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第63話「あついけど、いいひ」
朝から蒸し暑かった。
チビは金魚の世話をして、縁側に座った。ぼんやりしていたら、ポンが来て、となりに座った。しばらくふたりで黙っていた。
遠くで蝉が鳴いていた。風がたまに来て、笹をさらさらと揺らした。
「ポンにい、あついね」
「うん」
「でも、なんかいいね」
ポンが少し考えた。
「うん」
コンが麦茶を三つ持ってきて、三匹ならんで座った。
笹飾りの短冊が、風でくるりと回った。チビは自分の短冊を見た。黄色で、字がにじんでいる。書いた願い事は、まだ秘密だ。
「ねえ、ほしってさ、ひるまもあるの?」とチビが聞いた。
「あるよ。見えないだけで」
「じゃあ、いまもみてるのかな」
「さあ」とコン。「でも、まあ、みてるんじゃない」
チビはそっか、と思った。空は青くて、雲がゆっくり流れていた。蝉の声がまた大きくなった。
暑いけど、なんかいい日だった。




