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第21章 そして裁定の刻へ

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1 「受けよ、魔王の魔法」

間が空きましたが更新再開です。3日に1話ペースで章の終わりまで更新予定です。


 こいつが、魔王──。


 俺は前方に降り立った巨大なシルエットを見据えた。


 身長五メティルほどの体に、黒い炎をローブのようにまとっている。

 血の色をした眼光は、空間を歪めるほどの威圧感を放っていた。


 その隣には、小柄な少女の姿がある。

 流麗な黒髪をツーサイドアップにした十代半ばくらいの、可憐な少女。

 右目が赤、左目は金色──いわゆるオッドアイだ。


「魔の者が、すべての世界の盟主となる……その好機が、まさか人間の手によってもたらされるとは、な」


 魔王がうなった。


 ごうっ……!


 体を覆う黒い炎が、まるで奴の怒りを表すように一際激しく燃え上がった。


「人間の……?」


 なんの話をしている──?

 訝しみつつ、俺は魔王を見据えた。


 すべての魔族を統べる支配者──魔王。


 並の魔族はもちろん、六魔将と比べてさえ、圧倒的な威圧感を放っている。

 左右を見れば、リリスやルカ、サロメも緊張の面持ちだった。


「封じられ、動けない竜は当面無視してもよい。魔がすべてを支配する世界──その妨げとなるのは神と『あの者』だ」


 魔王は淡々と、俺にはよく分からないことをつぶやいている。


「神に関しては、我らが犠牲を払えば排除できる。『あの者』には我が娘が対処する。計画にあったことも、イレギュラーな事態も含め、すべては我らの有利な方向に推移している。後は──」


 と、俺をにらむ魔王。


 ぞくり……背筋にすさまじい寒気が走った。


 まるで、脊椎が氷の柱に変じたかのような悪寒。

 押し潰されそうなほどの威圧感と、恐怖感。


「神の力を持つ人間──イレギュラーな存在である貴様だけだ」

「俺……?」


 魔王が何を言っているのかは、よく分からない。


 だけど、一つだけはっきりと分かることがある。


 それは、奴が俺に向けてくる敵意。

 そして、殺意。


 魔王は、俺をこの場で殺す気だ。


 魔族の王が、全力を持って。

 この俺を──!


「貴様は万に一つ、我が目的の妨げになる可能性がある。事態のすべてを壊してしまう恐れがある。ゆえに──」


 魔王が一歩踏み出す。

 全身から噴き上がる黒炎が大気を焼き、連鎖的な小爆発が起きた。


「排除する」


 そして──俺たちと魔王の戦いが、幕を開けた。




「魔王様、(わし)も助力を」

「いや、お前は下がっておれ、ビクティム」


 前に出ようとする岩の戦士を、魔王が制する。


「邪魔だ」

「……はっ」


 声一つで、ビクティムは体を震わせ、その場に直立不動した。

 魔王が俺たちに向き直る。


「さあ、すべてを灼き尽くしてくれよう──受けよ、魔王の魔法」


 上空に巨大な黄金の球体が出現した。


 これは──魔族の魔法か!


 だけど、六魔将やリリスが使ったものとは、まるで違う。

 天を覆うような巨大な光球。

 しかも、その数は優に数百。


雷撃斬(ラ・グ・ディーレ)!」


 ──信じろ。

 俺は自身に言い聞かせた。


 神のスキルを操るのは、精神(こころ)の力だ。

 俺が心を強く持てば、より強く──どこまでも強く、発動する。


 だから俺は信じる。


 イルファリアから授かった力を。

 今までの戦いで磨き、成長させてきた力を。


「たとえ相手が魔王でも──防ぎきってみせる!」


 ひときわ強く、黄金の光が立ちのぼった。


 降り注ぐ数百の光球はその輝きに弾き飛ばされ、空の彼方へと消え去る。


 直後、世界を揺るがすような轟音が響き渡った。

 空一面に雷鳴が轟き、金色の爆光で覆われる。


「……ほう」


 魔王がうなった。


「挨拶代わりの小技とはいえ、国一つが消し飛ぶ程度の威力は込めたはずだが──それを防ぐか、人間」

「挨拶代わりに国を消すなよ、魔王様」


 俺は軽口を叩いてみせた。

 半ば緊張をごまかすための強がりだけど。


「し、信じられない……なんて魔力なの……! まるで世界を覆い尽くすような、莫大な……!」


 俺の隣でリリスが震えている。

 魔法使いだけあって、今の呪文の威力を誰よりも理解しているのは彼女だろう。


「あたしの魔法では、とても対抗できそうにない」

「大丈夫だ。防御面は俺が全部やる」


 リリスに告げる俺。

 それからルカやサロメを見つめ、


「俺から離れないようにしてくれ。ビクティムがやったみたいに、俺とみんなの分断を狙ってくるかもしれない」

「じゃあ、ひっつかないとね」


 サロメが豊かな胸を押し付けるように、背中から俺にしがみついてきた。


「ハルトに密着」

「あ、ちょっと。それならあたしも──」


 左右からはルカとリリスが体を寄せてくる。


「い、いや、そこまで密着しなくてもいいんだけど……」


 三人の柔らかな肌の感触に込み上げる羞恥と興奮。


 魔王を前にしている緊張感が少しだけ薄れた。

 平常心が戻ってくる。

 気負いが、解けてくる。


「緊張感がないのね。この期に及んで、女をはべらせているとは」


 魔王の側に控えていた少女がつぶやいた。

 赤と金のオッドアイをジト目にして、俺たちを見ている。


「わたしはイオ。六魔将、『冥天門(コキュートスゲート)』のイオ」


 そのオッドアイが妖しい光を放った。


「お前の力も貸してもらうぞ、我が娘よ」

「仰せのままに。父上」


 魔王の声にうなずくイオ。


「我らが最大火力をもって、奴を──そして人間界を焼き尽くしてくれよう」


 魔王の体を覆う黒い炎が一際激しく燃え盛った。


「そんなこと、させるか」


 たとえ相手が魔王だろうと。


 俺のスキルですべて防ぎきってみせる──。

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冴えないおっさん、雑魚ジョブ【荷物持ち】からEXジョブ【上位存在】に覚醒して最強になる。神も魔王も俺には逆らえない。俺を追放した美少女勇者パーティも土下座して謝ってきた。




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