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第11章 古竜の神殿

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1 「愛されてるよね」

 俺は王都の外れにある魔導馬車の駅に来ていた。

 隣にはルカがいる。


 神殿があるサーラ王国までの直通便に乗るところである。




『神の力、魔の力、竜の力──あなたはそこで出会わなければなりません。さらなる力の成長のために』




 エレクトラとの戦いの最中、意識の中の世界で女神イルファリアは言った。


 絶対防御のスキル──その根源を知り、さらなる力を得るために。

 俺はサーラ王国にあるという古竜の神殿へ向かうことにした。


 で、今日がその出立日だ。


 エレクトラの予知では、俺は新月の夜に神殿を訪れていた。

 それが明日なので、目的地までの距離を考えて前日に出発することにしたのだった。


 ルカも、俺とは別口でエレクトラから神殿を訪れる予言をされていたということで同行することになっている。


「そろそろ出発の時刻だね」


「お気をつけて……」


 見送りに来てくれたリリスとアリスが言った。


「浮かない表情ですね、リリスちゃん」


 と、アリス。


「ハルトさんに会えなくて寂しいんですね」


「えっ、あ、まあ……その」


 その指摘にリリスは顔を赤くしながら、もじもじとした。


「……早く帰ってきてね。待ってるから」


 ジッと俺を見つめるリリス。

 やけに熱のこもった言葉にドキッとする。


「あ、ああ、長居はしないと思うし、すぐにまた会えるよ」


 言いながら、妙に照れてしまった。

 と、


「愛されてるよね、ハルトくんは」


 笑いながら歩いてきたのは、露出度の高い踊り子衣装の女の子。

 サロメも見送りに来てくれたんだろうか。


「あ、あ、愛って、なななななな何言ってるのよ、サロメは!? あたしは、だから、そういう意味じゃ、えっと……」


 リリスはさらに顔を赤くした。


「反応してくれるから、からかい甲斐があって好きだよ、リリス」


 サロメは嬉しそうに笑って、俺たちの側に並んだ。


「サロメ……?」


「えへへ、ボクも行くことにしたから。古竜の神殿に」


 と、サロメ。


「サロメが……?」


 俺は突然の申し出に困惑する。


「ほら、神殿ってことは探索するわけでしょ? 罠や魔物がウヨウヨしてるかもだし」


「まあ、な」


「ボク、隠密技法を習得してるから、暗いところでも夜目が聞くし、罠を見分けるのも得意だよ。きっと役に立つから。ね? ね? 一緒に行っていいでしょ」


「着いてきてくれるのはありがたいし、俺は構わないけど……ルカはどうだ?」


「私も、問題ないわ。あなたにはあなたの理由があるのでしょう」


 と、ルカ。


 理由……サロメにも古竜の神殿を訪れる目的があるってことか?


「えへへ、まあ……ね」


 何やら意味ありげなサロメ。


 ともあれ──こうして、俺たちは三人で神殿へ向かうことになった。




 魔導馬車でおよそ一日近くの行程を経て、俺たちはサーラ王国のエリオスシティに入った。

 目指す遺跡は町はずれの森の中にあり、俺たち三人はまっすぐに進んでいた。


「ふう、こっちは寒いねー」


 サロメが白い息を吐き出す。


 エリオスシティは王国の北端に位置していて、アドニスよりもかなり気温が低かった。

 辺りには雪がちらほらと舞っている。


 サロメもさすがにいつもの露出度が高い踊り子衣装じゃなく、防寒マントを羽織っていた。

 俺やルカも同様の格好だ。


 それにしても、サロメはどうして一緒に来たんだろう。

 やっぱり気になる……。


「ん、何? ああ、ボクがどうしてついてきたのかって?」


 俺の視線に気づいたのか、サロメが微笑む。


「い、いや、ごめん。詮索するつもりは──」


「んー、ハルトくんと離れるのが寂しかったから、かな?」


 サロメが俺の右腕にしがみついてきた。

 豊かな胸がむにゅっと二の腕に当たる。


「さ、寂しいって……」


 一瞬、ドキッとしてしまう。


 まあ、サロメの場合はこういう言動も冗談だと思うけど。

 それにしても……大きくて柔らかいな、サロメの胸は。


「サロメも……ハルトに恋してるの?」


 ルカがつぶやく。


「もう、なんでも恋バナに結びつけたがるなんて、アリスみたいなこと言わないでよ」


 サロメがあっけらかんと笑った。


「そもそも、サロメ『も』って? ルカはハルトくんに恋してるってこと?」


 興味津々といった感じでルカを見つめた。


「えっ……!?」


 戸惑ったような、ルカ。


「前にボクが指摘したこと、やっと自覚したんだねっ」


「よく……分からない。ハルトと一緒にいると、胸の中が温かくなる。ときどき締めつけられるように疼いたり、奇妙なほど気持ちが高ぶったり……」


 ルカはサロメを、そして俺を見た。


「戦いの高揚感とも違う。でも私は、戦うことしか知らないからこの気持ちの正体が分からない……」


「戦うことしか……?」


「私は、小さな村に生まれたの」


 たずねた俺に、ルカが告げた。


「平凡な村娘として暮らしていた。私には何もないと思っていた。何がしたいのかも分からなかった。だけど突然、因子に目覚めて──」


 切れ長の目が強い光を宿す。


「自分に力があることを知った。剣を振るい、戦うことを喜びを知った。強敵たちに出会った。ときには勝ち、ときには敗れ──もっと強い力が欲しいと思うようになった」


 こんなふうに自分の過去や内面を饒舌に話すルカは初めてだった。


 神殿が近づいて気持ちが高ぶっているのか。

 あるいは彼女の中で何かが変わろうとしているのか。


 俺には分からない。

 ただルカが話したいなら、俺はそれを真摯に聞くだけだ。


「戦うことが、私のすべてだと思っていた。でもハルトに出会ってから、私は──」


 彼女が話を続けようとした、そのとき。


 ぐるるるるるるるうううううううううううううあああああああああああああっ!


 雄たけびが聞こえた。

 同時に、地面が激しく揺れる。


 なんだ、一体──!?

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