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絶対にダメージを受けないスキルをもらったので、冒険者として無双してみる  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第21章 そして裁定の刻へ

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7 「託します、ハルト」

「消える、ってそんな……」

「今の状況を、いつまでも耐えることはできません」


 イルファリアが首を左右に振る。


「私の消滅は避けられないでしょう……」

「でも俺や女神さまの力は『絶対にダメージを受けない』スキルなんでしょう? だったら防げるはずです!」


 神と魔は一定距離まで近づくと互いに消滅してしまう。


 だけど、俺がそんなことはさせない。

 絶対に、女神さまを守る──。


「ありがとう、ハルト」


 微笑む女神さま。


「ですが、もはや止められません。護りの力はあくまでも『攻撃』を防ぐ力です。『事象そのもの』に干渉することはできません」

「事象……そのもの?」

「神と魔の対消滅は攻撃ではなく、たんなる現象ですから──スキルの効果範囲外なのです」


 じゃあ、イルファリアの消滅は止められないのか。


「でも、この空間で防御を続ければ──」

「無理なのです、ハルト。なぜなら……くっ、ううっ……!」


 ふいに、女神さまの顔が苦悶に歪んだ。

 その足元が、光の粒子となって消えていく。


「『浸食』が始まったようです。ある程度の距離を保っていても、時間が経てば消滅の効果に侵されてしまう……」

「だ、駄目だ、そんなの!」


 だけど、女神さまの消滅は止まらなかった。


 足首が消え、膝が消え、太ももが消えていく──。

 俺の防御スキルでは止められない!?


 攻撃ではなく、あくまでも『現象』に過ぎないこれには──『封絶の世界(エリュシオンゲート)』も及ばないのか。


「もっと──もっとだ!」


 俺の全身から黄金の輝きがさらにあふれる。


『封絶の世界』の出力が上がっていく。


 だけど、結果は変わらない。

 女神さまの体はどんどん消えていく。


 くそっ、なんとかならないのか!


 俺は焦りと苛立ち混じりに周囲を見回す。

 前方の一部がぼやけ、外の様子が見えた。


「ここで互いに滅ぶか、魔王」

「滅ぶのは貴様だけだ、ガレーザ」


 竜の頭を持つ(ガレーザ)と、黒き炎に似たシルエットの魔王。

 最高の神と、最強の魔が対峙している──。


「さあ、神魔大戦の決着だ」


 神と魔王が同時に動いた。

 白く輝く剣を放つガレーザと、無数の黒い光弾を生み出し対抗する魔王。


 その余波が、大地を削り、空を割る。

 その余波が、すさまじい震動を起こし、世界を揺るがす。

 その余波が、魔族の軍団を瞬時に吹き飛ばす。


『冥天門』の側にいるイオだけは、その影響を受けないのか、平然とたたずんでいた。


 なおもガレーザと魔王は攻撃をぶつけ合う。

 だが、それも長くは続かなかった。


「見えるぞ、我々が作り出した道しるべを──人間たちが歩んでいく姿が」

「見えるぞ、我ら魔の者こそがすべてを総べる未来が──」


 神と魔王はそれぞれ満足げにつぶやき。

 まばゆい輝きとともに、四散した。


 あまりにも、あっけなく。


「ガレーザ……そして消えていった五柱の神たち……私も、今──」


 イルファリアが力のない声でつぶやくと、足が、腰が、次々に消えていく。


 消滅が加速していく。

 もう、止められない──。


「女神さま……っ」

「お別れです、ハルト」


 イルファリアが俺に顔を寄せる。

 柔らかな唇が、俺の唇に重なった。


「どうか、良き未来を。あとは──託します、ハルト」


 イルファリアがゆっくりと遠ざかる。


「駄目だ、消えないで……!」


 俺は手を伸ばした。


 夢中で。

 必死で。


 イルファリアもまた切なげな笑みとともに、俺に手を伸ばし──。




 その手が、笑顔が、無数の光の粒子となって消え失せた。




「あ……ああ……」


 俺はがくりとその場に崩れ落ちた。


 同時に、景色が切り替わる。

 意識内の世界から、現実の世界へと。


「ハルト──」


 リリスが、ルカが、サロメが、俺を見ていた。


 周囲を見回したけど、やっぱり女神さまの姿はない。


 消えて、しまったんだ。


 胸の芯に重く沈んでいくような、強烈な喪失感がこみ上げる。


 目頭が熱くなる。

 心臓が、わしづかみにされたように痛い。


「女神……さま」


 唇をかみしめてうめいた、そのとき。


 俺の全身から、今までにないほどの鮮烈な輝きが湧き上がる──。

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