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絶対にダメージを受けないスキルをもらったので、冒険者として無双してみる  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第22章 明日へと続く道

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2 「冒険者として、戦う」

「人で在りながら、神を超えた領域に踏みこんだ者。魔と人の間で生まれ、魔でありながら魔としての制約を受けない者」


 裁定者が俺たちを見下ろし、告げた。


「いずれも超越的な能力を持っていることは認めよう。『絶対防御』と『無限強化』──だが、この我を超越することだけはできん」

「どうかな……やってみなきゃ分からないんじゃないか」


 俺は裁定者を見上げる。


 一度は気持ちで圧倒されそうになったけど、もう大丈夫だ。

 ただ全力で立ち向かうのみ。


 みんなを護るために。

 そしてこの世界を守るために。


「……ふむ。では分からせてやろう」


 ぱちん、と指を鳴らす裁定者。


 直後、




 ──俺とイオの体から立ち上る黄金の輝きが、消えた。




「スキルが──発動していない!?」

「わたしもだ……冥天門が、なぜ──!?」


 俺とイオは戸惑いをあらわに、お互いを見た。


 こんなことは初めてだった。


 今まであらゆる敵の、あらゆる攻撃を封じてきた無敵の防御スキルが──。


 スキルの発動そのものが、消えてしまうなんて。


「汝らの時間軸をリセットした。汝らがその能力を身に着ける、前の時間まで」


 平然と告げる裁定者。


 いや、ちょっと待てよ……!

 それって、まさか。


 まさか……!


「俺たちは──」

「然り。なんの能力も持たない、ただの人間と魔族にすぎぬ」




「冒険者ギルドとやらの長と、王国の伯爵──人間どもの愚かな企てにより、神も魔王も消滅した。世界のバランスを崩す、許しがたい愚行だ」


 裁定者が告げる。


「彼らへの制裁は必ず行うが、まずは汝らに裁定を下す──排除、だ」


 俺は裁定者の言葉を半ば聞き流していた。

 ショックが大きすぎて、奴の言葉がほとんど耳に入ってこない。


 スキルを失ってしまった。

 俺は呆然と裁定者を見上げていた。


「世界の(ことわり)に抗する愚かな者どもよ。今消し去ってくれよう──裁定者の名のもとに」


 虹の巨人が拳を振り上げた。


 怒りでも、敵意でも、闘志でもない。


 まるで──作業。

 淡々と、なんの感情もなく、ただ邪魔者である俺やイオを殺そうとしている。


 そして俺にはそれを止められない。

 防御スキルを失った以上、奴の攻撃を防ぐ手だてがない。


 一体、どうすれば……!


「ハルトさん!」


 と、走ってきたのはアリスだ。


 どうして、ここに……!?


「居てもたってもいられなくて……」


 荒い息をつきながら、アリスが言った。


「私も一緒に戦います」

「じゃあ、姉さん。あたしたちで!」

「ええ、ハルトさんを護りましょう!」


 リリスとアリスがうなずき合い、叫んだ。


「今までハルトは、あたしたちを何度も助けてくれた」

「今度は私たちがあなたを守る番です」


 黒い衣装をまとった二人が、巨大な杖を掲げた。

 魔将メリエルから絶大な魔力を受け継いだ二人の、全開戦闘モードだ。


「リリス、アリス……」

「二人だけに戦わせない」

「ボクだって、ハルトくんに助けられたんだからね」


 ルカが戦神竜覇剣(フォルスグリード)を構え、サロメはナイフを手に告げる。


「ルカ、サロメ……」


 いつもとは逆に、俺がみんなに護られることになるなんて。


「我に立ち向かうか。世界の理を司る──いや、世界の理そのものである我に」


 裁定者が告げた。


「たとえ、あなたが世界のルールだとしても、それが理不尽だと感じたなら──あたしたちは立ち向かう!」

「まして、それが大切な人を護るためなら、なおさらです!」


 リリスとアリスが叫ぶ。


「ただ一方的に、力ずくで──というのは納得できない」

「そうそう、もうちょっとコミュニケーションを取る努力をしたらどうかな?」


 凛として告げるルカと、悪戯っぽく笑うサロメ。


 四者四様の態度で、彼女たちは裁定者を真っ向から対峙していた。

 一歩も退く気配はない。


 そうだ、俺も──。

 彼女たちと同じく、立ち向かわないと。


 たとえスキルを失っても、俺は──ハルト・リーヴァとして。


「冒険者として、戦う……!」




「闘志は失わぬか。だが結果は変わらん」


 虹色の巨人が拳を振り上げる。


「この大陸ごと消去してやろう」


 告げる。


 その言葉が嘘でもハッタリでもないことは、本能で理解できた。


 防御スキルを失った俺には、どうしようもない。

 イオも同じだ。


 そしてリリスたちだって、さすがにそんな威力の攻撃の前ではどうしようもないだろう。


「然り。汝らに打つ手はない。諦めよ」


 冷然と告げる裁定者。


「──いや、まだだ」


 俺は首を左右に振った。


 それでも、諦めるわけにはいかなかった。


 この世界を守りたい。

 リリスたちがいる、この世界を。


 それに──俺は託されたんだ。

 俺に力をくれた、女神様から。


「そんな簡単に諦めてたまるか──!」


 俺は『意志』を振り絞る。


 頼む、もう一度発現しくれ!

 俺の防御スキル……頼む!


 だけど、現実は非情だ。


 奴は、俺とイオの時間軸を巻き戻したと言っていた。

 今の俺は、女神イルファリアと出会う前の、普通の学生に過ぎない。


『絶対にダメージを受けないスキル』なんて持たない、ただのハルト・リーヴァだ。


「大丈夫よ、ハルト!」

「ここは私たちが!」

「あいつを倒す──」

「ボクだっているんだからね!」


 リリスが、アリスが、ルカが、サロメが。


 それぞれ魔法を、剣技を、暗殺術を繰り出した。

 三種の攻撃が虹色の巨人に向かっていく──。

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