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第8話「藤の花のトンネル」

 もみじ坂の奥に、藤の花が咲いていた。


 古い木の棚に、紫の花がたっぷりとぶら下がって、まるでトンネルのようになっている。風が吹くたびに、甘い匂いがふわりと広がった。


「きれい」


 チビが立ち止まって、上を見上げた。口をぽかんとあけたまま、動かない。


 コンも並んで見上げた。藤の花は、日の光を透かして、紫と白がまじり合って揺れていた。


「毎年咲くんだって。かあさんが言ってた」


「毎年?」


「うん。ここに来れば、毎年会える」


 チビはそれを聞いて、なにか大事なことを教えてもらったような顔をした。


 ポンはというと、棚の下の木陰にさっさと座って、うとうとしはじめていた。藤の花びらがひとひら、ポンの鼻の頭に落ちた。ポンはぴくっとしたが、目は開けなかった。


「ポン、きれいだよ」


 チビが声をかける。


「……知ってる」


「見てないじゃん」


「においがする。きれいなにおい」


 チビはしばらく考えて、それから納得したように頷いた。目で見るのと、においで感じるのと、どちらもほんとうのことだと思ったから。


 三匹は藤のトンネルの下で、しばらくのんびりした。花びらが、ゆっくりゆっくり、降ってきた。

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