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絶対にダメージを受けないスキルをもらったので、冒険者として無双してみる  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第22章 明日へと続く道

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4 「離れるなよ」

「なぜ汝らは我に逆らう? この世界のすべては我が管理している。そのことにより、世界の調和は保たれているのだぞ」


 裁定者がうめいた。


「いわば、汝らは世界の平和を邪魔する害悪。許すわけにはいかん」


 その全身を覆う虹色の輝きが、爆発的に膨れあがった。


「よって排除する。すみやかに──」


 衝撃波が四方に走り抜ける。


「排除なんてされてたまるか! 俺が護ってみせる! すべてを!」


 俺の黄金の輝きがそれを弾き散らした。


 はるか上空まで飛んでいった破壊エネルギーが、無数の爆光の花を空一面に咲かせる。

 大陸どころか、惑星すら破壊してしまいそうなほどのエネルギーだ、と本能で察した。


 俺のスキルで守っていなければ、この世界なんて一瞬で破壊されてしまうんじゃないか?

 そして奴の思うままに、世界は再創造される──。


 悪寒と恐怖が全身に駆け巡った。

 胃液が逆流しそうだ。


 これが世界の理を司る存在。


 これが、裁定者の真のプレッシャー……!


「……神様よりすごい存在を怒らせちゃったわけだな」


 俺は軽口めいた言葉で、こみ上げる不安を──いや、恐怖を押し殺した。


「リリス、アリス、サロメ、ルカ! 俺から離れるなよ!」


 彼女たちに告げる。


 今や『封絶の世界(エリュシオンゲート)』の効果範囲は大陸を覆い尽くすほどにまで広がっている。

 イオの『冥天門(コキュートスゲート)』で俺のスキル効果を加速しているおかげだった。


 だけど、何しろ相手が相手だ。

 護るために、少しでも近くにいたい。


「う、うん、分かった」

「お願いします、ハルトさん~」


 リリスとアリスが左右から体を寄せてくる。


「じゃあ、密着しよっかな?」

「くっつけばいいの? こう……?」


 悪戯っぽく笑ったサロメが俺の背中を抱きしめ、ルカは正面から抱きついてきた。


「い、いや、そこまでくっつかなくても……」


 こんなときだというのに、ドキッとしてしまう。

 さすがに四人全員から密着されると……その、照れるというか、なんというか。


「……イチャイチャするにも状況を考えてほしい」

「へえ、ハルトくん、モテモテだね」


 憮然としたイオと、朗らかに笑うセフィリア。


 なんだか締まらない状況だったけど、それが俺のプレッシャーを和らげてくれた。




「まず、わたしが仕掛ける」


 イオが前に出た。


「わたしの戦闘能力は六魔将の中で最弱。だけど、戦えば──わたしこそが最強の存在。わたしこそが真の魔将。ただ、一人の──そして今は」


 謳うように告げる魔王少女。


「魔界を総べる新たな王。さあ、開け。『冥天門(コキュートスゲート)』。今こそすべての力を解き放て」


 彼女の前方に出現した黄金の門が、七色の輝きを放った。

 開いた門から、無数の魔族が飛び出していく。


「これは──」

「防御は任せる、ハルト・リーヴァ」


 イオが俺を見た。


「わたしの『冥天門』は──命を代償にして、対象の能力を増加させる。一定時間であれば、死んだ者を蘇生し、生前よりも強化することさえできる。だけど、その代償は──魔界にいる魔族たち」

「……仲間を犠牲にして、戦力を増強しているっていうのか」


 俺は表情を険しくした。


「わたしたちは元より覚悟を決めている。これは魔界の総意。そもそも冥天門は『命を代償にする行為』を強制することはできない。相手が自らの犠牲を受け入れて初めて、その効果が発動する」

「じゃあ、魔族は自分たちの意志で犠牲に……?」

「そういうことだ」


 冷然と告げるイオ。


「非難されるいわれはない」

「だけど……」


 納得いかない部分はあるが、あくまでも魔族側の事情だ。


 俺が口出しすべきことじゃないんだろう。

 俺は──俺が今やるべきことをやる。


 裁定者に対して、他のことを考えている余裕も余力もない。


「我の『管理』を邪魔する者に存在価値はない」


 裁定者が傲然と言い放った。


「世界の運行を妨げる者に、生きる価値はない」


 かざした手に虹色の輝きが凝縮する。

 それは一振りの巨大な剣と化した。


「ゆえに、断ち切る──銀河をも切り裂く我が剣で」


 振り下ろされた大剣が、空間そのものを断ち割りながら迫った。

 虹の軌跡を描く斬撃が俺たちの頭上に叩きつけられる。


 がいんっ!


 鉄と鉄がぶつかり合うような重い金属音。


 いつもの、俺のスキルの防御音。


「……効かぬか」


 俺から立ち上る黄金のフィールドは、裁定者の斬撃をも受け止めていた。


「神を超えた力とは、我が力すら防ぎきるのか……なぜ、ここまで力が進化している……?」


 戸惑ったのか、奴の動きが一瞬止まる。


「なぜ、力の進化が加速し続けている……? 成長し続けている……?」


 呆然とした、声。


「イオ、今だ!」

「魔族たちよ、魔王イオの名において命ず! あの巨人を──『裁定者』を」


 俺の合図に、イオが叫んだ。


「いや、『世界の敵』を、破壊せよ!」


 魔族たちの剣や魔法が、虹色の巨人に次々と叩きつけられていく──。

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