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絶対にダメージを受けないスキルをもらったので、冒険者として無双してみる  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第21章 そして裁定の刻へ

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2 「想いの強さが」

冥天門(コキュートスゲート)開錠起動(フルオープン)


 イオの声とともに、黄金に輝く巨大な門が出現した。

 俺の『封絶の世界(エリュシオンゲート)』によく似た輝きだ。


「消えよ、人間ども──」


 魔王の放った魔力弾が黄金の門を通過し、そのまま俺たちに向かって突き進む。


「くっ……!」


 目がくらむような閃光があふれ返った。




 ──直後、周囲が爆光と爆音に包まれる──。




 まるで世界そのものが揺らいだかのような衝撃。

 俺が防御スキルを展開しているからいいものの、そうでなければ周囲一帯が消滅していただろう。


 事実、『封絶の世界』の効果範囲外にある場所がごっそりとえぐれていた。

 直径数千──いや数万メティルは優にある、超巨大なクレーターだ。


「さすがに魔王っていうだけはあるよな……」


 あらためて実感する。


 魔王の攻撃は、まさしく地形を変えるレベルだった。

 しかも魔法を発動しないスキル『不可侵領域(バリアフェイズ)』を無視して、魔法が発動した。


 魔王には、俺の神のスキルが通じないのか?

 それとも、別のカラクリなのか──?


「本来なら、人間が戦える相手じゃないみたいね」

「破壊力が高すぎる……あまりにも……!」


 リリスとルカが俺の両隣でうめいた。


「放置はできない」

「放っておいたら、それこそ世界が滅亡しちゃいそうだからね」


 と、サロメ。


 問題は──どう戦うか、だ。


 防御に徹するか。

 それとも攻撃に転じるか。


「あたしが仕掛ける」


 リリスが俺から一歩離れた。


「ルカやサロメと違って、あたしなら遠距離から攻撃できる。様子見も兼ねて、ね」


 と、黒い杖を構えた。


「魔将メリエルの魔力を受け継いだ人間か」


 魔王がリリスを見据える。


「人と神、魔、竜の力の融合──そして成長。確かに『あの者』の管理の枠外にある力は、徐々に育っているようだ」


 さっきから頻繁に話題に上がる『あの者』っていうのは、なんだ?

 前に女神さまが言っていたのと、同じ存在を指しているんだろうけど。


 一体、何者なんだ──。


 だけど、今は謎解きをしている時間じゃない。


 目の前の魔王とどう戦い、どう凌ぐか。

 それだけにすべてを集中するんだ。


雷撃斬(ラ・グ・ディーレ)!」


 リリスが雷撃の魔族式魔法を放つ。


「無駄だ。たとえ魔将の力で放つ魔法といえど、我には通じぬ」


 それをこともなげに受け流す魔王。


 防御魔法すら使っていない。

 おそらくは、根本的な魔力が違いすぎるんだろう。


「だったら──」


 リリスは魔法を連打した。


 正面から、あるいは側面や背後から。

 単発のものから、分散型、あるいは時間差発動。


 あらゆるバリエーションで攻め立てる。

 そのすべてを、魔王は簡単に受け流してしまう。


「戦法の問題ではない。我と貴様では魔法能力そのものが天と地ほど違うのだ。まだ分からぬか」

「くっ……」

「とはいえ、見事だ。人間の身でありながら、これほどの魔法を操った者は──おそらく歴史上におるまい。褒美に──」


 魔王の全身から黒い炎が揺らめく。


「千の肉片に刻んでやろう」

「っ……!」


 その威圧感に、リリスが後ずさる。

 俺は彼女をかばうように前に出た。


「くくく、ハルト・リーヴァ……貴様にとって大事な女なのだな? その魔法使いも、他の二人も」


 魔王が笑った。


「もし失えば、貴様の心は痛み、萎え、折れ、砕け──スキルが大きく弱体化するか? ん?」

「なんだと……!」


 ビクティムが取ったのと同じ戦法か。

 だけど、そんなことは絶対にさせない!


「くくく、言葉での揺さぶりだけで、神の光が薄まったぞ。貴様たち人間は他者への想いで簡単に揺らぐ」


 魔王が嘲笑する。


「それが弱さよ」


 告げて、炎を放つ魔王。


 紅蓮の渦はイオの門を通り、巨大な炎の竜となって襲いかかった。


「確かに……弱さかもしれない」


 黄金の輝きが魔王の火炎竜を弾き返す。


「だけど、それがすべてじゃない!」


 俺の周囲から立ちのぼる黄金の輝きは、さらに光度を増した。


 すさまじい勢いで光が広がっていく。

 リリスたちが世界中のどこにいても護れるように。


 スキルの範囲をどこまでも拡大していく──。


「想いの強さが、俺を成長させてきた。お前が何を仕掛けようと、仲間たちは傷つけさせない!」

「魔王相手に吠えるか。矮小なる者よ」


 魔王は魔法を連打してきた。


 火炎を、稲妻を、竜巻を、氷雪を、光や闇を。

 あらゆる属性の攻撃魔法。


 だけど、それらは俺の展開する黄金のフィールドに弾き返されるのみだ。


 ──やはり『封絶の世界(エリュシオンゲート)』の防御力は健在みたいだった。

 ただ、なぜか『不可侵領域(バリアフェイズ)』が発動していない。


「あの門……」


 ルカがつぶやいた。


「えっ」

「門の回りだけ、ハルトの金色の光が届いてない」


 言われてみれば、イオの側にある門──『冥天門(コキュートスゲート)』からあふれる光が、俺の『封絶の世界』の光をはねのけている。

 同じ黄金の光だから見分けづらいけど、指摘されてあらためて見ると、はっきり分かった。


 あの門が、俺のスキルになんらかの影響を与えている──?


「これだけ攻めても崩せぬか」


 魔王は魔法の連打を止め、うなった。


「しかし、なぜだ──貴様が神のスキルを持っているとはいえ、我は魔王。打ち破れぬはずはない……貴様の力は、一体」


 魔王相手にも、俺の防御スキルは通用する。

 それ自体はすごく心強い。


 ただ、疑問もあった。


 神と魔王は、おそらく同格の存在のはず。

 俺が絶対防御の力を持っていても、魔王クラスならそれを打ち破る可能性はあるんじゃないだろうか。


 ここまで完璧に、攻撃を防げるものなんだろうか。


 以前よりも──いや、こうしている一刻一刻に。


「俺の力が、増している……!?」


 相手の攻撃規模が大きすぎて、今一つ実感しづらいけれど。


「今の貴様は、人の領域から外れようとしているのかもしれんな」


 魔王がつぶやく。


「貴様が貴様でいられなくなる領域まで──人が、人で在り続けられない領域へと」

「俺は──」


 ふいに、視界がかすむ。


 この感覚は……!?

 以前にも体感したことがあった。


『封絶の世界』に覚醒して間もないころと同じ感覚。

 体中から力があふれ、心が万能感に満ちていく。


「えっ……!?」


 見下ろせば、俺の体が半透明になっていた。

 心臓の鼓動が異様に高鳴り、体中の血が熱くなる。


 自分が自分でなくなるような──。


 自分以外の──自分以上の何かに変質していくような感覚だ。


「だとしても、俺は」


 拳を握りしめた。

 半透明にかすんでいた体が、ふたたび元に戻る。


「踏みこむだけだ。お前を封じるために」


 リリスたちを護るために──。


 不安も恐怖も押しこめ、決意する。


 俺は、俺にできることをすべてやり遂げる、と。

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