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第20章 終わりゆく世界

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6 「専売特許ではない」

 激突する、青と金──。

 リヴァイアサンが放つ津波のごとき水流は、俺が展開している黄金の空間によって跳ね返され、町の外まで飛んでいく。

 俺たちにはもちろん、町の建物にすらダメージを与えられない。


「おのれぇっ、水流破(リア・ヴィ・ゼス)!」


 リヴァイアサンは呪文を唱え、津波から魔法攻撃へと切り替えようとする。


 が、その魔法も俺の『封絶の世界(エリュシオンゲート)』によって発動すらさせない。

 物理でも、魔法でも、奴の攻撃手段は完全に封殺していた。


 後は、こっちの攻撃で仕留めるのみ。


「ここは私が──」


 飛び出したのは、ルカだった。

 手にした『戦神竜覇剣(フォルスグリード)』が長剣から大剣へと変形し、


「絶技、戦天殺(フォルスブレイク)!」


 赤光の斬撃が、リヴァイアサンの巨体をいとも簡単に両断した。

 それで、勝負ありだった。


 LS級の魔獣といえど、連携すれば敵じゃない。


「ば、馬鹿な……強すぎる!」

「リヴァイアサンがこうもあっさりと──」


 おののく魔族たち。


「ええい、ひるむな! 我らは栄えある魔王様の軍勢! 人間などに──」


 そのうちの一体が、仲間を鼓舞する。


 魔王の……軍勢?

 俺は眉を寄せた。


 いや、考えるのは後だ。

 まずこいつらを退けないと。


 町のみんなを護るために。




 その後も、俺たちの戦いは続いた。

 防御面は俺が受け持ち、攻撃はリリスとルカ、サロメのコンビネーションで次々に魔族や魔獣を打ち倒していく。


 ほどなくして、タイラスシティに押し寄せた魔は全滅した。

 特に苦戦らしい苦戦もない完勝だ。


「やったね、ハルト」

「全部片付いた」

「護ってくれてありがと、ハルトくん」


 リリスが、ルカが、サロメが、俺の元に寄ってきた。


 どうにか町を守ることができたみたいだ。

 そのことに俺も安堵する。


 だけど魔の者たちは、世界中を襲っているはずだ。

 もちろんアドニスの他の都市にも。


「加勢に行ったほうがいいかもしれないな」


 つぶやいた、そのとき、




 ずおおお……んっ!




 轟音とともに地面が激しく揺れた。


 まるで地震だ。


 前方でもうもうたる土煙が巻き起こる。

 その向こうにうっすらと──信じられないほど巨大なシルエットが見えた。


 今度はなんだ──!?


「あまり調子に乗るなよ、人間ども」


 現れたのは、岩石の巨人だった。


「お前は──」


 かつて、六魔将メリエルを巡る戦いで相まみえた六魔将ビクティム。

 物理でも魔法でも高い攻撃力と防御力を兼ね備えた強敵だ。


「強化された儂は──彼らとは一味違うぞ」


 ビクティムがうなる。


「強化……?」


 復活したガイラスヴリムたち六魔将も、そして攻め入ってくる魔族や魔獣も。

 軒並みパワーアップしている。


 じゃあ、やっぱりビクティムもそうなのか。


「……気配が違うね、こいつ」


 つぶやいたのは、サロメだった。


「えっ」

「前に会ったときとは、どこかが……」

「魔力が上がっているのは、確かね」


 と、リリス。


「かなりパワーアップしているみたい」

「それだけじゃない。妙な雰囲気があるの」


 サロメがわずかに眉を寄せる。


「嫌な感じがする──」

「だとしても、奴の攻撃は俺が完封する」


 俺はリリスたち三人に告げた。


「大丈夫だ。どんな相手だろうと──」

「守りは、ハルトを信じる。攻めは私たちで」


 ルカが長剣『戦神竜覇剣(フォルスグリード)』を手に進み出た。


「そうね」

「りょーかい」


 リリスが黒い杖を、サロメがナイフを構える。

 ルカ、リリス、サロメが総攻撃をかけた。


 だが、


「刃が通らない……!?」

「魔法も効かないなんて──」

「これじゃ、ボクのナイフじゃ無理だね」


 ルカとリリスがうめき、サロメが肩をすくめる。


 やっぱりビクティムは、前とは違うのか。

 岩のような体は、黒い輝きでコーティングされている。

 それが防御力を増大させて、ルカの剣もリリスの魔法も弾いてしまうらしい。


「絶大な防御力は、君の専売特許ではない──ということだ」


 ビクティムが静かに告げた。


「そして攻撃力ならば、儂は君たちをはるかに凌ぐ──受けよ、雷撃斬(ラ・グ・ディーレ)!」


 魔族の雷撃魔法は、俺たちではなくビクティム自身の体に降り注いだ。


 自爆──?

 いや、違う。


「さあ、食らうがいい」


 言ったビクティムの体が砕け散った。

 その全身が無数の岩塊と化し、襲いかかる。


 さながら岩の矢か、雨か。


 まさしく視界一面が岩石で覆われる感じだった。

 避けられるような物量じゃない。


 しかも一つ一つの岩塊が雷撃をまとっている。

 物理と魔法の二重攻撃だ。


「君たちに逃げ場はないぞ、人間。そして魔の雷撃を帯びた我が体はすべてを潰し、焼き尽くす」

「──どうかな」


 俺たちを取り囲んだ岩塊は、しかし──あふれた黄金の輝きによって、あっさりと弾き飛ばされる。


「これだけの質量でも、魔力でも、効かないだと……!?」


 驚きの声とともに、無数の岩塊はふたたび一つに集合し、巨人の姿に戻る。


 俺の『封絶の世界(エリュシオンゲート)』は不可侵そのもの。

 どんな攻撃だって通しはしない──。

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