力で無双。
俺の輝かしい第二の人生が始まる……はずだった。
「あなた、今月の生活費どうしましょうか。また回復ポーションが値上げされたわ……」
母親がため息をつく。
「ああ、歴史的な『魔石安・ゴールド高』の影響で輸入物資が高騰してるからな。おまけに王国が導入した『インボイス制度』のせいで、フリーランスの冒険者がどんどん廃業してるんだ」
父親も頭を抱えている。
……えっ? なにこの生々しい異世界。
「それに、魔王軍のやつら、最近は直接攻めてこないだろ?」
「ええ。なんでも『働き方改革』で、幹部から下級ゴブリンまで全員フルリモート推奨になったとか。最近は生成AIで作った架空のドラゴンの映像を村に投影して、恐怖を煽るだけのサイバー攻撃ばっかりね」
魔王軍、コンプライアンス意識高すぎないか? しかもDX化に大成功してるぞ。
「王国側も高齢化が進んでて、最前線の勇者パーティーの平均年齢はもう75歳よ? 後継者不足も深刻だし、この村も限界集落一歩手前ね……」
「ああ。俺たちのこの子が大きくなる頃には、この国の年金制度(ギルド積立金)も間違いなく破綻してるだろうな……」
ベビーベッドの中で、俺は絶望した。
女神からチート能力をもらえたのかどうかはまだ分からない。だが、一つだけ確かなことがある。
この異世界、俺がいた現代日本より詰んでるぞ。
「ばあぁぁぁぁ!(ふざけんな、とりあえず非課税の積立投資枠を教えろ!)」
俺の切実な泣き声は、インフレと少子高齢化にあえぐ限界異世界の空に、虚しく響き渡った。
こんにちはこんばんは。
AIに時事ネタを取りいれさせたキメラ小説書いてます。
よければ読んでってください




